日経平均株価は、今日、午前中に、
またまた急落。
980円下げて、9000円を切った。
株式をもっている人は、
居ても立っても居られないだろうし、
仕事に手がつかないかもしれない。
イオンの家訓に、
「上げに儲けるな、下げに儲けよ」
というのがある。
イオンの前身・岡田屋の大正時代の大暴落の時のこと。
生糸、綿糸などの暴落が始まった。
呉服屋の岡田屋は、五世惣右衛門の指示のもと、
すべての商品を現金化した。
五世惣右衛門は、現イオン岡田卓也名誉会長の祖父、
岡田元也社長の曾祖父に当たる。
惣右衛門は言った。
「今年入った丁稚小僧にも、
好きな値段をつけて売らせろ」
丁稚小僧とは12歳から14歳くらいの子供。
商品価値がわかるはずもない。
その丁稚にまで、好き勝手に安い値段をつけさせて、
大売り出しを行った。
在庫を二束三文で売り切ろうと試みたのである。
あまりの安さに、景気が悪いにもかかわらず、よく売れ、
二束三文の商品は、現金となった。
ここで、「にもかかわらずの論理」が登場する。
できた現金をもって、産地に走った。
買っては売り、買っては売りを繰り返し、
岡田屋はこの大暴落に大儲けをしたという。
関東の産地では、現金を見せて、
「商品を買う」と言ったら、
「商品だけでなく、機械まで一緒に買ってくれ」と言われたほど。
『岡田卓也の十章』((株)商業界刊)に、ある。
「金融や相場の大暴落に当たっては、商品をいち早く現金化することが、最も大切である」
この儲けを基にして、
大正15年、岡田屋は資本金25万円の株式会社に改組する。
それが岡田屋の近代経営のスタートとなった。
2008年の今、株式の大暴落と乱高下。
最も確かなものに変えるのが、得策。
しかし、実はそれよりも大切なものがある。
岡田卓也さんは、述懐する。
「信用」である。
事業を展開し、商売を営む者が、
相場や株に手出しすることは、
自ら戒めねばならないが、
この乱高下の時にこそ、
「上げに儲けるな、下げに儲けよ」の岡田屋の家訓は輝く。
私は、言い続ける。
「楽して儲けるな!」
そして、今月の商人舎標語。
「だから」を廃し、
「にもかかわらず」を貫け。
<結城義晴>