消費者庁が、2009年内に発足しそうだ。
「消費者庁設置関連法案」が、来週中に衆議院を通過する見通しが立ったため。
自民党の案に対して対案を提出していた民主党が、歩み寄ったから。
「消費者行政の一元化を目指す」といううたい文句は前向きだが、
本当に「消費者」「生活者」のための行政の実行を願いたい。
消費者を盾にした「行政のための行政」では、
それこそ内需の発掘や拡大に結びつかない。
商業・サービス業の世界からも、
この点に対しては、厳しく声を上げなければならない。
もう一つのニュース。
セブン&アイ・ホールディングスの連結決算が発表された。
全体の営業収益、すなわち売上高は、2%の前年対比のマイナス。
総額5兆6499億円。
凄いものです。
経常利益は2793億円のマイナス0.4%。
だから減収減益。
厳しい状況が、セブン&アイ・ホールディングスの決算に反映された。
しかし、この実績、マルチフォーマットの集計額。
コンビニのセブン-イレブン、
総合スーパー(欧米ではハイパーマーケットという分類)のイトーヨーカドー、
スーパーマーケットのヨークベニマルとヨークマート、
百貨店のミレニアムリテイリング(西武百貨店とそごう)、
ファミリーレストランのデニーズ、
その他、専門店やセブン銀行などなど。
同社はハイパーマーケットとスーパーマーケットを一緒にして、
スーパーストアと区分している。
このうち、コンビニとスーパーマーケットは好調組、
総合スーパーと百貨店、フードサービスが不調組。
結果としてその集計が減収減益。
しかしセブン&アイ・ホールディングスだから、
微減収微減益にとどめることができた。
一方、ユニクロのファーストリテイリングは、
中間期決算が過去最高の増収増益。
セブン&アイの総合スーパーや百貨店の衣料品が、ユニクロに奪われた。
そんな印象さえ受ける同時期決算発表だった。
柳井正会長兼社長の目は、世界を見ている。
こちらは服飾に絞り込んだマルチフォーマット戦略の企業で、
だからシナジー効果が大きい。
さて、昨日は、朝から1日中、東京・池袋の立教大学キャンパス。
8号館で、2009年度新任教員オリエンテーション。
10時から、昼食をはさんで、夕方の4時まで。
立教大学のポリシーから、大学施設の使い方、
Vキャンパスというインターネット・システムの解説など、
次々にスケジュールが組まれている。
まあ、新しい会社に入って、そのガイダンスを受けるようなもの。
そして、新しい私の研究室。
蔦の絡まる赤レンガ造りの3号館。
2階建ての瀟洒な建物が、私たちの研究室館。
入口を入ると、掲示ボードがあって、
在不在のランプが点滅している。
私は、3209号室。
3人に、ひと部屋が与えられている。
2階へ上る階段の窓から、外の桜が見える。
2階通路は、この時期、この時間、静か。
そしてドア。
「ビジネスデザイン研究科研究室4」で、
笠原英一先生、元治恵子先生と同室。
3人の勉強机が並んだ個人学習室のようなもの。
しかし、だから集中できる。
よろしくお願いします。
私のデスクの左側に、窓がある。
ここからも春の風景が見える。
午後4時から、原稿書きなどしていると、
夕方の5時15分。
歓迎礼拝が開催される。
立教学院諸聖徒礼拝堂。
入口から見る礼拝堂。
新任教職員歓迎礼拝。
立教は東京六大学に属するが、キリスト教を基本にすえる。
だからすべての行事がキリスト教に則って行われる。
礼拝堂の中にはおごそかな空気が流れる。
私はキリスト教徒ではないが、
中学高校と横浜のミッション系の学校に通った。
だから全く違和感はない。
礼拝のための小冊子。
このなかに、良い言葉があった。
「神よ、変えられるものを変えていく勇気と、
変えられないものを受け入れる心の静けさと、
それらを見分ける英知を、お与え下さい」
「勇気と心の静けさと英知」
「知識商人」に必要な三つのことでもある。
そして137名の新任教職員全員に大橋英五総長から、「聖書」が手渡しされた。
「よくいらっしゃいました」
大橋さんは、小さな声で、私にそう言った。
礼拝の後、6時から第一食堂で懇親会。
糸魚川順理事長、大橋総長のお話のあと、
神に感謝する食前の祈りをしてから、乾杯。
糸魚川理事長の話で面白かったこと。
最近、ハーバード大学のMBAの責任者と食事したそうだが、
その時に、日本の学生の二つの変化の話が出た。
一つは、日本人の学生で、数学で落第点をとって、帰国した者がいた。
こんなことは、今までなかった。
二つは、MBAの日本人学生が今年度は、8人に減ったということ。
かつてはどんな不況のときでも、30~40人の日本人が企業や行政から派遣されていた。
しかし現在は激減し、しかもこの8人は、皆、自費留学で、
全員女性である。
日本も変わろうとしている。
そしてハーバードの8人に限らず、
女性の時代がやってこようとしている。
私たちは、変化を受け入れなくてはならない。
「商売の神よ、変えられるものを変えていく勇気と、
変えられないものを受け入れる心の静けさと、
それらを見分ける英知を、お与え下さい」
<結城義晴>