新型インフルエンザ、
東京・神奈川、埼玉でも感染者発生。
今朝、満員の東海道本線に乗って銀座に出てきたが、
いかにマスクをしようとも、
あの接近状態で、20分、30分と寿司詰めにされては、
うつらない方がおかしい。
もう時間の問題で、全国に伝搬してゆく。
神戸・大阪は、良く時間を稼いでくれたと思う。
その間、さまざまな策を検討し、さまざまな対策を講じる余裕が出た。
そしてアメリカの研究所から発表された
1957年以前に生まれた人には抗体があるという仮説。
これは日経新聞が昨日の夕刊から報じていることで、
私はその1957年以前の生まれ。
弱毒性の認識も高まったようで、
公衆衛生のレベルを維持しつつ、
的確な対策を打ち続けることで、
一定の方向性が見えてきたように思う。
さて、昨日は、
コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン二日目。
上田惇生先生、荒井伸也先生の講義に続いて、
朝から、弥富拓海先生による「賃金体系と福利厚生」の講義。
弥富先生が所長を務められる「賃金管理研究所」は、
日本の賃金問題の最高権威。
本田技研の賃金体系をつくってから、
日本中の企業の賃金の仕組みづくりを指導してきた。
その根底にあるのが、ドラッカー思想。
全部つながっている。
弥富先生の講義は、5つの大項目からなる。
1.企業は力強く成長しなければならない
2.お客様満足と従業員納得。
従業員の満足ではなく、「納得」というのが、弥富先生の主張。
3.何を根拠に個別給料をきめるか
4.賃金と人事の制度の変遷。
5.労働基準法と福利厚生費の内訳
賃金問題が、オーソドックスに体系的に整理された。
つづいて、杉村司朗先生から「人材採用と育成」の講義。
いかに人事評価するかを中心に、その考え方、方法論が語られた。
採用に当たって重視する人材の要件。
管理者の役割。
人をやる気にさせるもの。
管理者のコンピテンシー。
業績評価の際、大切なこと。
①部下への非難、批判は業績向上にマイナス効果を持つ。
②褒めても、業績向上の効果はほとんど期待できない。
③明確な目標が示された時、仕事ぶりが著しく向上する。
このゼネラルエレクトリック社の指摘は面白かった。
さて、午後から、
UIゼンセン同盟会長の落合清四さんの講義。
「民主的労働組合と労使関係」
労働者と、「働くこと」の意味。
労働組合の基本的な考え方と日本の労働組合の歴史。
この歴史的変遷は、本当に面白く、ためになった。
そして、健全な労使関係の構築のために何が必要なのか。
落合さんは語る。
「まず、労働組合と組合員との関係が第一により良くなること。
第二に、労働組合と経営者との関係がより良くなること。
そうすれば、経営者と従業員の関係もより良くなる」
まさに正しい。
一般にマネジメントとは、
経営者が従業員をより良くマネジすることだと捉えられている。
しかしそれだけではうまくいかない。
だから企業には労働組合が必要なのだと思う。
最後は、木下潮音先生の講義。
「小売業の労務問題」
木下先生は、第一芙蓉法律事務所の弁護士。
労務問題の専門家で、小売業の専門家。
こんな先生、ほかにいない。
木下先生の講義は、直近で最重要の三つの問題。
①長時間労働問題。
②管理職と管理監督者の問題。
これはマクドナルドの店長裁判として、話題になった。
③パートタイマーの活用問題。
ズバリずばりの指摘に、
受講生は、胸を打たれ、緊張が走った。
落合先生、木下先生の講義は改めて、詳述したい。
今回は、上田先生のドラッカーの講義が一本の芯になっていた。
その上で「ひと」の問題が、
さまざまの側面から浮き彫りになった。
問題解決の方向性も明らかになった。
私は、無性にうれしかった。
商業の現代化に向けて、
「人の問題」こそ、最も重要だと考えるから。
そして第一期生を迎えたコーネル・ジャパンは、
それを果たした。
他の追随を許さないレベルで、それを成し遂げた。
私には、それが本当にうれしかった。
<結城義晴>