8月1日、福田改造内閣発足。
朝日新聞は「総選挙シフト」、
日経新聞は「手堅さ優先」、
読売新聞は「財務再建布陣」。
三者三様の評価と表現。
福田首相自身は、「安心実現内閣」と自賛。
私は「安全実現」を優先してほしい。
8月の商人舎標語。
「失敗を恐れない!」
「失敗を恐れない内閣」が必要なんだと思う。
私たち商業人は、野田聖子消費者行政担当大臣の言動を、
注視しておかねばならない。
2009年度創設の「消費者庁」準備を担うからだ。
さて、その1日。
朝、東京・池尻の東邦大学付属病院で診察。
右目の眼圧は13と良好。
緑内障の二度の手術から4カ月経過。
もう大丈夫。
ボールが動く野球はだめだが、
ボールが止まっているゴルフは、そろそろ全開で再開できそう。
医者の許可も出た。
昼過ぎ、つくばエクスプレスで、秋葉原から研究学園駅へ。
㈱カスミの本部は「カスミつくばセンター」と呼ばれる。
ポストモダンの代表的な建築物。
小濵裕正社長と面談。
結局、150分も時間をとっていただいて、
さまざまな意見交換。
私は、ゆったりとしつつも、充実した時を過ごした。
冒頭の写真は、つくばセンター内のイベントスペース。
左が小濵さん、右が私。
私はまず「コーネル大学RMPジャパン」を説明。
RMPはリテール・マネジメント・プログラムの略。
小濵さんは、
「はじめての総合立体的な体系だ」
と、褒めてくださった。
ご存知のように小濵さんは、ダイエーご出身で、
専務取締役まで務められた。
ダイエー時代に「慶応ビジネススクール」に派遣してもらった。
「それが今、本当に役立っている」と言われた。
ダイエーの中内功さんは、人を育てた。
その人たちが、現在、日本の商業の世界で大活躍されている。
小濵さんはその筆頭だし、
先日、このブログにも登場願った玉置富貴雄さんもそのおひとり。
玉置さんは東武ストア社長にして、八社会社長。
そのダイエーを、懐かしそうに、小濵さんは、
「野武士の集団だった」と表現された。
私たちの話題は、中内さんから、
故上野光平さんへと移った。
カスミつくばセンターには、
「上野光平クラシックライブラリー」という部屋がある。
西友の実質的創業者で、副社長を務め、
流通産業研究所所長・理事長として活躍された上野先生。
その個人所蔵のクラシック音楽のレコード5000枚が、
このつくばセンターに寄贈され、保管されている。
それを最新のレーザーシステムによって、リアルに聴くことができる。
上野さんは、63歳で亡くなられた。
何とも惜しいことだった。
上野さんが生きていらっしゃったら、
コーネル大学ジャパンの創設を、
本当に喜んでくださったに違いない。
「原則論は忘れられやすい」
小濵さんの口から洩れた言葉。
渥美俊一先生や上野先生は、この原則論を重視された。
ウォルマートに対する評価。
「次元の違うビジネスという理解をすべきだ」
鋭いし、正しい。
ウォルマートを、
日本のスーパーマーケットと同次元でとらえると、
見誤ってしまう。
「知らせる、すぐやる、徹底する」
ウォルマートを表現した標語。
ご自身の会社に関しては、
「やっと前世紀の荷物を処理した」
前日の7月31日付で、懸案の不採算子会社を整理した。
前期は、135店舗で年商2000億円を突破し、経常利益58億円。
増収増益の過去最高益。
その上で、すべてのマイナス要因を処理した。
「スーパーマーケットは生鮮食品が大事」
このビジネスに徹すること。
2000年3月に小濵さんが来られてからのカスミの、
健全経営への足取りは、特筆すべきものがある。
いつか、単行本にして、残しておきたいものだ。
その小濵さんの経営の真髄。
「中庸の精神」
そうか、中庸の精神か。
この小濵さんとのゆったりした時間は、
「中庸の精神」から生まれているのか。
私は、そう述懐したのだった。
「今日もいい日だった」
つくばセンターの玄関までお送りいただいて、
私は、そう思った。
心から、感謝。
<結城義晴>