㈱ヤオコー会長の川野幸夫さん。
日本スーパーマーケット協会の新会長に内定。
7月の総会で、正式に決定する。
この日本スーパーマーケット協会は、
ライフコーポレーションの清水信次会長が、
自ら仲間を募って、創設し、自ら会長を務めるとともに、
日本の食品スーパーマーケット産業の、
いわば「政治行政部」の役割を担ってきた。
1999年9月。
10年前の発足の記念講演では、私がその栄誉を担った。
タイトルは、
「スーパーマーケットよ 永遠なれ」
私は、㈱商業界の取締役『食品商業』編集長だった。
講演の締めに、私はこう言った。
「正しきによりて滅ぶる店あらば、
滅びてもよし。
断じて滅びず」
そう、新保民八の言葉。
レジュメが私の手元に残っている。
清水さんがこの協会を設立するときには、
いくつかの障害があった。
妨害に近い動きもあった。
しかしそれを跳ね除け、
「清水信次、ここにあり」の心意気を示した。
そして、食品小売業界の「政治部」の機能を果たし続けた。
今後は、清水さんは名誉会長になる。
大手術を乗り越えたばかりで、
いまだに業界のご意見番の地位は揺るがない。
川野さんが、衆知を集め、
リーダーシップを発揮して、
新しい時代の日本のスーパーマーケット産業を、
構築してくれるものと思う。
川野さんは昨年、ヤオコー社長を弟さんの清己さんに譲った。
今年早々に渋沢榮一賞を受賞したばかりで、
絶好のタイミングで新会長にご就任。
川野さんは、ヤオコーを20年連続の増収増益企業に育て上げた。
どのグループにも属さず、「独立自営商人」の立場を貫いてきた。
だからこそ逆に、公的な協会のリーダーにふさわしい。
業界にとって、まことに良い人事だと思う。
日本のスーパーマーケットはこの10年、
ますます社会的重要性を増大させた。
業態の強さが、広く産業界にも認識された。
7月の第10回総会が待ち遠しいものだ。
その総会で、私、
パネルディスカッションのコーディネーターを務めることになっている。
これもこの協会が発足してから恒例のことで、
いわば内定しているが、
川野さんの新会長就任で、
恒例の人気企画も、少し修正を図るほうがいいだろう。
しかし私は、再び宣言するに違いない。
「スーパーマーケットよ 永遠なれ」
さて、愛知のユニー、大阪のイズミヤ、愛媛のフジが、
共同でプライベートブランドを開発する。
イオン、セブン&アイ・ホールディングスに続く二番手グループ。
ユニー・グループが年商1兆9915億円。
イズミヤが、3757億円。
フジが、3066億円。
合わせて2兆6738億円。
ユニーは、中京、静岡、関東、北陸に4つの事業部をもつ。
イズミヤは関西で、フジは中四国。
中京と静岡は「東海」と括るべきだろうから、
5つのリージョナルチェーンが、
一つのプランドを販売することになる。
共同でプライベートブランドをつくるといっても、
ただちに企業統合や合併に動くわけではない。
しかし、この動きは、とどめることができない。
時あたかも、朝日新聞は報じた。
「新商品よりも定番が売れる」
アサヒビールのスーパードライ、
伊藤園のおーいお茶、
ハウス食品のシチューミクス、
江崎グリコのポッキー。
商人舎2月の標語「最良のベーシック」は、
もちろん定番中の定番を含む。
ユニー、イズミヤ、フジのグループは、
やがて、こういった定番やコモディティグッズの、
共同仕入れにつながっていくに違いない。
プライベートブランドの共同開発は、
互いの取引先メーカー・問屋と、互いの商品部との、
交流と協働に他ならないからだ。
新しい時代のスピードは、
想像以上に早い。
日本スーパーマーケット協会新会長の川野幸夫さん就任にも、
このスピード感が感じられる。
私は、スピード感を嗅ぎ取りに、
今からアメリカへ。
フェニックス、ロサンゼルス、サンフランシスコを、
1週間の駆け足で巡る。
結城義晴の2009年アメリカ報告。
ご期待いただきたい。
<結城義晴>