「福田新内閣のチョンボが心配」と書いたが、
太田誠一農林水産大臣の事務所経費問題が発覚。
農林水産省は、今、重要な役所だ。
何とか頑張ってもらいたいとは思うが、
この分野を得意とする政治家には、
なぜか問題が多い。
私の経験でもあるが、
重要な役回りが回ってくる部署には、
必ず問題を抱えた長がいる。
まるで、問題の長がいるから、
その部署が、全体の中で、
重要なポジションに、
変わってしまうかのような錯覚を持つほどだ。
チェーンストアにおいて、
チェーン(鎖)全体の強度とは、
一番弱い部分の強度である。
鎖は、物を縛りつける道具ではない。
重い物をロックして運ぶための道具である。
あるいは、船の碇についている鎖のように、
物を安定させるときに使う道具である。
鎖全体の強度が重要になる。
鎖の輪の、一つひとつが強度を競っても、
あまり意味はない。
鎖が切れるときには、一番弱い輪が切れる。
良い鎖は、すべての輪が同じ強度を持っていること。
すべてが機能し、すべてが同時に切れる。
これはチェーンストアに限らない。
組織でも、ほころびが出るのは、
一番弱い部分である。
一番弱い部分の強度が、
その組織全体の強度となる。
だからリスク・マネジメントとは、
一言で言えば、一番弱い部分の防御策ということになる。
福田内閣も、
いや自民党の内閣も、
日本の行政府も、
一番弱いところが切れやすい。
そして一番弱いところが、
内閣全体の強度を示している。
だから問題のある長が就任する部署が、
一番重要なところとなる。
そして農水省が、残念ながら一番弱いし、
一番重要な省庁ということになる。
食糧問題、食品偽装表示問題、
食品流通問題、農業環境問題。
日本においても、
世界においても、
重要な課題が山積している。
農業は、人類の最初の革命だった。
人間の、動物との違いは、
行動という視点だけで見ると
狩猟から農業に移行した点にあった。
ライオンでもトラでも、
狩猟はする。
植物を意図的に管理する「農業」という行為をする動物は、
人間だけだ。
アメリカも、フランスもドイツもイタリアも、
農業国である。
遠く2000年前のローマ帝国の時代、
ローマは世界最新の農業国だった。
ガリアといわれた狩猟民族の国フランスは、
ユリウス・カエサルによって、
ローマ化し、農耕民族となった。
そのころゲルマン民族は、狩猟を主としていた。
彼らもやがて、ローマ化していった。
そんな歴史を持つヨーロッパ。
日本も弥生時代から農業を主とした。
日本はつい最近まで、農業国だった。
統治の仕方は近代的とはいえなかったけれど。
こんな歴史を背負った農業。
日本の農業の行政府の長には、
歴史に刻するほどの人格者が必要だ。
本当にそう思う。
昨日の「このひとのこのひとこと」。
ダイナム・ホールディングス社長
佐藤洋治さん。
「現状を否定して、
どうすれば良くなるのかを考える。
そして改善案を出す。
現状を否定しなければ、
絶対に良くならない」
<結城義晴>