今日は、社会科の授業。
日本の産業動勢。
2005年度統計だが、
国内総生産は、520兆8298億円。
「名目GDP」といわれるものだ。
1年間に国内で生み出された付加価値の総額。
付加価値とは、市場で取引された「財」や「サービス」のこと。
生産・製造され、流通し、販売された商品、
同じくつくり出され、提供されたサービス。
これらの総額を国内総生産GDP(Gross Domestic Product)という。
「名目」というのは、その年の市場価格で計算したもの、
「名目」に対して「実質GDP」というのがあるが、
これは物価変動を加味して、計算しなおしたもの。
ちなみに、かつて国民総生産(GNP)という指標が使われた。
私が学生の頃は、これだった。
GNPは海外に住む日本国籍の人が
生み出した付加価値を加えたもの。
それを加えない方が、
日本の経済力を正しく把握できるということで、
GDPが使われている。
さて日本のGDPのうち、第1次産業は、7兆5074億円。
農業・林業・水産業。
全体の1.4%にすぎない。
第2次産業は、137兆3903億円、
製造業・鉱業・建設業などは、
26.4%を占める。
メーカーと呼ばれる製造業だけ取り上げると、
105兆1952億円の20.2%。
第3次産業は、375兆9321億円で、
72.2%を占める一大勢力である。
小売業・卸売業をあわせて商業というが、
商業は69兆0841億円で、
産業全体の13.3%を占める。
商業の影響力は、大きい。
だいたい13%と覚えておくとよい。
しかし、第3次産業の中で、
「サービス業」と呼ばれる分類がある。
これを第4次産業と言ったりするが、
サービス業が107兆6563億円。
日本の産業全体の20.7%。
なんと2005年にサービス業は、
製造業の20.2%を追い抜いているのだ。
1996年からの10年間で見る。
製造業は12兆円のマイナス、
2.2%も減じている。
商業も、6.4兆円、1.1%のマイナス。
それに対して、サービス業は、
15.1兆円のプラス、3%伸びている。
日本産業界中、最大の成長産業である。
「もの」よりも「こと」などと言ったりする。
製品を提供することも大事だが、
それにくっついているサービスがもっと重要になっている。
しかし。
もっともっと、
細かく見てみよう。
このサービス業はさらに3つに細かく分類される。
公共サービス、対事業所サービス、対個人サービス。
サービス業というと対個人サービスを思いがちだが、
国内総生産の中のそれぞれの金額は、意外なものだ。
公共サービスが、27兆5603億円、5.3%のシェア。
対事業所サービスが、43兆0801億円、8.3%。
そして対個人サービスは、37兆0158億円で、7.1%。
一般に言われるサービス業は、
この10年で2000億円0.1%の伸び。
対して、
事業所サービスは7.3兆円1.4%の成長。
これも知っておかねばならない。
欧米では、SOHOという。
スモール・オフィス、ホーム・オフィス。
昔でいえば、中小企業。
今でいえば、ベンチャー。
そういった企業の事業所に対するサービスも増えている。
「後工程はお客様」のビジネス。
この後工程に対するサービス業。
B2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)と言ったりするサービス業。
私の言う「保険業のたとえ」。
保険には、生命保険と損害保険がある。
生命保険は、対個人。
損害保険は、対法人。
生命保険会社の方が規模が大きい。
損害保険会社は、生命保険会社に比べて規模が小さい。
しかし、損保の重要性は高まっているし、伸びている。
そういえば、アメリカのコストコは、
このビジネス対応サービスを、小売業の中に組み込んで、
日米共に大成功している。
マクロな統計は、それだけでは、
ビジネスをつくることに役立たない。
しかし、「すでに起こった未来」を確認することはできる。
日本のGDP動向から、あなたはどんな「未来」を読み取るか。
全体像を頭に入れて、仕事に励んでほしい。
ピーター・ドラッカーの言葉。
「事業を行う者にとって重要なことは、
『すでに起こった未来』を
確認することである。
社会、経済、政治において重要なことは、
『すでに起こった未来』を
機会として利用することである」
至言。
<結城義晴>