勤労感謝の日。
私も、このところ働き詰め。
勤労感謝の日には、働けることに感謝しよう。
そして誕生日と同様に、
働くことの出来る肉体と環境を与えてくれた母と父に、
感謝しよう。
私の著書『メッセージ』から。
「働くこと」
「働くこと」への深い理解が求められている。
働くことの中身。
働くことの実態。
働くことの動機。
働くことの目的。
そして働くことの喜び。
どんな環境の中で働くか。
どんな時間帯に働くか。
どんな制度の中で働くか。
どんな会社で働くか。
そこからどんな働き甲斐が生まれてくるのか。
私たちは誰もが、このことに対して、
自分なりの回答を用意しておかねばならない。
それなくしては、
企業活動も、
組織運営も、
日常生活もまっとうできない。
経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の意味を、
示さねばならない。
そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の意思を、
伝えねばならない。
「働くこと」を通じた意思疎通は、
「労働」への
深く、謙虚な理解から、
生み出されるのである。
さて、11月15日。テキサス州プラノ市。
人口120万人の巨大都市ダラスから車で20分ほどのサバブ。
人口は25万人。
平均所得7万9000ドルという高級住宅地。
そのプラノにオープンしたウォルマート・スーパーセンター。
リンゼー・ケリーさん、22歳。
フロントエンドのデパートメント・マネジャー
フロントエンドとは、レジ・チェックスタンドのこと。
この全米注目の店舗のレジ部門を仕切る。
本当に率直に、話してくれた。
「ストアディレクターが1人。
コア・マネジャーが2人、
アシスタント・マネジャー8人。
デパートメント・マネジャーは20数人」
ウォルマート・スーパーセンターの平均的マネジャー構成より少ない。
「このうち、サラリーはアシスタント・マネジャー以上の人」
約400人のアソシエーツのうち、月給は11人。
デパートメント・マネジャー以下は全員時給で働いていることになる。
すなわち、パートタイマーなのである。
<月給制で働くアシスタント・マネジャーのミーラ・ディエペンホーストさんとのツーショット>
リンゼーさんは、ウォルマートに働き始めて、
1年で部門マネジャーに昇格した。
そして、この話題のプラノ店に配属されて6カ月。
「私の役目は、常にフロントエンドをコントロールして、
カスタマーを待たせないこと」
「今日、木曜日はスローデーだが、
ウィークエンドとマンデーは込んでいる」
リンゼーさんの時給をズバリ聞いた。
「10ドル70セント」
120円で換算して、1284円。
「最初は8ドル70セントでスタートして、
今は10ドル70 セント。
デパートメント・マネジャーの最高は20ドル。
ミートのマネジャーがそれ」
彼女の夫も、ウォルマート・アソシエーツで、
現在、最注目のハイランドビレッジ店に勤務している。
サポート・マネジャーで、やはり時給制で働くが、
社員持ち株制度で、ウォルマートの株を所有している。
だから自分の仕事が上手くいき、
会社の業績が上がると、
会社の株価も高くなり、
自分たちの資産が増える。
夫婦揃って、当然、熱烈なウォルマート派。
ウォルマートは盛んに昇格を行う。
「一生懸命仕事すれば、給料が上がる。
ポジションも上がる。
それが公平で、良いと思う」
「これなら、利益、出るよなぁ」
日本人の視察団員から声が上がった。
ウォルマートの社員待遇に関しては、さまざまな批判がある。
しかし、こと、アメリカ本土に関しては、
これでウォルマートがやり続けてきたことは紛れもない事実である。
ここで、時給で働くデパートメント・マネジャーが、
いかにモティベーションを維持し、向上させているのか。
それが、ウォルマートの成長の鍵を握るものであることは確かだ。
Kマートの社員の働き振りを見ていると、理解できる。
日本でも、ヨークベニマルやヤオコー、サミットの、
そしてユニクロやニトリの、
女性パートタイマーの動きを観察していると、
ウォルマート・アソシエーツに通ずるものを感じる。
リンゼーさんの第一声。
「常に、フロントエンドをコントロールして、
カスタマーを待たせないこと」
この使命感と、それを言葉にするときの彼女の真剣さが、
彼女のモティベーションを物語っていた。
「働くこと」を通じた意思疎通は、
「労働」への
深く、謙虚な理解から、
生み出されるのである。
<働き詰めで、疲労困憊気味の結城義晴>