昨5日は、ダラスで6店舗視察。
本日6日は、ダラス・プラノ地区を中心に8店舗視察。
何度来ても、何度見ても、
胸がわくわくすることばかり。
元気が出てくる。
アメリカのお店に感謝。
アメリカのお店の人々に感謝。
今回は、そのお店の人々に直接、ご案内いただいた。
これはとても良かった。
感謝。
時差の関係、
および一日の終了時点で、
講義のセミナーを行うため、
このブログにも時差が出て、恐縮。
毎朝、9時には記事をアップして、
皆さんが、その日、生きていく元気のモトを提供しようと考えている。
今回は、そちらは日曜日だし、
遅くなったこと、お許しください。
さらにギルバート氏にご案内いただいたHEBプラスのご報告、
順延しなければならなくなったこと、これにもお詫び。
来週、写真展開します。
さて、アメリカ小売業の最大の問題。
それは驚くなかれ「正札販売」である。
私の命名。
ウォルマートは、ご承知のエブリデーロープライス(EDLP)を、
1980年から始めた。
それからもう、28年。
現在は店頭では「オールウェイズロープライス」の
キャッチフレーズにしているが、
本質は変わらない。
ウォルマートは全米第1位の小売業から、
世界最大の会社へと成長を遂げた。
その原動力となったのが、EDLPである。
しかし現在、ウォルマートが展開していたEDLPは、
その厳密さはさまざまではあるが、
多くの好調企業に採用されている。
テキサスの有力ローカルチェーンHEBは、
ウォルマートへの対抗措置の意味もあって、
「ロープライスエブリデー」を大展開している。
年商127億5000万ドル(役1兆5000億円)、304店。
もともと50%を超えるドミナントエリアエリアを誇る同社が、
ウォルマートそのままと揶揄されながらも、
本格的にEDLPを展開すると、
当然ながら、功を奏する。
ダラスのマーケットストリートも、
EDLPとネーミングを付けられた商品群が、
至るところで顧客にアピールしている。
これらはどれも好調だ。
一方、不調組を見ると、
アルバートソンは3分割されて、
まるで買い物すでもされるように、売却されてしまった。
全米第1位のスーパーマーケット「クローガー」も、
不調に陥った。
同様に、セーフウェイも苦戦の中から抜け出すために
「ニューライフスタイルストア」を次々に出店した。
それでも顧客は動かない。
全米第1位、第2位、そして第3位だった企業が不調組なのだ。
かつてメインストリームと呼ばれたグループである。
そしてその原因は、
セーフウェイやクローガーの店頭を見れば一目瞭然だ。
それは、ハイ&ローの価格政策を続けていることである。
セーフウェイの傘下にあるダラスのトムサムの売り場。
赤いスポッターは特売を示す。
ワイン売り場の赤いカードは、特売である。
売り場中特売の赤いPOPだらけ。
ウォルマートのオールウェイズロープライスの価格に対抗しようとして、
その売価に近づけるために特売価格や会員価格で赤い札を付けると、
それらはハイ&ローとなる。
これでは日本の戦後の闇市で、
客の顔を見て値段を提示した闇市商売と同じだ。
だからますます客が離れてゆく。
しかし逆に見ると、
ウォルマートをはじめとするEDLP派は、
最初から売価をぎりぎりにして、
それを変えない「正札販売」をしていることになる。
そう、EDLPは正札販売なのだ。
もちろんこの正札販売、
ロープライスを謳う限り、
「コモディティグッズに関して」という前提がつく。
(8月31日のこのブログ「誰が値段を決めるのか?②」を参照してください)
【コモディティグッズの定義】
①標準化が進み、技術が発達し、市場が飽和し、
ライフサイクルが成熟化することによって生まれる商品群
②生産者やメーカーなど、ものづくりをする側の製品開発技術が、
一定レベルに到達して、停滞している商品群
③品質、価格、機能、形状等の属性が均一化、共通化、安定化した
商品
④マスプロダクト・マスセールスの領域にある商品群
⑤誰にでも仕入れやすい商品群
⑥消費者全般に一般的な信用があって、売価が似かよった商品群
⑦顧客は実物を見なくとも購買の意思決定ができる商品群
⑧代替性のある商品群
⑨ブランド価値の低い商品群
⑩従って、価格の安さにこそ価値が見出される商品群
このこと、重要なので忘れてはならない。
恐ろしいことに2007年のいま、アメリカの小売業界で、
EDLPという「正札販売」が勝利を収めつつある。
恐ろしいことにそれに気づかぬナショナルチェーンがある。
それに気づいたとしても、
政策を変えられないナショナルチェーンがある。
恐ろしいことに。
<結城義晴>