結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2005年11月29日(火曜日)

店が死んでいる。   It’s a dead store.

20051129-01

2005年11月12日の土曜日。夕方の4時。
アメリカ・テキサス州の州都オースティン。
市内を縦断して走るフリーウェー35号線。
その35号線に近接した好立地のアルバートソンの店舗。
アルバートソンは米国第2位のスーパーマーケットチェーン。
2004年年商375億ドル(約4兆3000億円)。
ホームセンター全米第2位のロウズ(同年商345億ドル、3兆9000億円)と並んで、ショッピングセンターを形成している。
車もまばらな駐車場にバンを停めて、店内に入る。
やや暗く、なぜかひんやりとしていて、よどんだ空気。
この店は時計回りで部門が配置されている。
左手に向かう。
スターバックスのインストアショップがある。
店員が一人。手持ち無沙汰なしぐさ。
すぐにベーカリーとデリの売場。
それから青果売場へと続くオーソドックスなレイアウト。
しかしこのあたり顧客も店員も見当たらない。
床だけは比較的ぴかぴかに磨かれている。
野菜と果物のアイテム数が極端に少ない。壁面のケース内も、通路上の島ケースの上も。
この店舗左側の突き当たり、マグネットのコーナーには、壁面欄間に“Produce”と、でかでかと表示されている。しかしその真下の売場にはクリスマス用の箱入りのドライグロサリーが並ぶ。奥にガランと以前の青果のバックヤードが広がっている。多分、カット野菜やカットフルーツの対面コーナーだったはず。

20051128-02

そのまま店舗奥の壁面沿いに歩く。ミートの売場から乳製品へ。ここにはバックヤードに女性のパートタイマーがひとりふたり。
副通路のグロサリー売場に入ると、商品のフェースは整然としている。全く売れていないため。一方、がら空きのゴンドラエンドもある。土曜日の夕方に。
棚ごとに黄色のスポッターが羅列されている。“Bonus Buy”。ポイントサービスの一種。
肉売場では茶色に変色したパックが並ぶ。
我慢しつつ奥から右壁面へのコンコースを歩く。
卵の売場。
もっとも売れ筋のレギュラーアイテムが品切れ。唯一残った12個入りのパックは、パッケージが半分破れていて、中の卵が3個ほど割れたまま。
価格を目で追いながら店内を歩いていると、どれもこのエリアで一番高い。
バナナ、コーラ、牛乳、卵、ステーキ肉。
レジは三つほど開いていて、老年の女性、中年の男性が数品目ずつ買っている。
調剤薬局に客がひとり、待っている。
マネジャーらしきメキシカンの男が二人、話しながら、そのレジの前を歩いていった。レジを気にかける様子もない。
この店は死にかけている――。
私はそう思った。
背筋がひやりとした。

20051128-03
(さらに…)

2005年11月21日(月曜日)

中内功さんとピーター・ドラッカーに黙祷

<結城義晴の20日〆行動日誌>

□10月19日、JALでアメリカ・ラスベガスから帰国。アメリカのチェーンストアとカジノビジネスの勉強は刺激的だった。20日、『ファッション販売』『コンビニ』連続拡大媒体会議。21日、午後、小社顧問弁護士の男澤才樹さんと打ち合わせ。その後、『飲食店経営』拡大媒体会議。週が変わって、24日。8時から恒例の月曜ミーティング。11時、緒方知行さんを訪問。15時『販売革新』拡大媒体会議。25日、月例の部長会・編集長会議。午後、㈱商業界会館の重鎮の皆さんと面談。26日、朝から東京青山のペガサスビルで渥美俊一先生と「中内功氏を偲ぶ会」の打ち合わせ。27日、28日、熱海で毎年恒例のアイダスグループ研修会。鈴木國雄さんの主催。28回になります。

