結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年03月24日(火曜日)

WBC活躍選手とFORTUNE働きたい企業のナゲット&ウェグマンズ

ワールドベースボールクラシック。
韓国を下して日本優勝。  

私たちが米国カリフォルニアから帰国した翌日、
ドジャースタジアムで行われた決勝戦。

アメリカに渡ってメジャーリーガーとなった者も、
日本でプロ野球選手である者も、
どちらも凄い仕事ができることを教えてくれた。

ことに、弱小チームの楽天・岩隅投手、
横浜・内川内野手、ヤクルトの青木外野手。
私は彼らの活躍が、とりわけうれしかった。 

それは、小さなコミュニティで、
ワールドワイドな品揃えと品質を謳ったお店と同じこと。

さて、日本チェーンストア協会の2月売上高、
「18年ぶりに1兆円割れ」と日経新聞のコラムの見出し。  

同協会の加盟企業数は、残念ながら減少傾向にある。
総合スーパーを主体にした会員構成。
だからこの9526億円の総売上高減という数字はあまり意味がない。

前年同月比の売上高は、昨年のうるう年より1日少ないから、
それを勘案して、「3ポイント下押し」というが、
コンビニの2月売上高は、前年同月比2%増の5362億円。

実質金額で、総合スーパーを中心とした企業群の協会、
9526億円、  
日本フランチャイズチェーン協会加盟のコンビニ企業群の売上高、
5362億円。  

こんなに接近したのかという感慨の方が大きい。

しかし、日本のスーパーマーケット全体の2月の売上高は、
どこからか発表されていないのか。

それが知りたい。
[毎月、商人舎で調査・発表を試みようか。
私なら、ウィークリーマネジメントと、
13週、52週の科学的データの分析・発表をするのだが]  

それこそ、食生活消費の日本全体のトレンドは、
スーパーマーケットとコンビニの売上高の総額が示すことになるからだ。

そして、スーパーマーケットは、
話題の12店舗のナゲットマーケットや74店舗のウェグマンズが謳うように、
「ワールドワイドのアソートメントとクオリティ」を実現させる。
nagget
ナゲットマーケット。  
wegmans
ウェグマンズ。  

今回のワールドベースボールクラシックの日本選手が見せた活躍と、
同様の展開がなされているとみなすことができるのだ。

スーパーマーケットや小売業には、
ワールドベースボールクラシックはない。

しかし、アメリカにはFORTUNEの「働きたい企業ランキング」がある。
2009年1月に発表された最新版では、
ウェグマンズ5位、ナゲットマーケット10位。

1位 NetApp
2位 Edward Jones
3位 Boston Consulting Group
4位 Google
5位 Wegmans Food Markets  
6位 Cisco Systems
7位 Genentech
8位 Methodist Hospital System
9位 Goldman Sachs
10位 Nugget Market  

そのどちらの企業も、
「Think global,Act local」を、
実践している。

世界トップの考え方、
地域一番の実行。

これは分かる。

しかし地域一番の実践が、
世界トップにつながることを、
知らない商人が多い。  

それを知った者こそが「知識商人」と呼ばれる。

今日も、時差と疲労でもうろうとした頭で、
こんなことを考えた。

<結城義晴>  

2009年03月23日(月曜日)

商売も仕事も「心をこめて、セクシーに」

Everybody! Good Monday!  

帰国しました。
たった今。

成田から横浜へのリムジンの中で、
パソコンをとり出して、
遅めの月曜日のご挨拶。

本当に充実した1週間でした。
充実していると時間は早足。
あっという間に終わってしまった。
最終日の3月21日は、
セーフウェイのニューライフスタイルストア訪問。
朝から、繁盛。
その後、高級スーパーマーケットの「ドレーガーズ」へ。
これが、驚くべき閑古鳥。
それから単独店の「バークレーボール」。
こちらは大繁盛。

