正月3日、再び、謹賀新年。
郵政民営化のお陰もあって、
3が日ともに年賀状が配達される。
ありがたいことです。
賀状をくださった皆様、
ありがとうございます。
この場をお借りして、お礼申し上げます。
上記の年賀状、できる限りお送りしております。
さて、元旦からの初売り。
前年対比売上高を割り込み、低調との声。
世界最高峰の百貨店・新宿伊勢丹も。
1日、2日の売上高は25億5000万円で、
前年比マイナス5%。
日本橋の三越本店は9%減。
しかし、これはいわば想定内のこと。
経済不況と消費不振は、消費者に、
節約志向を促している。
だから実用品や特別の値下げ品にしか、
購買は向かわない。
全体の傾向だからしかたない。
しかし、ここで重要なのは、客数。
お買上げくださるお客様の数。
お店に信頼を置いているから、
買い物に来る。
そして今、必要なものを、
懐具合と相談して、買う。
こんなお客様が多い。
だから売上高や買上げ点数は減少しても、
客数が上がっていれば、
「よい循環にある」と評価すべきだ。
今日の朝日新聞で、
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんが語っている。
「これまでの好景気は、
金融の信用膨張や資源高などに支えられたバブル。
いまはバブルを正常化していく過程にある」
「消費は冷え込んでいるが、
ゼロになることはない。
新しい需要をつくりだし、
自分たちで努力して開発することだ」
「日本人の最大の欠点は、
安心、安全、安定志向。
当然、プロフィットは生まれない」
「『あったらいいな』をつくり出すこと。
それが大事だ」
今が正常化へのプロセスならば、
私たちは、この正常化への過程を、
真摯に受け止めねばならない。
消費は冷え込んでいるが、
ゼロになることは絶対にない。
だから、客数が大事な指標となる。
その上で、「安定志向」を排さなければならない。
さて、ここで、私の著書『メッセージ』から引用。
一番の人気
あなたの店が、
繁盛しているとする。
売上高の半分は実力なのだろう。
しかし、あとの半分は、
人気によるものだ。
人気とは、一番の者に与えられる特権である。
あなたの店が、
不振だとしよう。
不振の半分は、店の実力による。
しかしあとの半分は、
人気がないからだ。
二番手、三番手、四番手だからである。
では一番の人気は、
なぜ獲得できたのか。
そして一番の人気は、
どんなときに逆転するものなのか。
何も競争がない時代。
すばやく時流をとらえた者が、
まず人気を博する。
人気は実力に決定的な影響を与え、
実力はどんどん向上する。
追いかける者がいくら努力しても、
この実力差は詰まらない。
どんなに消費が冷え込んだときにも
どんなに営業不振のときにも
一番人気の店は密かに客の支持を伸ばしている。
二番手以下は急激に落ち込む。
ただし、追う者の強みというものもある。
紙一重の差までは、
努力しだいで到達することができる。
しかし、この紙一重の差が大きい。
だから、そこから先は、
運にめぐまれるしかないのかもしれない。
たいていの場合、幸運とは、
神から与えられるものでも、
自分で勝ちとるものでもない。
相手に恵んでもらうものである。
人気も、敵の過失によって、
ころがり込んでくるものなのだ。
人気を維持すること。
逆転すること。
それができるのは、謙虚に、
実力と人気の力関係を知る者だけである。
<第4章『戦略と政策』より>
横浜の三が日は、いい天気。
今年一年、人気が上がるのはどこか。
人気とは、客数のバロメーターによってのみ、
推し量ることができるものだ。
「三が日休業」という政策は、
その意味で、実力と人気の力関係を知るものにしか、
採用できない戦略かもしれない。
<結城義晴>