2003年3月21日。
九州佐賀市「モラージュ佐賀」ショッピングセンター。
西友佐賀巨勢店グランドオープン。
これがウォルマート日本進出の歴史的第一歩なのか。
それとも、またしても「正体見たり、枯れ尾花」なのか。
だがそれは、2000年12月のカルフール幕張とは違った。
1999年のコストコホールセール久山とも異なる店舗だった。
2002年のメトロキャッシュ&キャリー千葉店とは異次元の店だった。
もちろん本国のウォルマート・スーパーセンターとは似ても似つかなかった。
ましてや西友ザ・モールではなかった。
売場面積3062坪の2フロア。
1階は1300坪のデパ地下もどきの生鮮・惣菜をもつスーパーマーケット。
2階は衣料服飾重点型の驚くべきディスカウントストア。
どちらも集中レジの2層型コンビネーションタイプ。
でも年商目標50億円だから、坪当たり年間販売額163万円の「アメリカ並みに売れない店」。
社員18人・パートタイマー134人のパート比率88%。
売上高対比人件費率6.5%。
5種類の新しい省力化什器をふんだんに活用したローコスト店。
結果、販売費管理費比率20%を目指す。
西友の26%とウォルマートの16%の中間狙いか。
これは何というか、「変な店」だ。
「玉石混交の店」だ。
ウォルマートがコンサルティングした「西友」か。
西友による「習作店舗」か。
ウォルマート流商取引の「ショールーム」か。
バスケットプライスと売価上限政策を貫徹すると品揃えが変わる。
絞り込みと縦縞陳列に徹すると売れ方が変わる。
実に細かい点を、徹底して、端から、つぶしていく。
まだつぶしきってはいないが、それはそれでよい、やがて時間が解決する。
私はこの店から、ウォルマートの、謙虚で、力強い意志を感じたのだ。
〈㈱商業界編集人 結城義晴〉