部屋のすみに、
クモがいました。
8本足のクモ。
うごく。
ゆっくりと。
すみのほうへ。
ボクは、
すこしずつ、ちかづいて、
みていました。
そして、すばやく、
左手をだした。
つぎに、口で、
つかまえにいった。
クモ、にげる。
ボク、おいかける。
まわりこんだところを、
エイッと。
食べた。
見てた?
ねえ、ねえ、
おとうさん。
見てた?
まだ、いるかな?
でも、おとうさん。
ボク、すごいでしょ?
いつも、
シーバをもらって、
おとなしく食べてるけど、
たま~に、
クモ、食べます。
おサシミです。
ボクも、おサシミ、
すきです。
このまえやってきたサム君は、
なんでも食べます。
まいにち、元気に、
食べてます。
ボクだって、
いろいろ食べてみたいんです。
ねえ、ねえ、
ボク、じょうずでしょ?
ねえ、ねえ、
ほめてよ。
おとうさん。
<『ジジの気分』(未刊)より>