結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2004年01月20日(火曜日)

2004年はオペレーション改革の年だ。

結城義晴の20日〆行動日誌

□新しい年がスタートして、もう1カ月。よろしくお願いします。年賀状もたくさんいただきました。お礼申し上げます。今、私は石川県能登半島の加賀屋姉妹館あえの風に来ています。商業界石川県同友会の会合でお話をするためです。目の前に七尾湾が広がり、向こうに能登島が見えます。雲が東の方へ動いていきます。「頑張ろう」という気持ちが満ちてきます。

□現在、私の単行本をまとめています。タイトルは『メッセージ――店に元気を、仕事に勇気を』。『食品商業』の編集長時代から現在まで、15年にわたって、毎月、巻頭言を書いてきました。その180編ほどの巻頭言から50を選んで、10のテーマごとに再編集する、というもので、実は私の初の単行本なのです。ぜひ、お読みください。発刊は2月17日の2月ゼミナールの当日からです。

□さて、2003年と2004年を挟んだ『20日〆行動日誌』。2003年12月16日、朝から『ファッション販売』の拡大媒体会議。夕方、伊豆・伊東へ。日本セルフ・サービス協会の「スーパーマーケット誕生50周年記念式典」の実行委員会慰労会。翌17日まで。スーパーアオキの青木巌社長、スズキヤの中村洋子社長、クイーンズ伊勢丹の田村弘一会長など豪華メンバーで楽しい会合。ありがとうございました。18日夕方、村上忍さんを訪問。名著『レイバースケジューリング原理』を加筆していただき、再び世に出そうと考えています。19日朝、『コンビニ』媒体会議。午後、販売部会議。夕方、東京・大丸でチェーンドラッグストア協会懇親会。松本南海雄会長は意気軒昂。樋口俊雄副会長は、年明けに参議院議員に就任することが発表された。おめでとう。

□23日、午後、小社役員会。夜、代官山でペガサスクラブ忘年会。渥美俊一先生いわく、「この前、医者に見てもらったら、若返っている、と言われた。それに五十肩になっちゃった、ワッハッハ」——バケ物級の先生だ。24日午後、『販売革新』拡大媒体会議。夕方、ホームページ委員会。商業界の公式ホームページも、一年を迎えつつあります。25日、部長会、編集長会議・新製品開発会議。この新製品をつくり出す会議も、1年半になろうとしています。26日朝、『商業界』媒体会議。30日も会社に出て、単行本のまとめの仕事。激動の2003年も暮れていきます。

□正月は骨休め。ただし、単行本の資料はいつも小脇に抱え込んで、15年分のメッセージに読みふけったのでした。5日仕事始め。小売業、商業の皆さんは1日、2日から仕事をしているのに、申し訳ありません。朝、社員一同が会して、倉本初夫主幹の話を聞き、私の行動提起を受けてもらうという会。その後、「カメラのきむら」を訪問。㈱商業界の最大株主は㈱商業界会館なのですが、木村迪夫さんがその会館の社長を兼ねていらっしゃるのです。6日は金融関係への挨拶回り。社長となると、こういったことは欠かせないのです。この間、お取引先からの年始挨拶も受けるのですが、来年からは、このシステムを少し変えようと考えています。7日、幕張へイオン名誉会長の岡田卓也さんを訪問。倉本主幹とともに1時間半近く、話に花が咲いたのでした。岡田さんの視点はいつも高く、国際水準をさえ超えています。それがいい。8日『食品商業』媒体会議。夕方、元ココス・ジャパン社長の小暮桂介さんと会食。9日昼、電通の新年会。帝国ホテル。CFSコーポレーション(旧ハックキミサワ)の石田健二会長とばったり。午後『飲食店経営』媒体会議。

