昨夜、奥田則明さんと会う。
東京・六本木。
奥田さんは、
生鮮食品マーチャンダイジングのコンサルタント。
とりわけ超一流の鮮魚の専門家。
ダイエーご出身。
反骨の人。
24年前、
私は、大阪で、
初めて奥田さんと会った。
ダイエーバイヤーとして、
油の乗った仕事ぶりだった。
その奥田さんと、
したたか飲んだ。
そして、
コンサルタントとしての独立を勧めた。
口説いた。
奥田さんは、
渋った。
しかし、
独立を決断した。
24年後、
今度は逆に、
私が独立。
私の退任を祝って、
ドンペリで乾杯。
「転機には、
押す力と引く力が、作用する。
それが、同時に働けば、良い転機。
逆に働けば、悪い転機」
そうか、あの時、
私は、
奥田さんにとって、
「引く力」だったのだ。
外からの。
そして、
「押す力」も、
あったのだ。
内からの。
だから、
奥田さんの転機は、
良い転機だった。
そして奥田さんは、
コンサルタントとして、
残った。
当時のダイエーは、
今は、ない。
この日、
ダイエーは、
自らのプライベートブランド「セービング」を
2008年度中に廃止して、
イオンの「トップバリュ」を販売することを発表。
かつて800億円強のブランドにまで育っていたが、
2006年度決算時には、200億円弱にまで下がった。
ピークの4分の1の量である。
セービングは、1980年に登場。
まだ、奥田さんも、
ダイエーにいるころ。
先日、アメリカ視察セミナーで、
私とダブル・コーディネーターを務めてくれたノブ・ミゾグチ氏。
彼が、そのセービング第1号「アイスクリーム」を開発した。
ミゾグチ氏は奥田さんの盟友。
奥田さんの紹介で、
私とダブル・コーディネーターを組むことになった。
1996年、
私は、パリで行われた世界的食品フェア「シアル」の、
世界ヒット商品コンクール「シアル・ドール」に、
国際審査委員として参加した。
シアル・ドールの第1回プライベートレーベル部門で、
ダイエーの「セービング・アイスクリーム」を
選考して、持っていった。
大変に好評だった。
確か、第3位に入ったと思う。
それが、消えることになる。
やはり、
ここには、
「押す力」と「引く力」が
作用している。
イオンは、ダイエーの販売力も活用して、
2010年、
「トップバリュ」販売額7500億円を射程に入れた。
商品にも、
会社にも、
人間にも、
「押す力」と「引く力」が、
働いている。
押す力が強ければ、
押されるのが良い。
引く力が加われば、
引かれるのも良い。
両方の力が働けば、
良い転機となる。
奥田則明さんに、感謝。
<結城義晴>