今日のあさがた、
ゆれました。
なんだか、
不気味なものを感じるとおもったら、
そのあと家中が、
ガタガタとゆれた。
家が立っている地面が、
ぐらぐら、ゆれた。
「ジシン」とよぶそうです。
ボク、ジシン、こわい。
だから、このうちのお兄さんの、
ベッドの下に、とんでいく。
いつも、
かならず。
「頭かくして尻かくさず」
みんなに、そういわれる。
でも、ジシンはこわい。
だから、ベッドの下のせまいところに、
かくれる。
先週、ユウキヨシハルさん、
熊本から大阪まで、
とびまわっていた。
熊本には、「タイフウ」というのに向かって行った。
風がふいて、雨がふる。
それも、強い風とたくさんの雨。
タイフウには、なぜか番号がつけられている。
今回のタイフウの番号は、13。
それから「タイフウ13」に追いかけられるように、
お父さん、大阪へ向かった。
タイフウも、ボク、こわい。
でも、タイフウのあいまにも、
熊本のそらには、
夕日が見えた。
こわいものにも、
安らかなものが、
かくされている。
大阪では、
ほんものの「寺子屋」をひらいた。
ユウキヨシハルさん、
ほんとうに感謝していた。
タイフウに追われたから、
よけいにうれしかったらしい。
そんなこわいものが去って、
こわいことが終わって、
ボクは、アンシンしています。
ユウキヨシハルのお父さんが、
かえってきて、
元気そうにしているからです。
ジシンもタイフウもこわいけれど、
それが去ったら、
アンシンがやってくる。
ボクは「頭かくして尻かくさず」しかできないけれど、
アンシンはかならず、やってくる。
<『ジジの気分』(未刊)より>