消費者物価が上がっている。
6月の全国消費者物価指数は、
10年5カ月ぶりに前年同月比で1.9%上昇。
まあ、10年間、消費面はデフレだったが、
それがインフレに変ったということ。
消費実態からするともうずっと、
上がり続けているように感じられるが、
やっと数字がそれに伴ってきた。
日本経済新聞に値上がり、値下がりの、
上位10アイテムが掲載されているが、
それが面白い。
値上がりは、
①灯油
②自動車バッテリー
⑤ガソリン
そのほかは、
③スパゲティ
④チーズ
⑥チョコレート
⑦即席めん
⑧食用油
⑨食パン
⑩落花生
値上げされたのは石油・自動車関連と、
コモディティの食品。
おりしも、パン業界最大手メーカーの山崎製パンの中間決算は、
経常利益120億円で前年比11%の増加。
「低価格品」が貢献したと発表されているが、
コモディティ・グッズが値上がりすると、
メーカーには利益が上がってくる。
日経記事の値下がり品目。
①ノート型パソコン
②デジタルカメラ
③自賠責保険
④デスクトップ型パソコン
⑤薄型テレビ
⑥DVDレコーダー
⑦ビデオカメラ
⑧ステレオセット
⑨電子レンジ
⑩電気冷蔵庫
家電・パソコンメーカーは、
新製品がすぐにコモディティ化してしまう。
辛いところだが、
彼らの、はじめから見込んだ利益は巨大だ。
工業製品は、たっぷりと利益を取ってから、
すぐにコモディティとなってくる。
食品コモディティには、
値上げ現象が起こって、
ナンバー1メーカーに利益がもたらされる。
ただし、全体の問題としては、
消費者物価が上昇しても、
給与・ボーナスが伸びないのだから、
購買量が増える見込みはない。
ここにアンバランスな状況が生まれる。
今月の商人舎標語「Save Money! Live Better!」。
先月の標語は「節約、倹約。もったいない」だった。
このトーンは、変らない。
さて、一昨日24日には、午後1時から、
「第一回エコストア研究会」が開催された。
場所は東京麻布台の商業界会館。
田村洋三会長のもと、今回は、
環境対応製品を製造しているメーカーを中心とした研究会となった。
商人舎もオブザーバーとして参加。
流通業に対する国や地方自治体の法整備が進む。
その中で、何よりも、
「CO2削減の数値目標を短期間で効率よく達成するために、
皆が知恵を出し合い、協働し、
エコストア製品・システムの
開発や普及を行うことが重要」(田村氏)
この研究会は、まず、
エコストア製品とエコストアシステムの、
開発を優先させるという主旨でスタート。
だからこの日の参加者は、エコストア開発機器メーカー7社11名。
三洋電機㈱からは営業本部の大崎公司取締役と泉宏行部長、
大型ショーケース開発担当の渋沢作巳部長の3名。
「ショーケースは店の電気代の半分を占めるだけに、
ユーザーは真剣にエコ製品を考えている」(泉氏)。
㈱ヤマト西村貞生常務は、
「エネルギーをどのように使うべきかの『使い方』が大切であり、
コンポーネント機器開発ではなく、
システムという視点が必要」と指摘。
同社からは営業開発の小板橋良男部長代理も参加。
エネルギーマネジメント企業㈱イープラネット西郷從節社長は、
「POSレジ導入初期には、
レジスターがあればPOSはいらないだろうと多くの小売業が言った。
現状、省エネ製品への認識はその頃の認識と一緒ではないか」。
㈱アースクリーン東北・東京事業部、小寺大輔本部長は
「だからこそ、小売業のトップの認識や決断こそが大事」。
中山エンジニアリング㈱原秀幸氏は、
「温暖化抑制のためにはCO2排出量を総合的に評価する指標(TEWI)で評価しなければならない」。
LED照明機器の品質保証で普及に努める㈱プロフェスからは、
田崎政憲社長と松谷憲之氏が参加。
「LEDは低温帯での利用に適している。
海外に比べて日本はまだハイコストだが、
今後はショーケースなどへの普及が進むだろう」(田崎社長)。
㈱岡村製作所商環境事業本部・山本文雄取締役本部長は、
京都のコンビニ深夜規制問題をあげ、
「営業時間の短縮により、商品在庫、オペレーションなど、
さまざまな課題が生じる」。
田村リーダーの環境問題の現状報告と合わせ、
活発なディスカッションが5時過ぎまで続いた。
エコストア研究会なのに、
ストアをつくる主体者がいない会議。
だからこそ、率直で活発な議論が展開された。
これはこれで面白い。
徐々にストアづくりの主体者の参加を要請していく。
次回は岡村製作所と三洋電機のショーケースの取り組みを中心に、
エコ、省エネの課題が語られる予定。
★エコストア研究会に興味のある方はinfo@shoninsha.co.jpまで。
さて、もうひとつ重要なご報告。
昨日、午後3時から東京・銀座で、
パチンコチェーンストア協会
7月度理事会と懇親会が開催された。
この秋までの予定や様々な問題が語り合われたが、
いちばんの焦点は、
「1円パチンコ営業の問題」
通常の4分の1の売価の1円パチンコ専門店展開でいくのか、
1円と4円の2レート営業でいくのか。
極めて面白い議論が展開された。
小売業に例えると、
エブリデー・ロープライスなのか、
それともハイ&ローなのか。
私の持論は、当然、前者。
後者を否定するものではないが。
そして、すべての企業が、
ウォルマートやコストコのような経営を、
貫くことができるものではないと思うが。
しかし、1930年にアメリカで、
マイケル・カレンのスーパーマーケットの登場後、
既存のグロサーズチェーンはことごとく敗れた。
1960年、ハリー・カニンガムによって、
クレスゲというバラエティストア企業は、
Kマートへの歴史的な業態転換を図った。
そのあと、ほとんどのバラエティストアは、
ウールワースというダントツの1社を残して、
業態転換するか消滅するかの道を歩んだ。
サム・ウォルトんも、ベンフランクリンというバラエティストアを、
ウォルマートというディスカウントストアに業態転換させて、
現在の世界最大企業への基礎をつくった。
ディスカウントストアが、
バラエティストアを駆逐していったのである。
一方、バラエティストアが復活したのは、
本当にしばらくしてから。
まったく新しいタイプ・オブ・オペレーションを確立してからであった。
今、パチンコホールの1円新業態と2レート営業店舗には、
米国の1930年時点の食品業界のような、
はたまた1960年時点の非食品業界ような、
劇的な転換が迫られている。
私は、そう見るし、
そう言い続けているが、
いかがだろうか。
賢者は、歴史に学び、
愚者は、経験に学ぶ。(オットー・フォン・ビスマルク)
<結城義晴>