「来年は間違いなく、売上げが下がる」
今年、絶好調だったユニクロ。
来年の見通しについて語ってくださった。
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんの言葉。
フリースが大ヒットしたあの年の、翌年のようにだろうか。
昨日の午後、お会いした。
東京・九段下のファーストリテイリング本社。
受付嬢の元気な声が、印象に残る。
店も本部も、同じ。
この年末のクリスマス・イブの日。
私の面談のあとには、
スタッフがズラリ、控えていて、
会議が待っていた。
営業本部長の柳井さん。
「以前の3倍も働いているんですって?」(私)
「それどころじゃないですよ」
3倍どころじゃない。
ということは、4倍、5倍も仕事している。
そうでなければ、この独走はあり得ない。
柳井さんは、商人舎発足の会の発起人になってくださった。
今年4月17日の当日もご出席くださって、
一言頂戴し、結城義晴との握手会というイベントでも、
壇上に上がっていただいた。
だから柳井さんも、商人舎ファミリー。
商人が集う舎(とねり)。
柳井さんは「商売人」という言葉を好む。
この商売人に徹していることが、
現在のユニクロの元気さの源であると思う。
「不況は商人を鍛える」
故倉本長治商業界主幹の言葉。
だから不況は、商人の活躍の場である。
柳井さんは、だから元気。
受付嬢も、元気。
店も、元気。
この日の会談は、私の1年間のお礼とご報告。
しかしまずは、「今年の社長1位」に柳井さんが選ばれた件。
産業能率大学(東京都世田谷区)が、
中小企業経営者らを対象に「今年の社長」アンケートを実施し、
515人から回答を得た。
そこで、柳井さんが大差の1位に選ばれた。
84票を集めた。
2位のソフトバンク社長・孫正義さんは33票。
この件に関しては、産能大からも全くお知らせがなく、
広報担当者も新聞を見て知ったという。
柳井さんは、その新聞も見ていなかったので、
やはり驚いた。
しかし、プロ野球ならば選手同士が選ぶナンバー1選手。
マリナーズのイチローも、最も誇りとする賞だというから、
柳井さんも、言葉にはしないが、うれしそう。
私の報告は、商人舎の1年の活動と事業のこと。
コーネル大学ジャパンのこと。
立教大学大学院のこと。
アメリカのチェーンストアのこと。
柳井さんは、ウォルマートに関して、
「これは書いて下さい」と力説した。
12月13日のウォルマートの発表。
「アメリカ国民の3人に2人が週末、
ウォルマートで買い物している」
この事実は、すごい。
柳井さんは、感動している。
「ウォルマートは社会のインフラです」
アメリカ人の生活に欠かせない店、
アメリカに欠かせない企業となった。
柳井さんは、マイク・デューク氏に会ったそうだ。
来年2月1日、ウォルマートのCEOに昇格する予定。58歳。
フェデレーテッド百貨店とメイ百貨店に23年間務めた後、
1995年、ウォルマート入社。
物流部門、ウォルマートストア部門を経て、
2005年からは国際部門のトップ。
そのデューク氏の印象。
「温厚な人柄で、きちんとやるんじゃないですか」
柳井さんは、日頃から言う。
「私たちはがやりたいのは『国民服』」
それは、ウォルマートのごとき国家のインフラストラクチャーとなること。
「だから西友はウォルマートの商売をやればよい。
まだ西友の商売をやっている」
「日本にも、外資系の企業が入っていなければおかしい。
閉鎖的であることを、表している」
「例えばイオンとセブン&アイ・ホールディングスとウォルマートが、
互いに競争している方が、日本の社会には良いと思う」
スーパーマーケット業界に対する励ましの言葉を、
お願いした。
「5000店のスーパーマーケットをつくる。
そんな決心をする若手経営者の登場を期待したい。
今、それが可能な時期だと思う」
「規模のメリットで客のためにサービスすることが、
食品の分野でも必要です」
「私は、やりませんが……」
柳井さんの商人としての社会貢献意識の強さを、
私は感じた。
そして商売の喜び。
商売の幸せ。
「不況は商人を鍛える」といった倉本長治主幹の言葉の前で、
最後に写真。
お元気で。
右、左、上、下。
どっちを向いても感謝。(水口健次)
今月の商人舎標語で、今日も、締めよう。
柳井さんに、感謝。
私も負けません。
<結城義晴>