□13日、午後、電通本社で映画『ドラッグストアガール』の試写会。田中麗奈はいい。そのあとの記者会見に本物が出てきたが、やはり映画の中のタレントは輝いている。チェーンドラッグストア協会が、この映画を応援します。本誌も応援団の先頭を走ります。よろしく。その後、京王プラザホテルで日本セルフ・サービス協会の新春賀詞交歓会。増井徳太郎会長、横山清副会長はじめ、皆さんと交流。14日、盛岡へ。東北シージーシー新春講演会・交歓会。今年は、豊田自動織機の高山忠久さんとダブルキャストの講演。流通業界に「トヨタ方式」の導入の気配。村上忍さんのレイバースケジューリングといい、トヨタ方式といい、今年は「オペレーション改革の年」です。「間違いない!」。15日、今度は新高輪プリンスホテルでオール日本スーパーマーケット協会の新年トップ研修会。荒井伸也会長、北野祐次名誉会長の下、グループ力のある協会。夜は、トップの方々と熱談。ホテルに泊って、翌16日は『ファッション販売』媒体会議。日本チェーンストア協会新年賀詞交歓会。岡田元也イオン社長、大高善興ヨークベニマル社長と特に話し込んだ。夕方、ジュエルベリテオオクボへ。17日、日本スーパーマーケット協会渉外部長・笠原政栄さんの告別式へ。突然の逝去。68歳。合掌。19日、福井へ。商業界福井県同友会。下中ノボル先生、ユース木瀬禎造社長、ヤスブン末定直三社長、ライズ樋田信男社長はじめ福井の皆さんと盛り上がる。20日、ここ能登で石川県同友会。

□いつの間にか、空を雲が覆っている。ねずみ色の雲。海は静か。今年も頑張ろう。(結城義晴)

2004年01月05日(月曜日)

『ブーメランの法則』に学ぶ

「固定客づくり」――。

商業の世界では、昔から言い古された言葉です。

しかし考えてみると、商業に限らず、仕事やビジネスで、固定しない顧客を相手にしたものはほとんどないといってよい。顧客には、必ず二度、三度とわが社の商品やサービスを経験し、購買していただかねば、商売は成り立ちにくい。投下資金や経費は回収しにくい。

アイルランドのスーパーマーケット「スーパークイン」社長のファーガル・クインさん(63歳)はこう言います。

「お客様に戻ってきていただかなくてよいビジネスを上げてみてください。おそらく、押し売りと葬儀屋くらいのものでしょう」

私もまったく同感です。

どんなビジネスも、リピート顧客によって支えられています。「固定客が出来ること」とは、ビジネスそのものの本来の価値が顧客によって確認されることなのです。

いま、改めて「固定客獲得法」を論じなければならないとしたら、あなたの仕事振りは既に「不特定多数の顧客」相手の20世紀的な、時代遅れのものなのだと自覚してください。あるいは、あなたの商売はどこにでもある、同質化したそれで、従ってあなたの顧客たちが同じような他の店とあなたの店との間を浮遊しているのです。

顧客に「ブーメランのように戻ってきてもらうこと」――これこそ、商売の王道なのです。

2

 「スーパークイン」は実は、世界的に有名な食品スーパーマーケットです。その量的規模においてではなく、質的優秀性によって。「顧客志向のビジネス」に徹しているという、そのレベルの高さによって。

アイルランドは、イギリスの北に浮かぶアイルランド島にある共和国です。北海道と同じくらいの国土を有する国です。「スーパークイン」はそのアイルランド共和国で第4位に位置する小売企業で、日本円に直して年商約500億円、19店舗の陣容です。

昨2003年9月に㈱商業界の視察ツアーで訪れた折に、クインさんに聞きましたら、ヨーロッパやアメリカ、日本から2週間に一組ずつくらいの割合で訪問のグループがあるそうです。それくらいスーパークインの「ブーメランの法則」は世界の小売業者から注目されているわけです。

なぜか。

第一の理由は、実は社長のファーガル・クインさんはアイルランド共和国の上院議員でもあるのですが、クインさんが書いた『ブーメランの法則』という単行本が各国語に翻訳されて、世界中で読まれているからです。その「顧客志向のビジネスとは何か」という内容が、多くのビジネスマンに共感と感動を持って受け入れられているのです。

第二の理由は、本に書かれたことが、そのままスーパークインという企業と店とで実現されていることによります。小売業やスーパーマーケットの店というのは不思議なもので、正確に状況を映し出します。スーパークインを訪れて、顧客志向のビジネスに直接触れると、人々は再び共感し、感動する。それが口コミとなって、各国の商業者を呼び寄せる。