□31日、8時から月曜ミーティング。その後、鉢山町の渥美邸で2月ゼミナールの打ち合わせ。11月1日、昨年のAJSのヨーロッパツアー・メンバーが集まって、なつかしの懇親会。2日、新製品開発役員プレゼン。3日、文化の日。神戸、流通科学大学主催の中内功さんの学園葬。9時過ぎに到着すると、ライフコーポレーションの清水信次さん、イオンの岡田卓也さん、平和堂の夏原平和さんらにお会いした。朝8時30分から夕方6時まで、粛々と進行した学園葬。中内さんの遺品の展示や生前のビデオ映写など、意味深いものも多かった。静かに黙祷。帰りにダイエー神戸学園店を視察。2階の衣料売場は既に閉鎖されていた。淡々と売場づくりされている。今後、食品専業店舗として再生を図る。4日、午後から西日暮里の技秀堂へ。『食品商業』青焼き出張校正で、編集長代理の「責了」サイン係。

□7日、8時から月曜ミーティング。15時から第2回商業界商人大賞の審査委員会。委員は法政大学・矢作敏行教授、作家の小林照之さん、商業界全国連合同友会会長の小松務さん、それに倉本初夫主幹、工藤澄人『商業界』編集長と私。受賞者は来年、発表。昨年の第1回商人大賞はファーストリテイリングの柳井正さんだった。8日、小社第1四半期業績報告会。9日、出版合同会議。昼、パチンコチェーンストア協会の嶋内仁さん、小社教育事業部長の横田高明君と銀座でアメリカツアーの反省会。14時からそのパチンコ・トラスティボード有識者懇談会。夕方、神田の誠和監査法人へ。そして10日、NWAでミネアポリスからオースティンへ。20時間。商業界のアメリカスーパーマーケット視察ツアーの先乗り。いつものスプリングヒルズスイーツへ。翌日は早朝のHEBを単身探査。昼前にノブ・ミゾグチ氏と落ち合って、ほぼ全行程の下見。惨憺たるアルバートソンに、衝撃受ける。夕方、ツアーのメンバーを空港に迎えて、この日オープンしたばかりのHEBプラスの最新店とウォルマートスーパーセンターを視察。みな、感激。夜は買物してきた食品と酒でウェルカムパーティ。その後、私の部屋で深夜まで懇親会。この日、ドラッカー逝去。95歳。心からお悔やみいたします。ドラッカーはあくまでジャーナリスト、その文章の書き方は私の手本でもあります。翌朝、早朝のHEBオペレーション視察。その後講義してから、怒涛の視察行脚。HEBセントラルマーケット、ホールフーズ、ウォルマート・スーパーセンター、フィエスタマート、アルバートソン、シアーズグランド、スーパーターゲットなどなど。やはりアルバートソンは惨敗。これ、『販売革新』のパブリッシャー・ボイスに書きました。この欄でも掲載予定。夜はステーキレストランでポーターハウスステーキを堪能。翌朝5時、タクシーを呼んで、ミネアポリス周りで、私だけ帰国。日本は14日夕方。小社役員連と合流して神田へ。

□15日、朝、埼玉・宮原へ。しまむら藤原秀次郎会長と懇談。そのまま鳥取へ。商業界中四国ゼミナール。夕方から、蟹三昧。佐藤勝人氏、上条美由紀さんらとホテルで深夜まで懇親。16日、朝の基調講演。良いゼミナール。鳥取同友会の11人のメンバーが1000人もの参加者を集めた。大拍手、絶賛。スタンディング・オベーション。建築家の安藤忠雄さんともゼミ終了後、熱談。テンポスバスターズ社長の森下篤史さんとも意気投合。この人、面白い。いつか、一緒に事業をしましょう。最終便で帰京。17日、役員会。18日、『コンビニ』『ファッション販売』媒体会議。そして20日、午後、赤坂プリンスホテル五色の間で、「中内功氏を偲ぶ会」。171名のご参加。私は、総合司会。イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん、イオン名誉会長の岡田卓也さん、ユニー創業者の西川俊男さん、ライフコーポレーション会長兼社長の清水信次さん、現ダイエー会長の林文子さん、西友CEOの渡邊紀征さん、カスミ社長の小濵裕正さん、そしてユニクロの柳井正さん。日本の流通業を代表する方々が、中内氏のことを念じつつスピーチし、中内氏のことを心に描きつつそれを聴く。これだけのVIPが3時間半も一堂に会し、話をし、話を聴き続けたことが凄い。「当たり前でないことを、当たり前にし、その当たり前を維持し続ける。これが私の考える流通革命である」<中内功>。最後に中内さんとドラッカーに黙祷。

<結城義晴>

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