結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年05月31日(日曜日)

ジジとライスカレー[日曜版]

まーるくなって。
neru 1

ボクは、ねていました。
ner2

いい気分。
ジャマはさせない。
neru3

でも、
におう。
neru4
なにか。

カレー。
cari1
じっくり、にこんだカレー。

ゲンマイのごはんも、
たけた。
cari3

うつわも、
でてきた。
cari2

ゲンマイごはんが、
もりつけられた。
cari4

そこへ、
たっぷりと、
カレー。
cari5
たっぷりと、
かけるのがいい。

ゲンマイ・ライスカレー。

におう。
ねているボクにも、
におう。

ユウキヨシハルのおとうさんは、
そのうえにタマゴをわって、
のせるのがすき。
cari6
それにラッキョとフクジンヅケ。

んー、におう。

ねていたボクも、
おきてしまいました。

そして、銀のゴミバコへ。
jiji1

ここにのると、
ごはんをくれるヤクソクに、
なっているのです。
jiji2

だから、
銀のゴミバコのうえに、
のった。
jiji3

ねえ、ねえ、おとうさん。
jiji4

ボクも、ライスカレー。
jiji5
ほしい。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2009年05月30日(土曜日)

USP研究所當仲寛哲の主張「コンピュータとシステムは違う!」

雨の一日だった。
2009年5月29日。

東京・尾山台。
故佐藤美恵子さんの告別式。

心より、ご冥福を祈りたい。

その後、日暮里の㈱ダイナム本社へ。
ダイナム・グループの決算説明会。
非上場企業にも関わらず150人ほどの株主、金融機関が集まって、
盛況。

利潤分配率が20%を超えるという絶好調決算。  
今期の配当金は1株あたり40円で、来期は80円の予定。

好調は、継続される。

さて、すぐに夕方になってしまったが、
青山の㈱RKシステムズ。  

㈱商人舎と㈱商人ねっとの共同企画CDオーディオセミナー。
タイトルは「知識商人登場」。  
私が聞き手となって、さまざまな知識商人と対談する。
それを録音して、CDに焼き込み、お届けする。

今回は、ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所所長。
當仲寛哲(とうなか・のぶあき)さん。  
情報システムのプロフェッショナル。
アールケイ・システムズの取締役であり、
コーネル大学RMPジャパンの講師でもある。

今回は特別に、声と音だけでなく、
映像を入れた。

當仲さんが使いこなす「Linux(リナックス)」という基本ソフトの、
効用を知ってもらいたいから。
それには見てもらうしかない。

今回のCDは特にお買い得です。

その撮影風景。
まず、當仲さんのご挨拶。
1

そして、パソコンに向かって、寄ってたかってテスト。
2

最後に「Linux」のデモンストレーション。
3
これは、目から鱗の映像。
ほとんどの人が「Windows(ウィンドウズ)」という基本ソフトを使って、
コンピュータを動かしている。

「Linux」という基本ソフトならば、
どうなるのか。

さて、場所を青山タワーに移して、対談の始まり。
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まずは精神統一の結城義晴。
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同じように考えにふける當仲寛哲。
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スタッフにも、緊張感が走る。
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さあ、始めましょう。
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「5,4,3,2,1,キュー」
「みなさんこんにちは、商人舎の結城義晴です」
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対談の中身は、
①ダイエー中内功さんとの出会い
②「Linux」との出会い
③良品計画との出会い
④そして、モンゴルとの出会い  

つまり「當仲寛哲の出会いシリーズ」
當仲さんは、さまざまな出会いの中から、
日本の流通業の情報システムイノベーションの可能性を見出した。
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それが當仲寛哲の背負う十字架となった。

「コンピュータとシステムとは違う」  

「コンピュータは道具です。
例えば包丁のような道具です。
良い包丁は、よく切れる包丁。
値段が高い包丁がいいのではないし、
ブランドが付いた包丁がいいのではない」

