セブン-イレブンが14日から、
日用雑貨のナショナルブランドを31品目の値下げ。
とうとう価格に関する最後の業態コンビニまで、
といった観あり。
とりわけセブン-イレブンは、
「エブリデー・フェア・プライス」を謳い、
決して価格で顧客を呼び込もうという戦略は採用しなかった。
今回は、50円、100円といった「ちょっきり価格」の値下げが多く、
その下げ幅は5%から35%まで。
「ちょっきり価格」というところが上手い。
アメリカのウォルマートが、今期に入ってから、
「ちょっきり価格」作戦を採っている。
セブン-イレブンは例によって、
あらかじめ、北海道地区で実験をした。
そこで20%~30%の売り上げアップを記録。
だからトータルで粗利益も向上するという構想の上の実行。
もう20年も前から私は考えていた。
セブン-イレブンこそ、最強のディスカウンターになれる、と。
第一に、本部営業利益は高い。
従って、その分をディスカウントに投入する余裕を持つ。
第二に、商品の絞り込みは徹底されている。
従って日本最大の単品量販チェーンである。
メーカーとの交渉力があるということ。
第三に、情報システム、物流システムなど仕組みの合理性をもつ。
この面でも日本最高のローコストオペレーションのレベルを有する。
第四に、店頭段階のローコストオペレーション。
これは、加盟店の責任となっている。
だから店頭に商品を供給するまでの低コストが実現されれば、
そのあとは加盟店次第ということになるが、ここにネックがある。
セブン-イレブンがハード・ディスカウンターにならない最大の理由は
フランチャイズチェーンであるから。
逆にディスカウントを徹底することによって、
結果としてフランチャイジーに十分なご利益をもたらすことができれば、
セブン-イレブンは、日本最強のディスカウンターになる。
もちろん、セブン-イレブンが、
「最大のハード・ディスカウンターになれる」というのは、
大いなる「仮説」であって、
同社が取り組んで「検証」をしないかぎり、
何の意味もない。
そして、セブン-イレブンは絶対にハード・ディスカウンターは目指さない。
業態転換はしない。
そこは二番手のローソンが、ストア100のような業態開発をするのとは違う。
昨年の今頃は、「値上げ値上げ」で、
現在は「値下げ値下げ」。
従って、よく分かっている消費者にしてみれば、
現在の値下げは「元に戻っている」という感覚。
これは正しい。
だからセブン-イレブンは、31品目を値下げに踏み込んだ。
「エブリデー・フェア・プライス」のコンセプトは生きていることになる。
もちろん日本の物価が世界一高いなどといったバブル期のような実態はもはやない。
日本の生活財は、国際的に比較しても、随分と安くなった。
お客さんたちは、その意味では喜んでいる。
円高のご利益が広くマーケットに還元されているわけだし、
日本商業の社会貢献のたまものでもある。
しかし、セブン-イレブンの31品目値下げは、
ますます、「あの店は高い」と、
顧客から決めつけられる店を淘汰する。
「差異が価値を生む」
今月の標語だが、
差異のないアイテムが高いのは、致命傷となる。
成城石井のように、「差異のある品揃え」の店は、
自分の「差異性のある商品」を、
悠々と、自分の努力によって、お客様に還元することで、
拍手喝采を得ている。
どこでも売っているアイテムの「最良のベーシック」とは、
「安さ」によってアピールされるものだ。
どこにも売っていない「最良のベーシック・アイテム」で、
顧客の絶大なる支持を得た店は、
それ自体が「差異が価値を生む」ことになる。
セブン-イレブンの値下げで、こんなことを考えた。
<結城義晴>