米国小売業の、フォーマット別大手寡占をお知らせした。
「寡占」とは数社によって、
市場のほとんどが占拠されてしまうこと。
それが進むと、2社によって、
あるカテゴリーのほとんどが占有されてくる。
これを私は「複占」と言い続けている。
しかし、ここで誤解してはならないことが二つ。
例えば、日本で、
イオン(イオンというのはグループ名をいう)と、
セブン&アイ・ホールディングスが、
小売市場を複占にもって行くことは絶対にない。
全体を二者が複占してしまうことはないのだ。
フォーマット別に、複占現象は起こるのである。
もう一つ、
寡占、複占といっても、
完全に数社、あるいは2社ということも絶対にない。
「ほとんど」である。
「ほとんど」というのは、
そのマーケットの65%から90%くらいであろうか。
これ、実証できているわけではない。
まったくの感覚。
しかし、例えば65%とすると、
残りの35%は、その他大勢の企業や店によってカバーされる。
この35%のマーケットは、個性ある中小企業にとって、
潜在的で巨大な成長市場である。
だから中小も生き残り、成長することが可能になる。
複占が90%ならば、残りの10%を他の多数の、
個性ある企業群が分け合うことになる。
滅びるのは、複占を目指して、
それがかなわなかった「大志向」の企業だ。
アメリカにはそんな事例が、たくさんある。
かつてのゼネラルマーチャンダイズストア
モンゴメリーワード。
最近のディスカウントストアおよびスーパーセンター
Kマート。
3社から2社になるとき、
残った両者は、驚くほどの高い収益性を示す。
だが、その次に来るのは、
そのフォーマット自体を奪い尽くす新しい革新者である。
デパートメントストアの多くが、
ゼネラルマーチャンダイズストアに奪われたように。 そしてゼネラルマーチャンダイズストアが、
ディスカウントストアに取って代わられつつあるように。
ああ恐ろしや、恐ろしや。
17日間漂流者の世迷言と受け取ってもらってもよい。
<つづく、結城義晴>