6月26日、東京・麻布台。
故磯見精祐さんの遺志を継いだ商業経営問題研究会が、
商業界会館2階ホールで開催された。
通称「RMLC」(リテール・マネジメント・ラーニング・サークル)
新しいメンバーも、お二人加わって、
報告も、議論も、充実。
まず、座長の私が、渡米前に、お話。
テーマは、
「米国スーパーマーケットの小型店開発を斬る」
ウォルマートのネイバーフッドマーケットの展開ぶり。
テスコ・フレッシュ&イージーの狙いと現状。
セーフウェイのザ・マーケットの動向、
そしてウォルマートのマーケットサイドの予測。
コーネル大学マクラフリン学部長と、
ジン・ジャーマン名誉教授の見解。
そして私の考え方。
一通り、お話した。
「小型店開発は、大型化よりも難しい」
これが、私の持論。
ウォルマートもテスコも、
セーフウェイも、
成功させることが出来るかどうかは、
未知数だ。
頭と手を使う「知識商人」として、本当に難しい仕事だから。
テスコがイギリス本国で、
テスコ・エクスプレスを成功させているのは、
テスコのレギュラータイプや
スーパーストア、テスコ・メトロなどで、
圧倒的な国内シェアとロイヤルティを築いているから。
そして小型店と大型タイプ、中型タイプの、
補完関係を見事に整理しているから。
整理しているとは、
それぞれの立地と品揃えを吟味して出店しているということ。
それがないところでの、
小型店開発は、リスクが一杯。
ウォルマートのネイバーフッドスーパーマーケットを見るがよい。
スーパーセンターの食品部門切抜きでは、
ディスティネーションストアにならない。
しかしまれに、立地に恵まれた店では
成績を残している。
極めて少ないが。
ちなみにチェーンストアの考え方は、
どんな店も頑張れば必ず良くなる、
という盲信を排除する。
ウォルマートもテスコも。
特別の手当てをせずとも「儲かる仕組み」を、
必死になって考える。
そしてそんな店を次々につくっていく。
この姿勢である。
だからこんな議論をし、試行錯誤する。
仕組みをつくって、仕組みで動かさねば、
長続きはしないからである。
ドラッカー先生は書き残している。
「イノベーターはリスク志向ではない。
イノベーターは機会志向である」
さて私の次は、品川昭さんの総括。
「業態変遷と流通革命のこれから」
3カ月間、世話人として報告してくださった、そのまとめ。
品川さんは、
1950年から1980年を第1次流通革命、
1980年から10年間移行期があって、
1990年から2006年までが第2次流通革命。
そしてこれから、
Next Revolutionが起こると総括。
みんなから議論が出た。
「流通革命とは、
サプライチェーンの支配力を取ること」
いや、
「流通革命とは、
消費者主権を確立すること」
いやいや、
「これまでの日本の流通革命とは、
小売店の寡占を打ち破ったこと」
「革命」とは、
急激に体制の変化を生み出すこと。
だから、現象的に見れば、
急激に変化が起こったときを、
思い出せばよい。
それはあったのか。
あったとしたら、いつなのか、
どんなことで起こったのか。
こんな青臭い議論をしている研究会は、
見当たらない。
でも、議論しつつ、
全員が考えていた。
果たして「流通革命」と呼べるものが、
日本の商業世界に起こったのか。
このブログでの議論の展開を、待ちたい。
Good Night.
<結城義晴>
追伸
商業経営問題研究会、
今回、ウォルナットさんが参加してくれた。
素晴らしいウォッチャーであり、
的確な分析者。
会のあと、神谷町の「古」で一献。
ウォルさんに感謝。