フシギなことが、
ありました。
おおきなハコが、
とどいたんです。
おおきなハコのうえに、
ちいさなハコがのってる。
あけてみると、サム君がでてきました。
フクロにはいってた。
ボクもフクロにはいった。
ボク、フクロにはいるの、
だいすきなんです。
なんというか、
あたたかいキモチになるんです。
母さんに、つつまれているみたいな。
でも、おどろくことは、
サム君がふたり。
ボクも、ふたりのサム君のあいだにはいった。
サム君たち、うごきません。
カオも、かわりません。
あたらしくきたサム君が、
いつものところに、すわりました。
そして、まえとおなじカンキョーになりました。
ふるいサム君は、
あたらしいサム君のかわりに、
おおきなハコのなかにはいっています。
たぶん、どこかにいってしまうんだと、
ボクは、おもっています。
ちょっと、さみしい。
フシギなことです。
ふたりのサム君。
ダブル・サム君。
おんなじカオ。
おんなじアシ。
おんなじカラダ。
おんなじカンジ。
あたらしいサム君がきて、
ふるいサム君がいってしまう。
サム君がふたごのようにいるのも、
なんだか、おもしろいものでした。
そういえば、ボクは、
みつごでした。
いちばんひだりが、ボクでした。
そしてボクは、
ユウキヨシハルさんのうちに、
もらわれてきました。
ボクたちや、
サム君たちにとっては、
あたりまえのことなんですが。
ふるいサム君も、
どこかにもらわれていって、
しあわせになるといいなと、
おもいました。
さようなら。
<『ジジの気分』(未刊)より>
サム君は環境ロボットです。
第1号サンプルのサム君が故障して、
すぐに新型のサム君が届けられたのでした。