吉田拓郎のアルバム『午前中に…』が、
売上げベスト10に入った。
63歳でのランク入りは新記録だとか。
「ガンバラナイケドいいでしょう」
最新曲のメッセージは、
大人の男の生きざまを、
逆に、鮮明に表現した。
私の今年の標語『無茶をせず、無理をする』は、
「ガンバラナイケドいいでしょう」の域には達していないが、
団塊の世代の象徴の吉田拓郎とは、
私は「ちょっと違うぞ」という自負が込められている。
北辰商事㈱副社長の太田順康さん。
ご存知、総合ディスカウントストア・ロヂャースを率いる。
昨4月20日、
自転車のジャージーをまとって、
横浜に登場。
この太田さんの自転車、100万円を超える凄いもの。
タイヤ1本だけでも20万円超。
自ら、自転車チームをもち、
自らレースに出場する。
そして、自転車の普及につとめる。
その太田さんから、私も、
自転車をプレゼントされた。
名づけて『ロヂャース28号』
太田さんとそのチームが開発したプライベートブランド。
こちらは、7万9800円の定価が付けられている。
太田さんの年は、55歳。
私の一つ下で、昭和28年生まれ。
だからロヂャース28号と命名した。
吉田拓郎からは、一世代、若い。
『無茶をせず、無理をする』の私の世代。
このロヂャース28号は、
乗り方・楽しみ方を知ると、
いっそう価値が高まる。
そこで太田さんが、わざわざ大宮から横浜まで、
出張ってくれた。
新横浜公園の駐車場。
初歩的なレクチャーを受けた後、
ふたりで、鶴見川サイクリングロードを、
ゆっくりとツーリング。
こんな本格的な自転車は、初心者の私。
それでも10キロ以上を、なんの障害もなく楽しんだ。
太田さんは、この自転車を、
「トレードオフ」の考え方でつくった。
もちろん、ママチャリとは全く違う自転車。
マウンテンバイクとロードレーサー。
その中間に、クロスバイクといわれるカテゴリーがある。
ロヂャース28号は、
このロードレーサーとクロスバイクのさらに間を狙った。
お手軽、安全、快適性を実現した。
だから日本初の自転車。
この自転車の特徴の第1は、タイヤ。
タイヤは細いロードレーサー仕様。
マウンテンバイクの太いタイヤでは、
長距離を楽しく、楽には、走れない。
だからほとんどロードレーサーのスピードが出る細さ。
この細いタイヤに8キロ圧の空気を入れる。
特徴の第2は、ブレーキ。
一般の自転車についているのはリムブレーキといわれるもの。
しかしそれでは、雨の時に滑って効きが弱くなる。
そこで太田さんは、ディスクブレーキを採用した。
第3の特徴は、変速ギア。
後輪のギアは8段。
前輪のギアは3段。
両方掛け算して、24段変速。
だから坂道を登るのも楽だし、
スピードを出すのも容易。
ハンドルの左が3段変速のレバー。
右が、8段変速レバー。
24種類の変速を楽しむことができる。
そして第4の特徴は、ハンドル。
両サイドにスタンドが付いている。
坂道を登る時に、この両端の部分を握りしめて頑張る。
そうすれば、楽に、急坂を登ることができる。
太田さんは、自分の自転車の100万円超の品質を、
本格志向の初心者向けに「トレードオフ」して、
この自転車をつくった。
7万9800円也。
「トレードオフ」とは、
二律背反の機能の一方を排除すること。
結果として、新しい機能をつくり出すことになる。
高級自転車の機能から、
太田さんは極力、初心者に必要ない要素を取り除いて、
低価格の本格的自転車をつくった。
それが、日本にない自転車となった。
今のところ、このロヂャース28号をはじめとして、
90台ほどの在庫がある。
私も、完全に、はまりそう。
こういった新しい価値をつくる商品開発。
商品をつくるだけでは、足りない。
乗り方、マナー、心構えなど、
ソフトウェアのレクチャーが不可欠。
そうすれば、売れる。
今日は、太田さん自ら、それを示してくれた。
商人舎オフィスで、二人で写真。
いつでも商人舎においでください。
しばらくの間、陳列してあります。
私が仕事の合間に、颯爽と、街を流したりしながら、
愛用します。
新しい価値を創造することは、
太田さんのように、
その世界に入り込まねば、可能にはならない。
太田さんは2005年から自転車にのめり込み始めた。
まだ4年。
そして自転車レース「ツールドフランス」の、
「日本チーム監督になるのが夢」と語る。
昨年は、東京・高尾山から新潟・糸魚川のレースで、
ロヂャースチームは優勝。
太田さんも、自ら走ったという。
その経験を活かして、
メーカーにつくれない日本初めての自転車をつくった。
普及版のロヂャース28号。
環境ロボットサム君に次いで、
新時代のエコライフスタイルを象徴するものが、
商人舎にやってきた。
新時代を歓迎しよう。
<結城義晴>