フード・マーケティング・インスティチュート。
Food Marketing Institute。
「食品マーケティング協会」と訳す。
通称は、頭文字をとって、FMI。
米国内で、約1500社、2万6000店が参集する米国最大の協会。
大手チェーン企業から個人経営のスーパーマーケットまで。
FMI総年商は約3400億ドル、34兆円。
日本の食品スーパーマーケットの年間商品販売額が17兆円だから、
その2倍の年商の協会ということになる。
これは全米の食品小売売上高の約75%を占める。
メーカーや関連産業から参加する「アソシエートメンバー」、
世界50カ国、200社を超える企業が加盟する「インターナショナル・メンバー」。
こういった協力者達の支援の下、世界中にメッセージを発信している。
日本には、 FMIジャパン事務局が、
社団法人日本セルフ・サービス協会の支援のもと、開設されている。
「ホーム・ミール・リプレースメント」の概念は、
1996年にFMIが発信し、
世界中に影響を与え、
現在のメイン・トレンドとなっている。
さて、そのFMIから発表されたこの1年間の情勢報告。
2009食品小売産業スピークス。
「2009 Food Retailing Industry Speaks
Annual State of the Industry Review」
米国スーパーマーケットの3つの政策傾向。
①ナショナルブランドの低価格政策
②プライベートレーベルの強化政策
③ロイヤルカスタマー獲得政策
FMI加盟企業の「低価格政策」は2007年の約70%だった。
それが2008年には78%に増えた。
ウェグマンズやホールフーズでも、
低価格を前面に出さなければならないと実行し始めた。
考えてみると、アメリカのスーパーマーケットでも、
日本のスーパーマーケットでも、
食品小売業で高いことを売り物にする店は、
ごくごくわずかだ。
宝石や骨とう品、ブランド品の店は、
価格が高いことを売り物にする場合がある。
しかし食品の店には、それがない。
超高級品でも、「あの商品がこんなに安い」が売り物になる。
今日の日経MJのコラムで、
ローソン社長の新浪剛史さんが語っている。
「コンビニは、価格対応も大切だが、
驚きを与えることが必要」
「700円、800円の商品を500円で提供できれば、
手を伸ばしてもらえる」
米国食品小売産業の第一のトレンドが、
低価格であることは、日本と変わりない。
第二のプライベートレーベルに関しては、
加盟企業の売上高に占める割合が、
2006年11.5%、2007年14.0%、2008年15.0%。
プライベートレーベルは、
消費と産業の一定の成熟化の結果、生まれてくる。
その意味では、アメリカやカナダという北米、
イギリスを中心にして先進ヨーロッパ、
そして日本も、同じ環境下にある。
第三のロイヤルカスタマー獲得政策は、
フリークエントショッパーズプログラムの本質的活用。
50.7%の加盟企業で顧客カードシステムを活用している。
ウォルマートをはじめとしたエブリデーロープライス政策に、
顧客情報を蓄積し、ロイヤルカスタマーとする政策で対抗しようという考え方。
私は、「コモディティ」と「ロイヤルカスタマー」とが、
大きな二つのキーワードと考えている。
だからその「マトリックス」をつくって、
事象を解説している。
名づけて、
「コモディティ×カスタマー」マトリックス。
今回のFMIの報告は、図らずも、そのことを示した。
<結城義晴>