両極端で、実に勉強になった。

そしてお決まりのゴールデンゲートブリッジで記念写真。
GGB
霧のサンフランシスコ。

さらに半日の自由行動。
そして、さよならパーティ。
さよならパーティ後も、
二次会、三次会。

私の部屋で熱談、熱談。
その後、団長の部屋でも熱談。
午前4時まで。

朝は、9時集合で、
サンフランシスコ空港へ。
そしてユナイテッド837便。
機体

解団式のあとは、いつものように全員で写真。
kaidann
今回は、㈱万代圓石一治団長のアイデアで、
全員でハートのマークをつくった。

「心をこめた仕事をしよう」  
これが表の合言葉。 
結城義晴流。
裏の意味は、
「セクシーに生きよう」  
これ、ダブルコーディネーター浅野秀二先生の主張。

皆さん、ありがとうございました。

私は今回も変わりました。
皆さんも、変わってください。

行動を変える。
それがスタート。

と、意気込んで機内に乗り込む。
映画を見て、原稿を6枚ほど書いて、
成田に到着したと思ったら、
強風のためにFEDEXの輸送機が滑走路上で炎上。
narita
私たちの乗った飛行機がもし、ジャンボジェットだったら、
成田には降りられなかった。
幸運。

しかし、大阪組は乗り継ぎ便が欠航。
羽田周りで帰途に着く。

ご苦労様です。

そしてワールドベースボールクラシック。
カリフォルニア・ロサンゼルスでアメリカに快勝。

決勝は、韓国対日本。

だからこのタイミングの帰国は、良かった。
アメリカ人は、決勝戦に対して白けてしまっているからです。
そして今日の日本とアメリカの一戦を、
事実上の決勝戦と見なしていることでしょう。

でも、日本国内は今こそ、最高潮。
私たちもその空気に、乗ることができる。
幸せ。

アメリカで得たエネルギーを、日本で活かす。

商売も、仕事も、「心をこめて」いきましょう。
「セクシー」にいきましょう。

アメリカ土産のブログ記事は、大量にストックがあります。
明日、明日と言いながら、先延ばしになったご報告。
特に、お約束の「ナゲットマーケット」後編も楽しみにしてください。

「バークレーボール」という商売の原点を思い起こさせてくれる店。
「セーフウェイのニューライフスタイルストア」、
ローカルチェーン「レリーズ」の店舗とバックヤード。

そして、テスコのフレッシュ&イージー、
ウォルマートのマーケットサイド、
セーフウェイのザ・マーケット。
トレーダージョーズとアルディ。

そう、小型スーパーマーケットの潮流と分析。
最後の講義での私の整理。

今週の[毎日更新宣言]のテーマは目白押しです。

では、今週もよろしく。
「心をこめて」「セクシーに」。  

2009年3月の最終の詰めに入ります。

Everybody! Good Monday!  

<結城義晴>  

2009年03月22日(日曜日)

ジジとアメリカ出張[日曜版]

jiji1
ユウキヨシハルのおとうさん、
アメリカにいってます。
jiji2

アメリカはうつくしい。

お店も、びっくりするくらいうつくしい。
nagett

ボクのシッポも、うつくしい。
jiji,tail1

シッポをふると、うつくしい。
jiji,tail2

みんなといっしょに、しゃしん。
all

こんかいは、とても、とても、
たいへんだった。
jiji3

おとうさん、ごくろうさま。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2009年03月21日(土曜日)