當仲さんは、コンピュータに対して三つの条件を持っている。
①安い
②早い
③柔らかい

低価格で、
計算や記録が迅速で、
柔軟に使いこなせる。

こんな仕事の道具がコンピュータであるはず。

ではシステムとは何か。
人がする仕事の仕組み。

その仕組みこそが大切であり、
その仕組みこそが企業や組織の個性であり、
その仕組みで競争する。

道具はあくまで、安くて、早くて、柔らかいもの。
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こうして當仲さんは、
良品計画の260のシステムを、
たった6人で、
半年で仕上げてしまった。
いま、その仕組みは、1か月に1つずつつくられ、壊され、
イノベーションを続けるに至った。
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中内さんの思い出から、
「Linux」との出会いと、勉強、
ダイエーを卒業し、独立し、
良品計画の仕事の成功、
そして将来の日本の小売業と情報システムへのビジョンまで、
あっという間に時間は過ぎた。
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當仲さんの気持ちの起伏も激しかった。

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いつの間にか、外は、暗くなっていた。

今回もいい対談だった。
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最後に、當仲さんとスチール撮影。

もう一枚、気取って、
中年モデル、ふたり。
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最後の最後に、
コンピュータ・システム開発会社㈱アールケイ・システムズの宣伝ガール。
鹿野恵子さん。
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今日も充実した一日だった。
夜には、いつの間にか、
雨が上がっていた。

そして私は、佐藤美恵子さんの冥福を祈った。

合掌。

<結城義晴>  

2009年05月29日(金曜日)

イトーヨーカ堂「下取りセール」はライフスタイル提案だ!

昨日は雨の一日だったが、
その雨の中を忙しく駆け巡りながら、
考えることが多かった。

朝一番で、東京霞が関の農林水産省へ。  
農水省
委員会でディスカッション。
私には、食品流通に関するグランドデザインがある。
まだおぼろげながらといったものだが。
その「おぼろげながら」が、
議論が進む過程で、私自身の中に築きあげられていく。
心地よい。

昼過ぎまで討論が続き、
急ぎ、田町の笹川記念会館へ。
PCSA1
パチンコ・チェーンストア協会第8期定時総会。  
13時からは、その中の「第4回学生懸賞アイデア・エッセイ表彰式」
私は、審査委員長。
フジサンケイ・ビジネスアイ常務の小澤昇さんが副委員長。
もうすでに審査は終わっていて、表彰式。
その壇上の審査員席からシャッター。
人事問題研究部会リーダーの末次秀行さんが挨拶しているところ。
PCSA2
後ろに座っているのが、3人の受賞者。
最優秀賞の都留大学文学部の富沢岳人君の論文は、
ずば抜けていた。

今回もいい論文やアイデア、エッセーが集まった。

表彰式が終了し、総会がお開きになったところで、
四谷のセブン&アイ・ホールディングス本部へ。
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何度も通ったところだが、最近は久しぶり。

今回は、毎日新聞の週刊『エコノミスト』の取材。
ターゲットは「下取りセール」の仕掛け人。
㈱イトーヨーカ堂取締役執行役の青木繁忠さん。  
現在、販売促進部長兼IT事業部長。
そして㈱セブンカルチャーネットワーク代表取締役社長。
aoki1
昨年、12月19日の会議の席上、
鈴木敏文会長が言った言葉。
「シタドリシカナイ」  
この8文字の発言がすべての始まりだった。

そしていまやイオンまで、
小売業界こぞっての感もある「下取りマーケティング」が始まった。
12月27日から31日までの年末「際」の商戦。
「消費税分還元セール」以来の見事な成功をおさめたが、
その内容と今後の展開は『エコノミスト』誌上にて。
私はこれは「セール」の成功というよりも、
斬新で明快な「ライフスタイル提案」だと考えている。
だからこのライフスタイル提案は、
繰返し繰返し行われるに違いない。
これまでの販促との違いは、ここにある。

