「商人舎」と会社の名前に「人」を入れました。
その、「人」に関連して言うならば、
私は「人間力経営」を唱えています。
私の著書『メッセージ』。
その最終章<第10章・エピローグ 人間力>
“Last Message”
最後の決め手は、
どんなときにも
人間力となる。
わたしは
いつも、
その人間力を信じたい。
かつて
すべての商業は
「足し算の経営」だった。
百貨店という経営体は、
その商業の中で最大の存在ではあったが、
今でもこの足し算の領域にあって、
だから「そごう」の網の目理論は破綻した。
アメリカで起こったチェーンストアは
20世紀の小売産業に
革命的な「掛け算の経営」をもたらした。
しかしほとんどの企業はそれに徹することができず、
ご都合主義で足し算と掛け算を混ぜ合わせ、
その弥縫策としての引き算と割り算に終始した。
一方、インターネットビジネスは
息もつかせぬ「累乗の経営」で、
足し算と掛け算の分野を呑み込むかに見える。
けれど結局は、ほんのひと握りの英雄を残して、
二乗、三乗、四乗のスピードで
世界を塗り変えつつ、残骸となってゆく。
ここには累乗分の多大なリスクが潜む。
彼らにとっても最後の決め手は
やはり人間力であるからだ。
孟子の性善説も筍子の性悪説も超越した次元での
組織的な人間たちの総力が、
顧客満足と市場競争力を生み出す最後の砦となる。
そのための生き残りをかけて、
数え切れないほどの葛藤や闘争が繰り広げられるだろう。
幾多の誤解や錯覚が生じ、
あまたの誹謗や中傷が飛び交うだろう。
それでも
わたしは、
人間力を信じたい。
足し算や掛け算のフィジカルな世界においても、
累乗のバーチャルな領域においても。
わたしは
永遠に
人間力を信じたい。
これは、2000年9月、
私が『食品商業』という雑誌の編集長を辞めるときの、
最後の巻頭言として書いたものです。
インターネットビジネスのくだりなど、
私の予言が当たっていることが多く、
自分でもちょっと驚きます。
このとき私は、
『販売革新』編集長に人事異動が決まっていたのですが、
11年間、編集長として育てた『食品商業』への思いが、
この“Last Message”を書かせてくれました。
そしてこの“Last Message”は、単行本の最終章へ。
いま、私は、「人間力経営」は三つの力の掛け算の結果、
すなわち「積」であると考えています。
三つの力とは、
「心の力」
「頭の力」
「体の力」
少年ソフトボールの子供たちや親たちに話すときは、
これを使います。
仕事のスキルや会社の経営に使う時には、
三番目の「体の力」は「技の力」とします。
それぞれに、
「理念武装」
「理論武装」
「技術武装」
が必要とされます。
三つの力、三つの武装、
その積によってできている人間力ですから、
どれかがマイナスになると、
結果はマイナスになってしまいます。
ここで「理論」や「技術」はマイナスになりにくい。
「心の力」が負になることが多い。
超一流のプロフェッショナルが陥るスランプなどは、
「心の力」がマイナスになるからです。
それを補うのが「理念武装」。
「損得より先に善悪を考えよう」という「理念」が、
私たちに不可欠なのは、以上のような理由があるからです。
「心の力」が負になると、
「人間力」はオセロゲームのように、
マイナスになってしまう。
だから「心の力」をいつも、プラスにしておく。
ポジティブにものを考える。
前向きに生きる。
私たち商人舎の根っこにあるものは、
このプラス志向です。
その上で私は、いつも自分に言い聞かせる。
「心は燃やせ、頭は冷やせ」
週の締めくくりをより良いものに。
そして良い週末を。
願っています。
<結城義晴>
追伸
商人舎設立にお花をお贈りいただきました。
小川寛専務取締役ともども、
御礼申し上げます。