働きたい企業10位「ナゲットマーケットの奇跡」その①翼のある豚

ワールドベースボールクラシック準決勝。
10時間後、ロサンゼルスで行われます。
ベネズエラ対韓国。
そしてその23時間後、
日本対アメリカ。

私たちは、そのロスからサンフランシスコへ。

ケーブルカーの発着点のそばのヒルトンホテル。
今、21日土曜日、朝6時。

盛り上がっています。

しかし日本国内の方が最高潮に達していると思います。
韓国を破って、しかも春分の日からの三連休。

今週の初めに、「Good Monday!」で予告したように。

さて、20日金曜日。

劇的な一日だった。

サンフランシスコから北東へ。
美しい一面の菜の花。

風力発電。

放牧のアンガス。

そして豊かなサクラメント。
「ナゲットマーケット」。  

フォーチュン誌の働きたい企業100社。
今年、その第10位に入った12店舗のスーパーマーケット企業。

ナゲットマーケットと呼ぶエクセレントな店が9店。
それ以外にフード・フォー・レスのフランチャイジー店舗が3店。

全くのローカルチェーンでありながら、
全米の波いる企業を押しのけて、
ベスト10の栄誉を勝ち取った。

「ナゲット」とは「金塊」の意。  
その歴史。

①1926年に、ウイリアムとマックのスティル親子が、
カリフォルニア州ウッドランドにナゲットマーケット第1号店をオープン。

②第1号店はビーフやラム、ポーク、チキン、加工肉までを揃えた精肉部門が主力。
それらを冷蔵ケース販売、チェックスタンド方式で売る。
すなわち、肉屋出身のスーパーマーケット。

③その肉屋から本物のスーパーマーケットになる。
息子のマックはいつも、
新鮮で高品質な青果物を調達するためにアメリカ西部に旅をしていた。

④1970年代には低価格宣言。
エブリデ-・ロープライスのフォーマットを確立。

⑤その後、新鮮で、品質も良く、便利なテイクアウト・デリの品揃えを広げ、
ナゲットの惣菜部門を確立。

⑥1980年~1990年代には2号店、3号店、4号店をオープン。

⑦2000年代に入ると、ヴァキャビルとデイビスにヨーロピアンスタイルの店舗をオープン。
専属シェフによる焼きたてべーカリーの販売。
さらにセレクションされたワイン売場を充実させた。
つまり新たなスタイルの売場づくりに邁進。
カスタマーの支持を拡大。

⑧サクラメントの西の郊外、フローリンロードに7店目をオープン。

⑨さらにキャメロンパークのサムズタウンセンターを買収し、
「Food 4 Less」としてオープン。

⑫2008年にはエルドラド・ヒル、エルクグルーブに2店舗をオープン。
トータルで、9店舗のナゲットマーケットと3店のフード・フォー・レスの企業。

こんな経緯を経てきた企業。
しかしそれだけでは、どうしても、
フォーチュンの働きたい企業100社のトップ10に入る理由が見つからない。

その店づくり、売り場づくり、商品づくの特徴。

①高品質の商品を周辺のお店のどこよりも安く提供する。  

「高品質な商品を低価格で売る」。
それを本気で、本当にやれば、エクセレントな店ができる。

高品質を高価格、あるいは高品質を中価格。
これが当たり前。

②低価格を実現するために専門のスタッフが価格調査を行っている。

③品質に満足しない場合、商品の交換や商品返品で保障する制度を取っている。

豚の背中に翼が生えた絵や彫刻。
pig
これが、ナゲットの象徴。
shirt
Tシャツにも使われる。

豚が空を飛ぶなんて、不可能。
(馬の背中の翼は、ペガサス。それは渥美俊一先生が実現させた?)  

しかしナゲットマーケットは、豚の背中に翼をつけた。

すなわち、「Impossible」  
不可能の実現。
floor
「不可能への挑戦」ではない。
不可能の実現。
produce
④青果部門は季節を通して新鮮で、豊富な果物や野菜を、
地元農家と世界の産地から仕入れている。
オーガニック野菜は専門のスタッフが吟味した高品質の品揃え。

その信じられないような陳列。
アンビリーバブルなプレゼンテーション。

⑤焼きたてのクッキーやケーキ類、ベーカリーで、
店内はいつもオーブンのよい香りに包まれている。

⑥ベーカリー部門はイベントや特別の日のためのオーダーを受け付けている。

⑧精肉部門では火加減やカットの仕方などの調理法をアドバイス。

⑩自然放牧で飼育されたアンガス牛のチョイスやプレミアムといった高いグレードの肉、
ハリス牧場で放し飼いされた鶏の肉など。

⑪鮮魚部門には「fishwiseプログラム」がある。
魚の個体数(資源)についての情報を付加した販売方法を行っている。
緑ラベルは、資源が維持できる魚種、
黄色はやや課題になっている魚種。
赤ラベルはキャパシティに問題がある魚種。という表示方法。