記事を楽しみにしてください。

青木さんは、現在、販促部長兼IT部長、
それにセブンカルチャーネットワークの社長。

セブン&アイのグループは、
このようにして次代のリーダーを育成している。
現場第一のトップの仕事を担いながら、
ベンチャービジネスのトップマネジメントを任せる。

リーダーとなる条件の一つは、
「苦境を乗り越えること」である。
抱えきれないくらいの仕事を与え、それを克服していくところから、
トップマネジメントの人材は育っていくのだと思う。
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青木さんに別れを告げて、再び、笹川記念会館へ。
PCSA総会は第二部に入っていた。
こちらは第29回公開経営勉強会。
500人近くの聴衆が集まって、
第3部までの講演、パネルディスカッションを聞く。

第1部は、『新型インフルエンザから顧客・社員・家族を守る』
第2部は、『パチンコ産業の現状・課題・将来』
自民党参議院議員秋元司さん、
民主党衆議院議員古賀一誠さん、
そしてパチンコ・トラスティ・ボードの有識者懇談会委員から、
和田裕さん、牛島憲明さん、三堀清さんが加わって、
積極的な議論を展開した。
古賀一誠代議士は、
「パチンコホールに関する単独法案の骨子はもう出来上がっている」と発言。

この業界の産業化への歩みが一段と進んだという印象を与えてくれた。

第3部は、『今後の遊技機開発の方向性』。
メーカーから開発担当者が7人登壇して、率直な議論を繰り広げた。
夕方7時近くに公開勉強会は終了し、情報交換会へ。

佐藤洋治ダイナム・ホールディングス社長は、
この協会の牽引者だが、昨日書いた「啐硺」の提唱者。
satou
この夜のスピーチにも熱が入っていた。
「信頼の森」という全くのニューフォーマット開発が進んでいる。
その希望と自信にあふれたスピーチだった。

牽引者の牽引力が、一段と強力になっていることを、
私は感じた。

情報交換会を、少し早めに辞して、
佐藤美恵子さんのお通夜へ。

まさに夜通しになるかのような通夜。
故人の生き方を偲んだ。

合掌。

<結城義晴>  

2009年05月28日(木曜日)

「啐硺」(そったく)と「押す力・引く力」

商人舎ファミリーの佐藤美恵子さんが、
5月27日午後5時0分、逝去されました。
享年51歳でした。

心よりご冥福をお祈りいたします。

昨日は、夕方から、銀座で会合。
早稲田大学壽里茂ゼミ稲門会の幹事会。

壽里先生には、500人超の弟子がいる。
そのOB・OG会が2年前に正式に「稲門会」となった。
「稲門会」とは早稲田大学から公認された団体ということ。
壽里先生は現在、早稲田大学名誉教授。
大正15年生まれの83歳で、いまだすこぶるお元気。
この年齢は、私の父母と同じ、
さらにペガサスクラブ主宰の渥美俊一先生も、
今年8月、83歳になられる。

私は、妙に大正15年生まれに縁がある。

さて、壽里ゼミ稲門会の幹事会。
昭和47年卒業の大先輩から、
さらに平成の卒業の新進気鋭まで、
8人が集まった。
susatozemi
10月25日に、総会を開催することになった。

私は、代表幹事を仰せつかっているが、
ほとんどの仕事は事務局の内藤邦夫さんが、
それこそ身を粉にして、遂行してくれている。

昨日はダイナム・ホールディングス社長の佐藤洋治さんから、
とてもいい話を聞いた。

「啐硺」(そったく)
「啐」(そつ)は鶏の雛がかえるとき、殻の中で雛がつつく音のこと。
「硺」(たく)は、その音を聞いて母鶏が殻を噛み破ること。
『広辞苑』にはこう書いてある。

啐がないのに、母鶏が殻を破ってしまうと、
雛は死んでしまう。

啐があって、初めて硺がある。

佐藤洋治さんは、
パチンコホールの産業化の中でそんなことを考えている。

どんなことにも、「啐硺」はある。

しかし、啐にたいして、
母鶏が硺の準備をして、
待ち構えていなければならない。

私はこの「啐硺」の話を聞いて、
2年ほど前のことを思いだした。

私が、㈱商業界の社長を退くことを決めたとき、
先輩の奥田則明さんが言った言葉。
「押す力と引く力がある」  
この押す力と引く力は、
「啐」と「硺」であることは間違いない。

