朝日新聞の記事の「カリスマ車内販売員」
日本レストランエンタプライズの社員・茂木久美子さん。
JR山形新幹線の車内販売員。
一人ひとりの売上高が出るが、
その成績が平均の約1.2倍。
一日25万円弱が平均だが、
数年前に1日50万円を達成。
それもゴールデンウィークに、
山形・東京間を1.5往復した時のもの。
朝日の記者が、同行取材をしている。
そのコツ。
第一に、商機を増やす。
通常は例えば山形・東京の片道で3、4往復。
それを茂木さんは、片道3時間で7往復する。
第二、スピードアップ。
顧客一人あたりの時間を最小限にする。
だから片道7往復が可能となる。
スピードは、何よりの顧客サービスでもある。
スピードアップのための秘訣。
お釣りを素早く渡す。
だから右ポケットには100円玉と500円玉。
左のポケットには10円玉と50円玉。
顧客の手の動きをみて、
どんなお金を出すかを読み取って、
「間髪入れず釣りを渡す」。
第三は、客層と売れ筋の把握。
まず1回目に車両を1往復した時点で、
客層を見極める。
そして売り込み商品を決める。
「今日は年配客やグループ客が多い。
年配のお客様には幕の内弁当が人気なのです」
私は、もう20年間も指摘している。
コンビニは、
かつての列車販売と似ている、と。
売れ筋3大カテゴリーは、
弁当、飲み物、雑誌・新聞。
現在は、JRが自ら
「ウェッジ」という雑誌を発刊していることもあって、
JR車内では雑誌・新聞は売らないが、
コンビニの品揃えの基本と似ている。
コンビニと同じで、茂木さんは、
今日の売れ筋を把握している。
そして第四に、ホスピタリティ。
これが最大の要素に違いないが。
「お砂糖とミルク、いんだっけか」
コーヒーを買ってくれた年配の顧客には、
山形弁。
もちろん山形県内を通過中のこと。
顧客に応じて、自然に言葉も使い分ける。
以前は、山形弁はあえて
使わなかったそうだが、今は、
「お客さまに喜んでもらえるから
山形弁も使っています」
その茂木さんが
販売員として壁にぶつかったときの、
上司の言葉。
「買ってあげたいと思われる人になればいい」
このカリスマ販売員の話。
ホスピタリティがベースにある。
その上で、
商機とスピードと売れ筋がある。
商売の要素を、全部、満たしている。
<結城義晴>