5月6日、振り替え休日。
一応、通常のゴールデンウィークの最後の日。
Uターンラッシュと新型インフルエンザのマスクの列。
子供のころから、夏休みや冬休みの最後の日には、
「祭りのあとの淋しさ」のようなものがあった。
そんな気分に、日本中のサラリーマンとその家族が浸っている。
そんなときにも、商業・サービス業は、機能し続ける。
もう一息で、多数のお客に喜んでもらった黄金週間は終わる。
さて、昨日の朝日新聞スポーツ欄。
西村欣也という朝日の看板スポーツ記者がコラムを書いている。
プロ野球楽天監督の野村克也の語録。
「無視と称賛と批難」
三流は無視し、
二流は称賛し、
一流は批難する。
こうして人を育てるという。
人を育てるには、人を褒めろというが、
人によって、基本的に、対応が違わねばならないというお話。
プロの世界だから、競争は厳しい。
だから三流選手は、プロとして残るならば、
死に物狂いで努力するしかない。
もしくは、早いところ、転職した方がいい。
その選手に、褒め言葉は、むしろマイナスになる。
だから「無視」する。
二流の選手は、褒めて褒めて、気分良くして、使う。
褒められることが一番、選手を伸ばす。
しかし一流選手は、褒めてはいけない。
一流は子供のころから褒められることに慣れている。
褒めると図に乗る。
だから批判して、発奮させる。
そのために、的確に非難する。
一流選手は、その非難に耐え、乗り越えて、超一流となる。
ヤクルトの選手時代の古田敦也捕手は、言う。
「野村監督から褒められたことがない」
西村記者のコラムは、ここで、
野村監督はマー君こと田中将大投手を非難して、
もう一段、レベルを上げさせようとしていることを指摘する。
自分の部下をどう指導するか。
人をどう育てるか。
野村克也の観察と経験に裏打ちされた考え方は、
面白い。
そんな楽天というチームは、現在、パリーグ首位を走っているが、
チーム全体が、野村克也に上手にリードされて、ゲームを楽しんでいる。
仕事を楽しむ仕事人の集団のように見える。
ピーター・ドラッカー曰く。
“If they don’t enjoy it,then I’d rather not work for them.”
「仕事を楽しんでいない人のためには、私は働いたことがない」
ドラッカー先生は言う。
「仕事ができる組織は、仕事を楽しんでいる」
「訪ねてみれば2分もしないうちにわかる。
その組織の人が仕事を楽しんでいるかどうか」
店は、お客さんに、
2分で見破られている。
「仕事を楽しんでいるかどうか」を。
ゴールデンウィーク最後の日。
それから今週末の日曜日の母の日まで、
仕事を楽しんでいる店かどうか。
それが問われている。
しかし、実はそれは簡単なことだ。
仕事を楽しめばいいのだから。
ここには一流も二流も三流もない。
無視も称賛も非難もない。
無視と称賛と批難の中で、
全員で仕事を楽しむこと。
それをマネジメントすることは、
難しいのだけれど。
<結城義晴>