今週は、体力的に疲れた。
コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパンの川越遠征。
ルビコンの川を渡ったわけではないが、
川越まで出かけ、2日間にわたって、
ヤオコーのセンターや店で研修すると、
体力が落ちたことを実感させられる。
その間に、民主党小沢一郎代表と西松建設の献金疑惑は、
自民党にまで広がり、
森嘉郎元総理や二階俊博経済産業大臣の名前も出てきた。
サブプライムローン問題に端を発する「100年に一度の危機」は、
いわば旧約聖書のバベルの塔の物語の現代版である。
金融経済という巨大な塔の膨張は、
バベルの塔のごとき様相を呈し、
神の領域を侵し始めた。
そこで神は、旧約聖書では、人間の言語を混乱させた。
現代の神は、金融信用を混乱させた。
現在の危機の根本問題は、
「信頼と信用」の失墜というところにある。
法律違反の政治献金という「金」の問題は、
おそらく現代の神から見ると、
きわめて稚拙で愚かな行為に違いない。
旧約聖書の時代から存在した「賄賂」に酷似した行ないだからだ。
自民党も民主党も公明党も共産党もすべてひっくるめて、
ここは清廉潔白な政治家に、ご登場願いたいものだ。
政治家にも実務家にも、要求されるのは、
「インテグリティ(integrity)」である。
完璧な真摯さ、完全な清廉さ。
私は商売に置き換えて、
「真っ正直商法」と名づけた。
「100年の危機」を乗り越えるのは、
integrityと真っ正直商法である。
さて、昨日は、午後1時から東銀座のPCSAオフィス。
パチンコホールのための
一から学ぶ「チェーンストア初級講座」。
その第3回講座。
テーマは「チェーンストアづくりの準備段階」。
何事も、本格的なものをつくるには、準備段階が必要。
優れた企業には、すべて準備段階があった。
トヨタの発祥は、豊田佐吉の「豊田式木製人力織機」。
1890年、東京で開催された内国勧業博覧会で外国製織機を見た佐吉。
独力で「木製人力織機」を完成させ、
1924年にはその当時世界一と評価された「G型自動織機」を発明。
ここから日本の産業革命が始まる。
その会社は豊田自動織機。
現時点でゼネラルモーターズを抜いて世界最大の自動車会社となったトヨタは、
豊田自動織機の自動車部が独立した会社。
このトヨタにおける豊田自動織機の役割が、
チェーンストアにも必要。
準備段階が不可欠なのだ。
現在の世界最大の会社はウォルマート。
ウォルマートは1945年にサム・ウォルトンが創業。
その店の名を「ウォルトンズ・ファイブ&ダイム・ストア」といった。
これはベンフランクリンのフランチャイジーだった。
すなわちフランチャイズチェーンの加盟店だった。
ウォルマートにおけるベンフランクリン時代を、
私は「ウォルマート前史」と呼んで、
「準備段階」と位置付けている。
さて、日本のセブン-イレブンは、そのウォルマートと並んで、
世界の歴史に残る小売業である。
そのセブン-イレブン、源流はご存知イトーヨーカ堂。
もしかしたら、
イトーヨーカ堂は、セブン-イレブンを生み出すために、
この世に登場したのかもしれない。
すなわち、
「イトーヨーカ堂はセブン-イレブンの準備段階説」。
こう言ったからとて、イトーヨーカ堂を貶めることにはならない。
セブン-イレブンを極めて高く評価することにはなるけれど。
だとすれば現在のイオンリテールは、
「何の準備段階なのか」
私が2009年3月に、この説を唱えたこと、
皆さん覚えておいてください。
小売りの神様は、忘れないだろうけれど。
<結城義晴>