⑫ワインやビールはスーパーマーケットでは珍しいほどの豊富な品揃えを誇る。
ワインの試飲イベントも随時開催。

⑬健康的な生活提案。
サプリメントやハーブ、ボディケアやヘアケア製品、バス用品などを1カ所に集めて提案。

⑭キッチンエリアはプロによる手づくりの本格デリ部門、アジアンキッチン部門などで構成される。

⑮400種類以上のチーズの品揃え。

⑯レシピメニューを店頭やホームページで提案。週に1度メルマガ会員に情報発信。

テキストには、こう紹介されている。

しかし、その本質は、言葉では分からない。
Impossibleも言葉では、理解できない。

ケリー
ナゲットマーケットの本質を、
フロントマネジャー・ケリーさんのインタビューが明らかにしてくれた。

その②に続く。

<結城義晴>  

2009年03月20日(金曜日)

セーフウェイ小型食品店実験「ザ・マーケット」の謎を解く

アメリカ小型店緊急特別セミナー真っ最中ですが、
6月の商人舎定番USA研修会のご案内が発表されました。

今回は、フェニックスとオースティン&ダラスです。
焦点のエリア。
いつものようにハードスケジュール。
そして自分を変える研修会です。

さて、緊急特別セミナーは中日。

アリゾナ州フェニックスから、
カリフォルニア州ロサンゼルスへ移動。
空から
1時間半くらいで、到着。
すぐにバスに乗り込んで、ロングビーチへ。

セーフウェイの傘下にあるボンズが実験している小型店。
「ザ・マーケット」  

昨年2008年の5月にオープン。

ボンズの既存店を改装して、
デリショップのごとき新タイプを作り上げた。

店舗面積は1万平方フィート、約422坪。
といっても、これは日本流の売り場面積ではない。
日本は大規模小売店舗法下の商調協時代に、
レジの内側の純然たる売り場面積が焦点となり続けたから、
売場面積が当たり前になっているし、
商業者の感覚に売り場面積が刷り込まれている。
しかしアメリカでは後方スペースも含めた店舗面積が問題にされる。
だからこの店の422坪も、ざっと400坪弱といったところ。

報道では、小型スーパーマーケットで、
青果部門やHMRを強化したとあるが、
この店は、「大型デリショップ」である。  

だから、入口左側にレジ、そしてスターバックス。

左コーナーにリカーショップ。

正面にサンドイッチショップがある。
sandwich
サンドイッチショップからサービスデリ、べーカリーと続く。

店舗真ん中には、島陳列のデリ。

そして青果部門の島ケース。

奥へ向かって青果部門。

店舗右手は、壁面に日本でいう日配品のリーチインケースや多段ケース。
そして絞り込まれたグロサリーのゴンドラ。
longbeach

この店は、したがって、小型のスーパーマーケットと見ることもできるが、
サンドイッチやデリショップの便利性を高めるために、
スーパーマーケットの青果・精肉、日配品、グロサリーを足し算したと判断するのがよい。

その意味で、フレッシュ&イージーの正反対の店。

ウォルマートのマーケットサイドにやや近いが、
コンセプトは違う。

店内は、木製の床や落ち着いた什器で、
店づくりにはセーフウェイのニューライフスタイルストアの成果が生かされている。
だから見た目は美しい、コンパクトな店になっていて、
その面での評価は高いだろう。

