1ドル88円。
トヨタは下半期営業赤字。
たいへんな時代に入った。
しまむらの野中正人社長。
日経新聞インタビューに答えて、いわく。
「消費者は『節約モード』から、
完全な『不景気モード』に入ってきた」
だから、もっと強烈に「安さ」を、
アピールしなければならなかったという。
しかし、この売れない期間に、
「効率向上の成果で在庫管理の精度は大幅に改善」し、
「内容としては筋肉質になった」
「不景気モード」というのは、
「今」をとらえるに、よい表現。
だから「在庫管理」の精度を上げ、
会社と店を「筋肉質」に変える。
それでも、この不況モードを読み切れてはいなかった。
まだ、遅くはない。
「不景気モード」が顧客に蔓延している。
そんな週末だ。
さて、昨日は、兵庫県伊丹市。
関西スーパーマーケット駅前店を視察。
駅前店というのは、「阪急伊丹駅前店」の意味。
伊丹には「中央店」があって、
この店の上階に、本部がある。
31年前、私が初めて、関西スーパーの店を見たのが、
この駅前店だった。
伊丹の駅に降り立って、すぐに左側に、
伊丹ショッピングデパートというビルが建っていた。
そこに関西スーパー駅前店の看板があって、
地下の売り場に店があった。
中央店の本部を取材に訪れた新米記者結城義晴。
時間があったので、最初に駅前店に入った。
そして、心底、びっくりした。
「こんなスーパーマーケットがあったんだ!」
商品が、ピカピカしていた。
人が、キビキビ働いていた。
お客さんが、ニコニコ買い物していた。
この体験が、私が、この世界に骨をうずめるきっかけとなった。
その関西スーパー駅前店。
阪神大震災に襲われた。
復活したが、耐震構造上、問題が残っていた。
アスベストの問題もあった。
そこで、ビル自体の全面改装を試みた。
総投資額17億円。
土地・物件ともに関西スーパー所有。
そして今年7月17日、リニューアルオープン。
スーパーマーケットの売り場は、
地階から1階に移動。
そのために売り場面積339坪と縮小。
それでもバックルーム面積188坪。
これでも後方面積は少し狭い。
駐車場は640台確保され、
完全な駅前立地でありながら、
便利で街に馴染んだ店となっている。
青果部門では、パートタイマーさんが、
ラ・フランスの試食で迎えてくれた。
ハクサイ、キャベツ、ダイコン。
陳列も美しい。
339坪の小型店になったからでもあるが、
品揃えがずいぶん絞り込まれている。
鮮魚部門のサケの売り場。
切り身を顧客が自分でとるようになっている。
砂糖の島陳列。
98円。
「31日までぶっ通し特価」
スパゲティ300グラム148円。
惣菜コーナーの揚げ物売り場。
天ぷら80円、コロッケ60円、フライ90円。
均一価格でわかりやすい。
牛肉コロッケ、買って食べてみた。
60円を超える価値あり。
鮮魚のバックルーム。
動線を考慮した設計。
それでもレギュラー店から比べると、
精肉部門などちょっと狭い。
卵の売り場は、
青果部門から精肉に曲がる角にもってきた。
しばらく前まで、
卵部門はロスリーダーの売り場だった。
しかし現在は、収益部門。
生産者のつくる良質卵を、値ごろで提供。
これによって、お客喜ぶ、生産者喜ぶ、店も喜ぶ。
三方良し。
北野祐次会長が売り場指導している姿に遭遇。
北野さんは、目を悪くされて、最近ちょっと元気がない。
しかし店にいるとすこぶるお元気。
歩くのも早い。
北野さんの健康法は、店を見て、指導することに違いない。
エンドの1品目ごとに細かく指導していた。
それを社員が熱心に聞いていた。
私、ジーンときた。
関西スーパー駅前店。
レジは8台。
年商目標22億円。
総アイテム数8087品目。
人員配置はパートタイマーを月173時間に換算させてもらって、
35.2人。
ものすごい効率をはじきだす店。
私も、31年前を思い出していた。
<結城義晴>