「答えるに値しない」
イオン社長の岡田元也さんの言葉。
三菱商事とイオンは、包括的業務提携を果たし、
三菱商事がイオンの株式を5.05%まで買い増して、
筆頭株主となる。
昨日の、その業務提携の記者会見での発言。
記者からの、質問に答えた一言。
記者の質問は、
「信用補完は期待していないのか?」
というもの。
イオンは今年8月の中間期に、
営業赤字の決算をした。
「信用補完」とは、
そのため、資金繰りに詰まって、
それを三菱商事に補完してもらうための提携ではないのか、
という意味。
「潰れそうなんではないのか」という失礼な質問。
岡田さんは、
「そんな勘繰りには答える必要すらない」
と言う意志をこめて、きっぱりと切り捨てた。
三菱商事社長の小島順彦さんも、
「信用補完とは次元が違う」
と、こちらもきっぱり。
私は、今回の提携は、
イオンにとっては世界戦略の一環であると思っている。
ウォルマートに対抗し、
中国にもうひとつのイオンをつくる。
そのための三菱商事との協力関係づくりである。
日本の産業の中で、
総合商社は特異な存在である。
日本の流通の中で、
総合卸売業が独特の役割を果たしていることと、似ている。
小売企業が、これらとのコラボレーションを図るのは、
ある意味で、当然の成り行き。
両者の視野は、世界に向けられている。
「挑戦するから失敗する」
一昨日、「カンブリア宮殿」というテレビ番組での、
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんの言葉。
これは、柳井さんの持論。
「私はこれまで、何度も挑戦し、何度も失敗してきた」
実際に、失敗の数は、計り知れない。
しかし、失敗したと思ったら、
すぐに撤退する。
これが早い。
しかも、「成長の芽となる失敗」と、
「致命的な失敗」を見分ける。
いや、それが分からないから失敗するのだろうが、
「失敗の数」だけ、「成長の芽」が蒔かれるのかもしれない。
12月3日に、新たなトップ・メッセージを発信して、
「グローバルワン」を宣言した柳井さん。
こちらも世界を見ている。
世界は、確かに縮まっている。
今回のサブプライムローン問題に端を発した貨幣経済危機。
これによって、世界経済の縮小感は鮮明になった。
最先端を走っていると、それが実感される。
岡田元也さんと柳井正さん。
二人の発言は、
そのスピード感と責任感を、示している。
<結城義晴>