食品値上げが相次いでいる。
いつまで続くのかと消費者は不安にかられている。
この消費マインドの不安感が、実は、一番の問題である。
いわば「共通の敵」「みんなの敵」である。
本日の日経新聞一面トップに、
「値上げ食品の売上げ減」という記事が取り上げられている。
ほとんどの商品で、値上げ後に売上げが激減。
しかし伸びているアイテムもある。
日本ハムシャウエッセン。
キリンのどごし。
雪印ネオソフト。
AJINOMOTOキャノーラ油。
日清フーズ マ・マースパゲティ。
一番手ブランドは、値上げ後も、
売上げダウンを免れる可能性を持つ。
二番手以下が、大幅にダウンする。
そしてその二番手以下に取って代わって、
小売業のブランドが購買される。
二番手以下のナショナルブランドメーカーは、
そこでプライベート・レーベルをつくることにもなる。
値上げによって、消費者は、商品の価値を見る目を持った。
類似商品は、いらないと、声を上げ始めた。
それがナンバー1ブランドと、
それと同じ用途・目的のプライベートブランドの、
「複占」状態を生み出しつつある。
「複占」とは、二者によって、
ある限定されたマーケットのほとんどが、
占有されてしまう状態のこと。
値上げによって、商品分野で、それが起こり始めている。
さて、お約束どおり、5月30日にグランドオープンしたSCの紹介。
イオンおゆみ野ショッピングセンター。
千葉市緑区おゆみ野南。
24時間営業のマックスバリュおゆみ野店とヤマダ電機が核店。
駐車場1500台、駐輪場550台[これからは駐輪場が重要になる]。
敷地面積は、6万3412。
商業施設の面積は2万4024。
SC全体の商圏人口は、12万人、約4万2000世帯と設定されている。
建物は、マックスバリュをコアにしたイオン棟とヤマダ電機の棟。
このSCの最大の問題点は、この2棟が離れていながら、
マックスバリュとヤマダが接近していること。
全体の回遊性が悪くなっている。
ショッピングセンターは、
全体最適でなければならない。
これが大原則。
だからイオン棟は、マックスバリュの1核の様相を呈している。
そのイオン棟、二層のエンクローズドモール形式。
しかし食品スーパーマーケットのマックスバリュは、
レベルが上がってきた。
生鮮食品の鮮度、品揃え、惣菜デリの味とメニュー。
ドライグロサリーの品揃えと価格。
そしてプライベートレーベル・トップバリュのお値打ち感。
オープン初日の取材であったため、
生鮮食品の鮮度などは正確には判断しかねるが、
オペレーションレベルが上がり、
客数が伴えば、生鮮の鮮度は高く維持される。
イオングループに、そのことが分かってきた。
マックスバリュの入り口は、
ヤマダ電機に近い駐車場側からと、
SCコンコース側からとの二つ。
駐車場からの入り口脇に、地場野菜のコーナー。
地産地消。
千葉県は「千産千消」を謳っている。座布団一枚。
県内産地から、ナス、キューリ、トマト、トウモロコシ、
小松菜、ブロッコリなどなど。
千葉県は農産県だ。
メイン通路の島陳列で、キウイフルーツ・ゴールド。
陳列も丁寧。スキルがあがった。
手前は籠盛のマンゴーなど。
これも上手な陳列。
主通路右側に、「オーガニック食品コーナー」
全国から取り寄せた。
意欲的試みだが、
まだコーナーづくりでお目見えという段階。
全カテゴリーに有機食品やオーガニックが入ってくるのは、
もう少しか。
冷凍食品は、平オープンケース。
床のウェットルックは、日本でも当たり前になってきた。
カレーのエンド。
グランドオープンだから、
そして88円だから、これだけ積むことができる。
日常的に、これだけのボリューム感を、
エンドで主張出来るようになれば、強い。
12万人商圏のスーパーマーケットならば、
価格の出し方とエンドの組み立て方、ダミーの使い方で、
エンド陳列の迫力を出すことが出来る。
ウォルマートのエンドは、その意味で参考になるはず。
鮮魚売場は、スーパーマーケットの奥壁面沿い。
調理作業場つきのアイランド形式の売場。
客数が多ければ回るが、減ってくれば悲惨。
日配品は、訴求品目を絞り込んで、
ボシューム陳列。
オープン当初だけでなく、
常時、この絞込みと提案があれば良い。
ソーセージは、1アイテム大量販売。
これもよい売場。
惣菜は、鮮魚部門と同様に、
アイランド形式の売場と、壁面売場の二段構え。
和風惣菜がアイランド側。
壁面の角に、デリカテッセン売場。
そして、SCと面した主通路に洋日配やデザート売場が配置された。
この形式を、SCでは採用し続けるのだろう。
無理なく、顧客を誘導できる。
SCテナントは1階に52店。
2階に36店。
100円ショップのキャンドゥは2階。
イオン・ファンタジーも2階。
精文館書店は、マックスバリュと反対側の、
すなわちヤマダ棟とも反対側のエンドで核店の機能を果たす。
1階にはペットシティがあって、これも核店機能。
しかし、この二つでは、SCのアンカーストアとして弱い。
ドラッグは、カラダラボ。
マックスバリュも薬剤師配置のフード&ドラッグであるから、
SCの中に2カ所ドラッグがあることになる。
顧客からみたら、便利だ。
このSCは、赤ちゃん休憩室や、
リラクゼーション施設、スポーツクラブ、
歯科クリニック、美容室、ネイルサロンなど、
非物販を強化・充実させている。
それが、特徴でもある。
さらに外食も、フードコートだけではなく、
レストラン等も16店入れた。
805万本の植樹を掲示したボード。
イオンおゆみ野SCは、機能としてみると、
リージョナルショッピングセンターやモールと呼ばれる大型ではない。
ジャスコと呼ぶ総合スーパーや百貨店を核にしているわけではない。
かといってスーパーマーケットを核とした小型SCでもない。
ネイバーフッドショッピングセンターではない。
ではこのSCは何か。
このSCは何を狙っているのか。
マックスバリュのスーパーマーケットとヤマダ電機。
アメリカのショッピングセンターの分類の中型を、
コミュニティ型SCと呼んだ。
このおゆみ野の施設は、まさに敷地2万坪・駐車場1500台の中型SC。。
そして地域コミュ二ティを極めて重視しているところを見ると、
「コミュニティ型SC」といって差し支えないだろう。
このSCは地域との一体感を狙っている。
その意味で、周辺の商業施設と違っている。
富士南SC、泉大沢SCについで、
イオンが地域コミュニティ密着型の中型SC開発に乗り出した。
そう捉えるのがよい。
「中型SC]――中途半端なようだが、
明らかに「ライフスタイルセンター」ではないのだから、
中型コミュニティショッピングセンターと、
位置づけるのが妥当であろう。
SCの位置づけに関しては、議論があろう。
今後、整理を試みたい。
<結城義晴>