長野県のスーパーマーケット「ツルヤ」の納豆。
プライベートレーベル。
59円で、好調に売れている。
「たれ、からし」なしの納豆。
無駄なもの、過剰サービスを徹底排除。
その上で、それが売価に反映されている。
理屈が通っている。
その理屈に顧客が、感動する。
店に寄せられる「顧客の声」のカードにも、
この納豆に対するお褒めの言葉、応援の意志が表わされている。
今、「必要なものを必要なだけ」マーチャンダイジングが展開されねばならない。
生活防衛型消費の傾向は以下の4点。
①余計なもの、必要ないものは買わない
②余分な量、必要ない量は買わない
③安くなくてはいけない
④しかしどうせ買うなら価値の高いものを買う
そして、スーパーマーケットの生活防衛型消費への対策。
どんな商品が売れるか。
「最良のベーシック」とは何か。
①生きるための食品、命に直接関係のある食品
②主食とメインディッシュ
③米、パン、野菜、魚、肉、味噌、醤油
④精肉部門は、細切れ、切り落とし、ひき肉
⑤近海魚は、その日の売り切り
⑥野菜(葉菜)も売り切り
⑦おかずになる日配品
(おかずになる豆腐、おかずになる漬物、おかずになる佃煮)
⑧惣菜は「もう一品」から「この一品」に
⑨信用のある店の「わが店だけの商品」
⑩品質の確かなプライベートブランド
⑪良い品をどんどん安く
⑫おいしくて安い品
「最良のベーシック」販売を、
大胆に賢明に実行せよ。
さて、昨日は、長野へ。
新幹線あさま519号。
軽井沢を越えて約1時間半。
それから川中島古戦場跡を横に見て、
着いたのが松代ロイヤルホテル。
マルイチ産商の子会社AES㈱の主催するトップセミナーで講演。
最近は、2時間120分は欲しい。
しかしとても熱心に聞いてくれて、私も乗って話をした。
冒頭の枕の話は、ウィークリー・マネジメント。
タイトルは、「2009業界動向と地方スーパーマーケットの生き残り策」
AESはマルイチ産商のリテールサポート専門会社。
その契約店と呼ばれるスーパーマーケットの経営者、幹部の研究会。
みな生き残りに必死。
私の講演の後は、AES奥原一社長の「今後の活動計画」発表。
そして食事をしながら、質疑応答1時間半。
6月の改正薬事法対策、
優良企業の経営政策、
ネットスーパーの評価などなどなど。
講演と懇談会終了後、
ホテルの近くのツルヤ松代店を視察。
もう暗くなっていた。
アポイントもとっていなかったので、
ご挨拶もせず、ただ、店を見せてもらって、買い物をした。
その買い物のひとつが、冒頭の納豆。
店は、あまりに素晴らしく、
客数の少ない曜日ながら、きちんとコントロールされている。
そこで思わず写真を一枚。
掲載させていただいた。
お許しのほど。
私は、1977年にこの業界に入った。
当時、兵庫県伊丹市に本部を置く関西スーパーマーケットが、
群を抜いて良い店をつくっていた。
それを必死で勉強した。
しかしその後、関西スーパー方式は全国に広がったものの、
改善と称する新しい対策が講じられるにつれて、
重要なポイントが失われていった。
その最大の問題の一つが、生鮮食品売り場の平台の多用である。
ツルヤは、それを拒否してここまできた。
それが、実に買いやすい売り場となっている。
私は、とてもうれしかった。
「変えなければならないこと、変えてはならないこと」
これも、私のよく言う「オクシモロン」だが、
ツルヤは、このオクシモロンをしっかりと実行している。
それが、プライベートレーベルの納豆にも表れている。
<結城義晴>