しかし、機能として考えると、
サンドイッチ&デリショップを主力に、
スーパーマーケットの機能をサブにした店となる。

周辺が、ロサンゼルスの高級住宅街ロングビーチ。
grocery

日常の食品の買い出しは、週一回、
レギュラータイプのスーパーマーケットに行く。

しかし、中食のためのサンドイッチやちょっとしたデリは、
このザ・マーケットで済ませる。

しかし、それならば、サンドイッチやピザを提供するショップの、
ホスピタリティ、スピード、パフォーマンスは不可欠。

この店が成功するには、
主力部門の魅力づくりにもっともっと励む必要がある。

セーフウェイ全体の収益性に、
大きく影響を与える店になるにはずいぶんと時間がかかるだろうが。

さて、その後、
フレッシュ&イージーのパイロットショップへ。  

この店は、セーフウェイの取り組みとは違って、
テスコが社運をかけたアメリカ進出の、望みの星。

実によく売れている。

新しい試みも満載。
トレーダージョーズのワイン「チャールズ・ショー」に対抗して、
1ドル99セントのワインも開発した。

アシスタントマネジャーのジェフさんにインタビュー(中身は、帰国してからお届けの予定)。

「間違いなく、客数が増えている」
この発言が、印象に残った。
テスコも、アメリカで、「残った残った」。

さらにそのフレッシュ&イージーと、隣合わせのような立地の、
トレーダージョーズ。  
この店も、大繁盛店。

ハッキリ言って、私、トレーダージョーズのファンである。
コーネル大学のウィリアム・ドレイク博士と、その面では同志。

この店も、私のファン心理に見事に応えてくれた。

小売業は、立地産業であることを思い知らされる。

トレーダージョーズこそ、
アメリカの小型グロサリーストアの最強タイプである。
これは、今回の小型店研究セミナーの大前提の事実。

そのことを、トレーダージョーズの「スペシャリスト」のコリンさんが語ってくれた。

「テスコは我々をコピーしているが、
我々は彼らをコピーしようとは思わない」  

なんと自信に満ちた言葉か。
だから固い握手。
コリン
しかしこの地で、トレーダージョーズに鍛えられて、
テスコ・フレッシュ&イージーが進化している。
(このインタビューの詳細も、帰国してからお届けする予定)

日本流にいえば200坪から500坪弱の食品セルフサービス店。
その実験が次々と、展開される。

しかし、小型店こそ、難しい。  
小型店こそ、知恵がいる。
小型店こそ、特徴が鮮明だ。

それがトレーダージョーズを頂点とした米国食品小売業の現在の実力である。

<結城義晴>  

2009年03月19日(木曜日)

フェニックス地区10店駆け巡りして発見した大変なこと

日本百貨店協会発表の2月全国百貨店売上高は、
前年同月比11.5%の激減。12カ月連続のマイナス。
1965年1月の統計開始以来最大の落ち込みとなった。

こちらアメリカでも、経済危機と消費不振の影響が、
店頭に如実に出た。

昨17日は、朝から10店を駆け巡った。
アリゾナ州フェニックス、スコッツデールなどなど。
ウォルマートの歴史的小型店舗も視察した。

まず、オーガニック・スーパーマーケットのナンバーワン。
ホールフーズ・マーケットの新店。  
ホールフーズ
新店だけに、集客に腐心。
「ブレークファースト」の提案に懸命。
だから朝の8時台から、きちんと品ぞろえし、
必死で顧客を招きいれようとしている。
ホールフーズ2
しかし、この不況は、ホールフーズから、少しだけ客足を遠のかせた。

もう一店、別のホールフーズ。
オープン後、1年半の店。
こちらは昼時に訪れた。
ホールフーズのデリとイートインコーナーは、
どの店も、ランチタイムには賑わう。
しかし、残念ながらこちらも、客数は少ない。

珍しくインタビューに応じてくれたのは、
マーケティング部門のアン・マリーさん。
フルタイマーだが、大学院生。
やがて、フードマーケティングの教授になりたいとか。
wholefoods inter
業績は芳しくないようだが、ホールフーズという会社の自己評価。
「自分が自分でいられる職場」  
これが働きたい企業ランキング上位にいる理由。
(詳細なインタビュー内容は、帰国してから「結城義晴の店・人・商品」のブログにて)

