アメリカ報告は、まずコーネル大学関連の話から。
5日の夜、私たちはコーネル大学教授陣とミーティングし、会食した。
エドワード・W・マクラフリンさん(右)と、
同ウィリアム・ドレークさん(左)。
場所は、ウィンホテルのアメリカン・フレンチレストラン。
今年秋から開講される
「コーネル・リテール・マネジメント・アカデミー」
略してCRMA。
その打ち合わせと契約の話。
日本側は、5人。
左からCRMAを推進するFMIジャパン事務局・中間徳子さん。
そしてCRMA日本側責任者の私を挟んで、
日本セルフ・サービス協会会長の増井徳太郎さん(紀ノ国屋社長)。
同協会事務局長の島原康浩さん。
セルフ・サービス協会は、
CRMAの生みの親の役目を果たしてくれている。
さらにCRMAの事務局として動いてくださっている大高愛一郎さん。
正式にコーネル大学の了解をいただいた。
コーネルのロゴを使うことも許可された。
これは、CRMAジャパンが、
コーネル大学フード・インダストリー・マネジメント・プログラムの、
日本ブランチのようなポジショニングを与えられたことになる。
さらに1年間の研修の修了者に、
コーネルからの修了証を発行してもらうことが決まった。
そこで固い握手。
ありがたいことだ。
本当に。
私たちは、日本の産業内大学を設立したいと考えた。
すなわち「日本スーパーマーケット大学」。
もちろん今のところ学校法人としての設立ではない。
しかし、内容は、コーネル大学で42年間、教えられているもの。
フード・インダストリー・マネジメント・プログラムの中の
「フード・エグゼクティブ・プログラム」。
そのエッセンスを直接、講義していただき、
なおかつこの基本に沿って、
日本のスーパーマーケット・マネジメントに、
必須のカリキュラムを加えたものになる。
すでに私のつくった70時限分のカリキュラムは、
大高さんによって翻訳され、
マクラフリン教授のもとに送られている。
彼はそれを高く評価してくれた。
私には、それがうれしかった。
これで正式に、CRMAのプロジェクトが、一歩進んだ。
この夜は、互いに、質問し、
互いに答え、
理解を深め、
協働の念を強くした。
食事とワインがすすむにつれて、
さまざまな議論がなされた。
今、アメリカのスーパーマーケット業界の話題の一つは、
イギリスのテスコが始めた「フレッシュ&イージー」にある。
マクラフリン教授のコメント。
「6カ月で、65店になった。
テスコは、アメリカのマーケットとコンシューマーを、
リサーチし、マーケティングして、
4つの傾向が必要であることを分析した。
①バリュー(ロープライス)
②コンビニエンス
③フレッシュネス
④ユニーク
そしてこの4つの要素すべてを、
1000㎡あまりの店に、
詰め込もうとした。
それが今のところうまくいっていない要因だと思う」
結城義晴のコメント。
「テスコは5年間もかけてマーケット調査し、
プライベート・レーベル・ブランドを開発した。
しかし、いかにプライベート・レーベルが、
安くて、安全で、品質が良くても、
アメリカのナショナル・ブランドを凌ぐことは難しい。
だからプライベート・レーベルが顧客に受け入れられるには、
ストア・ロイヤルティが確立しなければならない。
テスコの小型店は、イギリスではストア・ロイヤルティが高く、
プライベート・レーベルの品揃えが多いが、
アメリカではまずストア・ロイヤルティがないに等しいから、
このプライベート・レーベル主体の店は、
苦戦するだろう」
「ストア・ロイヤルティは、
商品ブランドよりも上位にくる概念となる」
マクラフリン教授は、
「プライベート・レーベル・ブランド」という表現を使った。
私もそれに準じて、「プライベート・レーベル・ブランド」と、
表現した。
通訳は、中間徳子さん。
ダイエー創業者の故中内功さんの通訳兼秘書をしていた才媛。
マクラフリン教授と私との間で、
見事な仲立ちをしてくれて、
議論も弾んだ。
夕方、6時からの会談と食事は、
あっという間に9時を過ぎ、
私たちは、10月3日の再会を約して、別れた。
全員が、満足の顔つき。
夜空に浮かんだウィンホテルの姿も、
ラスベガスのメインストリート「ストリップ」の夜風も、
私たちには、心から気持ちよく感じられた。
ここまでの功労者は、
大高愛一郎さんと中間徳子さん。
お二人に、心より感謝しつつ、
私たちは、フラミンゴ・ラスベガスまで、
歩いて帰った。
<結城義晴>