商人舎7月の標語。
「Save Money! Live Better!」
<財布は閉めよ!よりよく生きよ!」
アメリカでは、まったくこのとおりです。
品質を守り、その上で価格の安さを提供する企業が好調。
アップグレードの店にやや、陰りが見え、
中庸を求めた企業は苦戦。
コストコ・ホールセールと、
ウォルマート・スーパーセンターは大繁盛。
ターゲットは、価格を前面に出し始め、
クローガー、セーフウェイ傘下のトムサムなどは、
いま一つ。
HEBは、アップスケールタイプもレギュラータイプも良好。
ホールフーズに、ちょっと陰りが見え、
ローカルチェーンは、頑張って自分の顧客をつかんでいる。
私たちは、6月30日、テキサス州オースティンに降り立って、
まずHEBのセントラルマーケットを訪れた。
HEBは、さらにレギュラータイプのフード&ドラッグ、
そして、HEBプラスというノンフード強化型の大型店を訪問。
このオースティンにヘッドオフィスを置くホールフーズは、
本部ビルの1階の2000坪の旗艦店へ。
そして3時間のバスの旅でダラスへ上ると、
まずウォルマートへ。
アップスケールタイプ&環境配慮型の最新店ハイランドビレッジ。
さらにもう有名なアップスケール型モデルのプラノ店と、
環境対応型モデル店のマッキーニ店。
そして、ウォルマートの食品スーパーマーケットの
ネイバーフッド・マーケット。現在134店。
アメリカ小売業ランキング上位の総合店は、2社。
メンバーシップ・ホールセールクラブのコストコ。
全米小売業ランク第5位で年商644億ドル(分かりやすく1ドル100円で換算すると6兆4400億円)。488店。
スーパーセンターのスーパーターゲット。
ターゲットは全米第6位、年商634億ドル。
食品スーパーマーケットでは、全米第1位のスーパーマーケット
クローガー。
年商702億ドル。全米ランクは第4位。
そしてニューライフスタイルストアのセーフウェイ系トムサム。
セーフウェイは全米10位。年商423億ドル。
ローカルチェーンは、スプラウツ・ファーマーズマーケット。
これは八百屋の新フォーマット。
そしておなじみのマーケット・ストリート。
これはフードサービス強化型スーパーマーケット。
さらに最後に、私たちはリージョナルショッピングセンターを訪れた。
ギャラリア・ダラス。
超話題のアパレル・ファッション
「アバクロ」にも行った。
こちらも値ごろの衣料が、
現代感覚で売られ、人気。
ファッションのみでは、今、売れない。
値頃であることが、もっとも大事なのだ。
私は、米国FMI会長ティモシー・ハモンズさんの言葉から、歴史に残る商人舎第1回USA研修会の講義を開始した。
ハモンズさんは8つのポイントを強調。
それがそのまま現状のアメリカ小売業を示していた。
①2007年度の米国スーパーマーケットのトータル業績は、40年間で最高だった。
税引き後の純利益率は、1.92%。
これまでは、平均すると、ずっと1%ぎりぎりという水準だった。
②2008年は、経済環境が悪化し、消費が激変する。
消費者の多くは、外食を控え、家庭で食事するようになった。
食品の価格は、原材料の値上げに伴って高騰した。
③ナショナルチェーンといわれる全国展開の大企業よりも、
リージョナルチェーンが良かった。
ローカルチェーンも奮闘した。
再投資した会社が利益を出した。
1.店そのもののハードウェアの改装
2.情報システムへの再投資
3.高品質の商品やハイクオリティのプライベートブランドなど、
商品への再投資
④ウォルマートと、生き残ったスーパーマーケットがすみ分けする時代になる。
⑤焦点の部門は、処方箋薬局とインストアクリニック。
医食同源の傾向が強まる。
⑥食品の安全性から中国からの輸入食品は嫌われる。
⑦アメリカには、日本以上に強い不況感が蔓延し、
1.低価格が強い共感をもって受け入れられている。
2.プライベートブランドが伸びている。
⑧「企業は走り続ければ、道は開けるし、健康になる。止まれば、不健康になる」
全く、そのとおりだ。
規模は小さくとも、
自己変革をし続ける店や企業は、伸びる。
ウォルマート・プラノ店も、今週、
大きな組織替えをした。
組織を変えるから、売り場が変わる。
そのことを、怖がっていない。
勇気をもって、変わろうとしている。
イノベーションの連続。
それを自ら起こそうとする者だけが、
生き残る。
明日は、早くもニューヨークへ。
ボン・ボヤージ。
<結城義晴>