客数は少なくとも、店は頑張って維持されている。

私は、ホールフーズはまだまだ、経営内容が悪化しているとは考えていない。
世界最高のオーガニック・スーパーマーケットである。

一方、この分野のライバルのトレーダージョーズ。  
こちらは、健康を前面に打ち出した店だが、
リミテッドアソートメントで、しかも低価格。
だから、依然、絶好調。

やや小型の200坪くらいの店だが、
あのトレーダージョーズの魅力満載。

トレーダージョーズとコストコは、
悪い店を見たことがない。

ウォルマートを筆頭に、やはりこの3社が不況に強い企業ということになる。
私の名づけたWTCである。
TJ2
今回のメンバーも、いちばん買い物をしたのがトレーダージョーズ。

さて、名の通った企業の動向も大切だが、ローカルチェーンはいかに。
バシャスはアリゾナのスーパーマーケット企業。  
160店ほどのチェーンストア。

オーソドックスな店づくり。
しかし顧客からは、見放された感じ。

なぜか。
イノベーションがないから。
変わっていないから。
いわゆるコンベンショナルタイプ。
伝統的なスーパーマーケット。
私、10年前のアルバートソンズを思い出した。
あのアルバートソンをコピーした店舗とするなら、上出来だ。
しかし今は、まったく響かない。
顧客たちは、ホールフーズを経験した。
トレーダージョーズを体験した。
その上で、ウォルマートを知っている。
だから伝統的な店には、魅力を感じなくなった。

そのバシャスの高級路線の店・AJファイン。  

こちらも閑古鳥。
ダウンタウンの繁盛店には、顧客が集まっているのだろうが、
郊外型の高級スーパーは、悲惨。

店づくりや商品は、以前と変わらない。
しかし、高い。
それだけで、顧客は離れる。
AJ2
デリ売り場も、写真で見るだけならば、良さそうだろうが、
顧客はいない。
AJ3
かくて、ローカルチェーンは、まさに蛻変が求められる。
HEバットやウェグマンズの学習が必須。

もう一つ、
地元のスプラウツ・ファーマーズマーケット。  

こちらは、八百屋さんに徹して、比較的に頑張っている。

なにか、明らかな特徴がなければ生き残ることはできない。
SP2
無個性、優等生、伝統型。
これでは、不況の中のサバイバルに耐えられない。

さて、小型店ブームを引き起こしたフレッシュ&イージー。  
イギリスのテスコがアメリカ版として開発した新フォーマット。

私は、この店を、割と評価している。
初めからチェーンストアをつくろうとしている。

それに徹している。

プライベートブランドも、徐々にではあるが、
顧客から支持されつつあるように感じた。

そして話題のウォルマートの小型店マーケットサイド。  

昨年10月オープンの500坪型食品スーパーマーケット。

浅野秀二先生と店内で談笑。
marketside asano
そしてインタビュー。
カスターさんとステファニーさんが応じてくれた。
どちらもアシスタントマネジャー。

「アフター5の顧客をターゲットにした店」
予算には達していないが、徐々に予算に近づいている。

マーケットサイドをもう1店。
昨年10月に一挙に4店開店して、
現在、データ収集と修正中。

こちらは、プリペイドフードが充実している。

絞り込んだグロサリーは、ウォルマートの価格。
そしてすぐに食べられるデリ、ピザなど。
さらに、プリクックアイテム。

私は、この店を、
「アメリカのコンビニ」と見た。  
アメリカにもコンビニエンスストアはある。
しかし、日本のコンビニが日本の市場で果たす役割はない。

ウォルマートがつくったマーケットサイドは、
日本のコンビニの機能をアメリカで新たにつくろうとした試みである。
アメリカ人には、便利で新しいコンセプトに映るだろう。

しかし、まだ未知数。

さて最後に、
ウォルマートのネイバーフッドマーケット。  
1000坪タイプのフード&ドラッグ。

1998年にスタートして、10年経過するも、
いまだ150店。
マーケットサイドの開発を機に、
やめるのではないかともみられていたが、
意外にも、俄然、良くなった。