私も、押す力と引く力の調和によって、
現在があるのだと思っている。

佐藤美恵子さんが逝ってしまった。
一方、壽里先生、渥美先生、私の両親は、
みな、元気。

それを壽里ゼミ稲門会で、実感した。

人の運命にも、「啐硺」と「押す力・引く力」が、
働いているに違いない。

ご冥福を祈りつつ、
そんなことを考えた。

合掌。

<結城義晴>  

2009年05月27日(水曜日)

FMI発信のコモディティ低価格とカスタマーマーケティング

フード・マーケティング・インスティチュート。 
Food Marketing Institute。
「食品マーケティング協会」と訳す。
通称は、頭文字をとって、FMI。

米国内で、約1500社、2万6000店が参集する米国最大の協会。
大手チェーン企業から個人経営のスーパーマーケットまで。

FMI総年商は約3400億ドル、34兆円。  
日本の食品スーパーマーケットの年間商品販売額が17兆円だから、
その2倍の年商の協会ということになる。
これは全米の食品小売売上高の約75%を占める。

メーカーや関連産業から参加する「アソシエートメンバー」、
世界50カ国、200社を超える企業が加盟する「インターナショナル・メンバー」。
こういった協力者達の支援の下、世界中にメッセージを発信している。
日本には、 FMIジャパン事務局が、
社団法人日本セルフ・サービス協会の支援のもと、開設されている。

「ホーム・ミール・リプレースメント」の概念は、
1996年にFMIが発信し、
世界中に影響を与え、
現在のメイン・トレンドとなっている。

さて、そのFMIから発表されたこの1年間の情勢報告。
2009食品小売産業スピークス。  
「2009 Food Retailing Industry Speaks
Annual State of the Industry Review」

米国スーパーマーケットの3つの政策傾向。
①ナショナルブランドの低価格政策
②プライベートレーベルの強化政策
③ロイヤルカスタマー獲得政策  

FMI加盟企業の「低価格政策」は2007年の約70%だった。
それが2008年には78%に増えた。

ウェグマンズやホールフーズでも、
低価格を前面に出さなければならないと実行し始めた。

考えてみると、アメリカのスーパーマーケットでも、
日本のスーパーマーケットでも、
食品小売業で高いことを売り物にする店は、
ごくごくわずかだ。

宝石や骨とう品、ブランド品の店は、
価格が高いことを売り物にする場合がある。

しかし食品の店には、それがない。

超高級品でも、「あの商品がこんなに安い」が売り物になる。

今日の日経MJのコラムで、
ローソン社長の新浪剛史さんが語っている。
「コンビニは、価格対応も大切だが、
驚きを与えることが必要」

「700円、800円の商品を500円で提供できれば、
手を伸ばしてもらえる」

米国食品小売産業の第一のトレンドが、
低価格であることは、日本と変わりない。

第二のプライベートレーベルに関しては、
加盟企業の売上高に占める割合が、
2006年11.5%、2007年14.0%、2008年15.0%。

プライベートレーベルは、
消費と産業の一定の成熟化の結果、生まれてくる。
その意味では、アメリカやカナダという北米、
イギリスを中心にして先進ヨーロッパ、
そして日本も、同じ環境下にある。

第三のロイヤルカスタマー獲得政策は、
フリークエントショッパーズプログラムの本質的活用。
50.7%の加盟企業で顧客カードシステムを活用している。

ウォルマートをはじめとしたエブリデーロープライス政策に、
顧客情報を蓄積し、ロイヤルカスタマーとする政策で対抗しようという考え方。

私は、「コモディティ」と「ロイヤルカスタマー」とが、
大きな二つのキーワードと考えている。

だからその「マトリックス」をつくって、
事象を解説している。

名づけて、
「コモディティ×カスタマー」マトリックス。  

今回のFMIの報告は、図らずも、そのことを示した。

  <結城義晴>

2009年05月26日(火曜日)

