「下取りセール」が盛んだ。
最初にこのマーケティングを展開したのは、
イトーヨーカ堂。
第1弾は、昨2008年末商戦で、12月27日から31日までの5日間。
そして第2弾は年始商戦で、1月10日から13日までの4日間。
さらに第3弾を1月31日から2月2日まで の3日間。
第1弾は10万点、第2弾は30万点の商品を下取りした。
最初はお買い上げ5000円ごとに1点1000円で下取りした。
第3弾から3000円ごとに1店500円で下取り。
第4弾は、2月11日から15日までの5日間、
品目を34に拡大して展開。
第5弾は3月4日から8日まで、5日間。
品目は50に拡大。
そして第6弾は、3月28日から31日の4日間。
ワールドベースボールクラシックの優勝記念緊急企画。
下取り対象品目を55に拡大。
この第6弾は、大好評を博し、期間延長。
住居関連商品、家庭用品、衣料品などで、
必要なくなった家庭内在庫を下取りすることで、
顧客の生活を軽くし、
その上で、新しい商品を購買してもらおうという考え方。
まさに現在の日本のマーケット状況にジャストミート。
イトーヨーカ堂らしいマーケティング。
一方、二番煎じの感は否めないが、
ダイエーも衣料品の下取りキャンペーンを展開中。
4月9日から19日までの11日間。
こちらは関東、近畿、中部の98店舗で、
合成繊維が入った衣料品を下取りし、20%の割引券を提供する。
集めた衣料品はリサイクルする。
家電カメラ量販店も。
ビックカメラは4月6日から5月10日まで、
約20品目を対象に「定額下取りキャンペーン」を展開中。
ノートパソコンは6000円、デジタル一眼レフは5000円、
任天堂のゲーム機「Wii」は1万円。
対してヨドバシカメラは、
中古品の買い取り対象を、ゲーム機などにも広げる。
大手下着メーカーのワコールも、
「ブラジャー・リサイクルキャンペーン」を展開。
使わなくなったブラジャーを回収。
二酸化炭素排出量が少ない産業用の固形燃料に再生する。
それに福岡の地方百貨店・岩田屋が乗って、大展開。
「他人に見られたくない」という女性の心理をとらえた。
仕事でも同じこと。
新しい仕事を命じたら、
古い仕事の一部は、
解除してやる。
そうしなければ、結局、
手に余る仕事を抱えて、
右往左往してしまう。
本来、古い課題を克服したら、
新しい課題を出す。
それをせずに、次々に新しい課題を出し続ける。
そうすると、課題はひとつも克服されず、
残滓の山となる。
店舗在庫も同じこと。
売れたら、補充。
顧客の暮らしもまた、同じ。
現在の顧客は、シンプル・ライフを求めている。
そこへ、これでもかこれでもかと、提案の連続。
足し算のマーケティング。
だから引き算は、大好評を受ける。
引き算してから、足し算。
それで計算が合う。
だからこそ、ここで、危険なこと。
引き算をしたあと、
足し算を多めにしてしまうこと。
これでは計算が合わない。
イトーヨーカ堂には、計算がしっかりとできているようだ。
まず、年末大掃除の時にスタート。
それから次々に、期間限定キャンペーン。
時期ごとのカテゴリーの転換。
一巡すると、顧客の暮らしは、引き算され、
新しい足し算の態勢が整う。
顧客の暮らしを見つめるところから、
こういった優れもののマーケティングが生まれる。
<結城義晴>