ファーガル・クインさんと「スーパークイン」は、本来の顧客である近隣地域の生活者だけでなく、世界中のビジネスマンを「ブーメランのように」二度三度と引き付けているわけです<ちなみに私はこの夏、再び商業界のツアーをコーディネートして、スーパークインを訪れる予定です>。

では、スーパークインの「リピート・ビジネス」の本質はどこにあるのか。「ブーメランの法則」の鍵はどこにあるのか。

クインさんは書いています。

「お客様に戻ってきていただくことを最大の任務と考えよう」

これです。

あなたのお店ではいつも、お客様に「もう一品買っていただくこと」を考えていませんか。それがお客様に戻ってきていただくことに直結しているのならば良いのですが、お客様から少しでも多くお金をいただくことを狙いとしていたら、「ブーメランの法則」に反します。

あなたのお店では、少しでも多く利益を上げることを話し合っていませんか。それがお客様に戻ってきていただくことにつながっているのならば良いのですが、ちょっとでもお客様に損をさせるような要素を含んでいるとしたら、それは「ブーメランの法則」に反します。

店で行われる営業活動のすべては、「お客様に再び来ていただくこと」につながっていなければなりません。

クインさんは、若いとき、お父さんから、この「顧客志向のビジネス」の哲学を学びました。

お父さんは、アイルランドでホリデーキャンプを経営していました。この商売は、お客様から何日間かの滞在予約をいただいて、お客様が到着されたその日に代金を支払っていただくという仕組みでした。そしてチェックインしていただいたら、「これ以上一切お金をいただきません」と説明していました。

この方法を明言していると、チェックインしてもらったあとは、どんなに努力しても売上げや利益は増えません。従って経営者や従業員の努力は、お客様からさらにお金をいただくという方向へではなく、「楽しかった、また来たい」と思っていただくという目的にのみ集中されます。クインさんもこんなホリデーキャンプのなかで成長していきました。

お父さんはいつもお客様から「楽しかった、また来たい」という声を聞くことを喜びとしていました。

そんなクイン家のホリデーキャンプは、やがて多くのお客様が、チェックアウトする前に翌年の滞在分の頭金を払っていかれるようになりました。すなわちリピート客になっていただけるようになったのです。

クインさんは、「ブーメランの法則」を実践するには、「顧客志向の人」にならなければいけないといいます。すなわち、自分都合で、「もう1品」とか「もう少し高く」だとかを、考えない人にならなければいけないというのです。

そして、「真の聞き手」にならなければいけないと言います。

真の聞き手になるには5つの条件があります。

⑴「聞くしくみ」をつくり、その「しくみ」を動かすこと。

⑵「聞くしくみ」は、必ず数種類の異なる手段をもつべきであること。

⑶トップ自ら、お客様の声を直接聞くこと。

⑷聞きたくない話をすべて、注意深く聞くことに本当の価値があること。

⑸お客様の声を聞くことは、ほとんどの場合、聞き取った問題の解決策を見つけるスタートとなるに過ぎないこと。

第5番目は少し解説が必要です。例えば、お客様から「接客が悪い」という声を聞いたとします。それは事実なのでしょう。しかしトップが従業員や幹部に「接客が悪いぞ」と怒鳴れば問題が解決するわけではないと言うことです。接客を良くするために、社風をよくし、待遇を良くし、コミュニケーションを良くし、そして利益を上げなければなりません。しかしお客様からの評価を知ることが、その最大にして最初のスタートになるのです。

この5つを実践すれば、どんな人でも「真の聞き手」になることが出来ます。そして「ブーメランの法則」を実行することが出来ます。

「良い店」という評価を地域のお客様からいただくために力を注ぐことは、直接、利益に結びつかない場合があります。むしろ、利益とは遠い行動をすることの方が多いに違いありません。

しかし「良い店」であると評価してもらい続けること、「また来たい」と思ってもらえることこそ、成功の定義なのです。

あなたは「ブーメランの法則」に反することをやっていませんか。

〈結城義晴〉

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