4月23日、東京麻布台・商業界会館。
商業経営問題研究会が開催された。
リテイル・マネジメント・ラーニング・サークル。
RMLC。
最初に、座長の私からご挨拶。
先日の「商人舎発足の会」のお礼と、
そのときの主張のエッセンスを、
45分ほどお話させていただいた。
「知識社会の知識商人を養成する」
皆さんありがとうございました。
さて、今回は、世話人のお一人品川昭さんのご報告。
品川さんは、品川エコ・エコノミー研究所所長。
パワーポイントを使っての、
丁寧なレクチャー。
テーマは、
「SM競争力研究のレビューと競争の現局面」
第一講は「SM競争力仮説のレビュー」
これは数年前から議論されていた「杉山ゼミ」の内容総括。
杉山昭次郎先生が座長、
磯見精祐さんが事務局長となった豪華版の勉強会。
その杉山ゼミでの長きに渡る議論の結論らしきものが、
品川さんによって解説された。
小売業における競争の定義。
・地域マーケットにおける
・店と店との
・顧客を取り合う
・闘い
安土敏さんの表現を借りると、
「小売業の競争は、
もともと寡占化の中で展開される」
私もこのご意見に、賛成。
すなわち、相手が見える競争。
だから「競合店対策」が盛んに研究される。
「競争力」の定義。
競争力とは、二つの側面を持つ。
①競争に強い店づくりが出来ること
②競争に強い小売りチェーンであること
①は、競争がどんなに激しくなっても、
継続して利益を保持し、
存続できる店。
②は、チェーンストア・マネジメントシステム、
マーケティング能力、
財務力、
この3要素で構築される。
競争に強い店づくり能力は、
・立地開発
・店舗企画
・商品・サービス・品揃え・売り方
・業務システム
・人的能力開発
この5つの要素に収斂される。
そして、これらの要素すべてにおいて、
競争相手に対し優っていること、
あるいは2~3の項目で突出して高いこと。
さらに絶えず店づくり能力を高めることが重要。
これ、杉山理論の真骨頂。
私は、「2~3の項目で突出して高いこと」
という表現が、何というか、好きだ。
ここから品川さんの展開は、
「能力⇒使命⇒利益」の循環理論へ。
そして「SMにおける競争と進化の過程」
「店づくり能力向上とイノベーション」
「業態開発過程」
そのための「マネジメント三層構造」へと発展する。
品川さんは、ヤオコーのケースとサミットのケースを対比させて、
三層構造を説明。
このあたりで、質問や議論交換。
面白かったのは、ヤオコー大塚明常務の発言。
「サミットさんは男社会。
当社は女社会」
たとえ話だが、よく分かる、という意見が多かった。
ここから先、再び議論百出だが、
読者の皆さんに自分で考えていただこう。
品川さんの第二講は「SM競争の現局面」
1997年と2007年の政治経済比較。商業統計の10年比較。
日本のスーパーマーケット、共同仕入機構の、
規模的競争力比較、
食品マーケット規模、資本統合、
そして「現局面とこれからの競争」の俯瞰図。
結論は「新たなフォーマットの創造」
ここでも議論百出。
1時30分から始まった研究会は、夕方5時まで続いた。
最後は、直近の値上げ問題の核心にまで迫る意見が出て、終了。
ありがとうございました。
よい研究会でした。
この研究会は、杉山先生、磯見先生のご功績の上に立って、
ずっと続いてきたもの。
充実させつつ、成果を生みたい。
またわが商人舎でも、いくつかの研究会を発足させたい。
乞う、ご期待。
<結城義晴>
[追伸]
私の著書『お客様のために いちばん大切なこと』
全国の書店に並び始めました。
一度、手にとってご覧ください。
よろしくお願いします。