みぎを、みても。
ひだりを、むいても。
春です。
今日から3月。
菜の花畑。
赤い葉ボタン。
黄色い葉ボタン。
デージー。
ボクは、元気に、
足踏みします。
春は、ボクを、
元気にしてくれます。
でも、雨空。
一つぶよ
ぼくらの まえへと つづき
そして うしろへと つづく
えいえんの じかん
ぼくらの そとがわへと ひろがり
そして うちがわへと ちぢまる
むげんの うちゅう
きりがない はてがない さいげんがない
どこまでも どこまでも どこまでも
の なかの ぼくらよ 一つぶよ
と おもうことだけは でき
それだけしか できないのだとしても
その それだけよ 一つぶよ
(まど・みちお 『いわずにおれない』より)
まど・みちおのおじいさんの詩。
そのおじいさんみたいな顔の木。
ボクも、ひとつぶ。
その、それだけの、ひとつぶ。
春のなかの、ひとつぶ。
<『ジジの気分』(未刊)より>