なぜか。

不況の影響。

近隣型のスーパーマーケットで、
ウォルマート価格を出す。
だから客数が今、増える。
NM2
すると生鮮の鮮度がよくなる。

そして、客数が増える。
ネイバーフッドマーケットは好循環に入った。

スーパーマーケットは売れれば売れるほど、
易しい商売になる。

全くその通り。

さてウォルマート、どうするのだろう。
マーケットサイドとネイバーフッドマーケット。

不況の風を追い風にして、
ウォルマートが行く。

そんな印象を抱いた2日目。
マーケットサイドの評価、
フレッシュ&イージーとの比較。
小型店問題の解明は、
帰国してから様々な雑誌や商人舎ブログで書き続ける予定。
乞う、ご期待。

かくて夕方の講義にも力が入った。
saigonokougi

明日は、ロサンゼルスへ向かう。
<結城義晴>  

今日も、最後まで読んでくださって、
ありがとうございます。

2009年03月18日(水曜日)

アリゾナ州フェニックスでウォルマートとクローガーを訪れる

商人舎の第3回目のアメリカ視察。
始まりました。

今回は、アリゾナ州フェニックスと、
カリフォルニア州ロサンゼルス、サンフランシスコ。

注目のウォルマートのマーケットサイドや、
テスコのフレッシュ&イージーを見る。
そして仕上げはサクラメントのナゲットマーケット。

緊急特別セミナーで、新年度が始まったばかり、
もしくは年度末のこの時期に、決行。

私自身が、どうしても、マーケットサイドを見ておきたかった。

ドラッカー先生が言うように、
「まず、見よ!」である。

3月17日、午後3時、成田空港で、
最初の短い講義。
成田1
そして今回の団長・㈱万代の圓石一治さんのご挨拶。
narita2
8時間後には、サンフランシスコ到着。
sanfran
そして、ダブルコーディネーターの浅野秀二さんと合流。
asana
今回もお世話になります。
私は、必ず、現地在住のコーディネーターの先生と二人羽織で、
視察研修をする。
日本にいては分からないことが多いからだ。

サンフランシスコから2時間余りでフェニックスに到着。
暑い。
phenics
そして休む間もなく、ウォルマート・スーパーセンターへ。
W1
この店は同社の非食品総合業態ディスカウントストアからの業態転換店。
w2
しかし、火曜日の午後3時半というのに、
駐車場は埋まっているし、客数は多い。
w3
ウォルマートの、実に地域に馴染んだ店。
青果部門も、従って鮮度がいい。
w3
不況真っ只中のアメリカで、ウォルマートは絶好調。
真の商人は不況に強い?

コカコーラのエンド陳列もいつもながら見事。
w5
プライベートブランドの「グレイトバリュー」。
パッケージをリニューアルしたばかり。
新製品も80品目出した。
w6
ウォルマートは、このエリアで、17.6%のシェアを占める。
2008年からクローガー系のフライズに次いで第2位。
17%このクリティカルマスのポイントを超えた。

そのウォルマートの変化。
「ちょっきり価格」が増えた。
w7
食品と非食品の境目のアイランド。
フォーウェイ什器の角に「1ドル」。

それ以外にも、セントがついた価格設定が少ない。
w8
これ、不況対策の一つ。
分かりやすい価格。
ちょっきり価格。

定番のエブリデーロープライス商品から、
ロールバックで値下げして、ちょっきり価格へ。

うまい。

座布団一枚!

次に、フライズ・マーケットプレイスへ。
フライズはクローガーの傘下のローカルチェーン。
マーケットプレイスは、非食品強化型の、対ウォルマート店舗。
フライズは、このマーケットプレイスの業態とフード&ドラッグの二つのタイプの店で、
このエリア18.7%のトップシェア。
f1
最初に、シェア第1位と第2位の店を見る。
これがオーソドックスな姿勢。

青果部門は、ウォルマートをしのぐ。
f2
食品は、ハイ&ローを基本に、クラブカードシステムで、
フリークエントショッパーズプログラムを展開。
f3
その意味で、ウォルマートと対極をなす。

フライズで夕食の買い出しをして、ホテルへ。
そして2時間の講義の予定だが、
みんな疲れの極み。
1時間半くらいで終了。
k1
そして、フライズの商品でディナー。
d1
ディナー。
d2
ディナー。
d3

お疲れ様。

明日が本番。

<結城義晴>

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