月曜日にサンフランシスコから帰国して、
疲労困憊。
このブログアップの時間も不安定に。
申し訳ありません。
そんな横浜の商人舎を大高愛一郎さんが訪れてくれた。
ご存知、コーネル大学RMPジャパンの事務局長。
4月1日、2日、そして3日のコーネル講義および実習の打ち合わせ、
合同企画委員会や7月の卒業旅行のスケジュールの内容確認、
などなど。
大高さんが来社してくれると、なんだか嬉しい。
商人舎スタッフも、みんな喜ぶ。
「商人舎」という会社の名前、
私はとても気に入っている。
このネーミングにした時点で、「会社は成功した」と、
確信できるくらい、気に入っている。
その「商人舎」の「商人(しょうにん)」という言葉のイメージ。
私が一番ぴったりくる人は、大高善雄さん。
愛一郎さんのお祖父さん。
「野越え山越え」のほんものの商人。
現ヨークベニマル社長の大高善興さんも営業一筋の人だが、
善雄翁には、商人としてかなわない。
愛一郎さんのお父さんの、故大高善二郎さんは哲学する商人だったが、
善雄翁には、商人度数で及ばない。
しかしみんな生粋の商人であることに、変わりない。
そんな血が愛一郎さんには流れている。
だから愛一郎さんは、商人舎になんだかピタリとくるのだと思う。
もしかして、私よりも。
さて、「イオンの反省」
私たちがアメリカに飛び立った翌日の3月18日に、
岡田元也社長が「反省会見」を行った。
「今日はイオンの反省会でございます。
お客様第一といいながら、我々が出遅れていました」
翌日には主要紙の朝刊に「イオンの反省」と題した全面広告を出した。
「イオンの価格は、他店にくらべて、決して安くはありませんでした」
「イオンの売り場には、欲しいと思える商品が並んでいませんでした」
「イオンは、お客さまへのサービスを、怠っていました」
「もう一度、お客さまが求める本当の低価格、売場、サービスを
取り戻すことに全力を尽くしていきます」
正式の広報文書は、3月18日付で以下のようになっている。
「私達イオンは、前身のジャスコ創業以来、
お客さまの声に学び、また優れた競合企業から学び、
お客さまのご満足を最大化することを企業哲学として、
日本の流通構造改革に取り組んでまいりました」
ふむ、ふむ。
顧客満足の最大化を流通構造改革に定める。
それがイオン。
「しかしながら今日のイオンは、時代の経過や、組織の巨大化に伴い、
創業以来綿々と受け継がれてきた『お客さま第一で行動する』という
企業文化の発露が不十分な状況にあります」
なるほど、時間の経過とともに組織が強大化して、
顧客満足が不十分となったか。
「結果として、お客さまのご期待に添えない状況が発生していることを真摯に反省し、
もう一度創業の精神に立ち戻り、『お客さま満足』の実現に向けて行動してまいります」
顧客の期待に添えないことを反省している。
だから、創業の精神に戻る。
それが「顧客満足」。
イオンの言わんとすることは、よく分かる。
「イオンの反省」は、このあと、
第一に「ベストプライスbyトップバリュ」に新たに500品目の導入・展開を宣言する。
これは、ナショナルブランドと同等の品質の商品をディスカウンター価格で提供する。
いわゆる「コンペティティブブランド」。
第二に、5000品目の「トップバリュ」全体の34%の1700品目の価格引き下げを行う。
これは、ウォルマートの「ロールバック」。
第三は、ナショナルブランド3400品目の価格引き下げ。
これは「ディスカウント」。
この後に文章がある。
「イオンは今後もお客さま代位企業として、
価格リーダーシップを発揮すべく、
全商品の見直しとNB商品の値下げを推進してまいります」
第一は、4月14日以降順次展開。
第二は、3月18日に600品目値下げし、8月まで順次実施。
第三は、3月20日より順次値下げ。
さて、この「イオンの反省」。
競争相手としてではなく、
取引先としてではなく、
新聞広告を見た顧客として、
どう、感じただろうか。
「反省を販促にしている」と思ったか。
「この時期の反省とは、やはり商人だ」と感じたか。
はたして「イオンの反省」の商人度数はどのくらいのものなのか。
岡田元也社長の商人度数は?
戦後の商業界で、「反省」は一時、ブームのようになった。
「お客さまを無視した商売をしておりました。
反省とともに、お詫びし、全品安売りをし、
生まれ変わります」
亡くなられた新保民八先生、須田泰三先生など、
この「反省」を商人たちに突きつけ、
正しい商人に改心させ、商売を立て直させた。
多くの商人が反省し、立ち直った。
立ち直らなかった商人も、また多かった。
その反省が、商人としての本当の反省だったか否かは、
しばらくして、店を見れば、すぐに分かった。
恐ろしいことに、店には、如実に表れる。
「イオンの反省」に関して、商人度数を、
ここで明らかにする必要はない。
商人の場合、「反省」のあとの店の状態が、
何よりも本当に反省していたのかどうかを、
教えてくれるからである。
<結城義晴>