「現場第一」と「どっこい卸は生きている」

昨日は、埼玉県飯能へ。
恒例の、流通業界の仙人・杉山昭次郎先生との熱談。
杉山先生
アカデミズムとジャーナリズム、そしてジツムのお話。
商人舎ホームページでブログ連載をしていただいている。
「杉山昭次郎のときどきエッセイ」
現在は「スーパーマーケットの競争力強化の視点」の連載。
「第11回 マーケティング――鳥の目虫の目」

その杉山先生との熱談、何と6時間以上にも話し込んだ。

結論は、アカデミズムやジャーナリズムは、
「現場第一」の、
すなわちジツムを前提としたものでなければならないということ。

作家はかつて三文文士といわれた。
俳優は、河原乞食とさげすまれた。

商業も農業や工業よりも低位に位置づけられた。
外食業・サービス業は、
商業と同様に貶められた。

それらすべてが、正当に評価される社会にすることが大切。
そんな話を仙人先生と繰り広げた。

さて、北朝鮮の二度目の地下核実験。
北朝鮮に友好的とされるロシア、中国も、
今回の実験を批判。
国連安全保障理事国決議で、
制裁強化の方向。

キム・ジョンイル総書記を表現する。
「右手に菊、左手に核」  
「右手の菊」とは、
良く出てくる写真の中で、
キム総書記がもっている小さな手帳の表紙に記してある菊の花のこと。
すなわち権力の象徴。

彼は、権力に加えて武力を持とうとしている。

そのキム総書記にも、
依然として替え玉説が付きまとう。

しかし、権力と武力で、
問題が解決したことはない。
人々が幸せになったことはない。
それが最も大切なこと。

日経新聞のコラムに「経営の視点」というのがある。
昨25日付の記事のタイトルは。
「どっこい卸は生きている」  
私も賛成。

編集委員の田中陽さんが書いている。
「食文化という言葉があるように、
食生活には特別の地域性がある。
地域密着の精度を高めれば高めるほど、
多品種少量販売の世界になる。
大量生産・販売のPBとは真逆だ」  

多品種少量の商品こそ、
ノンコモディティグッズ。
大量生産大量販売の商品は、
コモディテグッズ。  

「地域情報を熟知し、
それを小売業に伝え、
商品供給する。
それが地場の卸会社だ」

コモディティだけの世界ならば、
「問屋無用論」も「問屋中抜き論」もあるかもしれない。
それが「流通革命」というならば、
その意味での流通革命は進みつつある。

ヤオコー川野幸夫会長の言葉が、
このコラムの中で引用されている。
「卸とは運命共同体」  
それはヤオコーが「ライフスタイルグッズ」として、
ノンコモディティを重視しているからだ。
ロジスティックスでも卸売業と協働しているからだ。

日本の食生活は、「廃藩置県」の前の、
藩の時代の地域性を残していると思う。
豊かさのひとつを、人々は、
この歴史性や地域性に見出している。

この地に生まれ、この地に生きる。
そのためにこの地の食文化を守り、楽しむ。
それがノンコモディティのひとつとなる。
それを支えるのが卸売業であり、
地域小売業である。

卸売業には、ながい淘汰の歴史があった。
しかし、現在まで生き残った卸売業には、
「どっこい卸は生きている」という社会的機能がある。

その社会的機能におけるイノベーションが、
卸売業というくくりのビジネスにも求められていることは、
小売業や製造業と変わらない。

そしてイノベーションは、
「現場第一」の思想から生まれるのである。  

<結城義晴>  

2009年05月25日(月曜日)

法政大学「流通産業ライブラリー」と明日の人々へのメッセージ

Ladies and Gentlemen! Good Monday!  

沖縄・南九州が梅雨入りしたというのに、
今日は全国的に晴れ模様。

今日もいい日になりますように。  

日経新聞の社説に「就農」という言葉が出てくる。
いい言葉だが、残念ながら、日本の就農率は低い。

私の家系は、九州福岡の農業だが、
私も父も祖父も、当主でありながら、
就農していない。

だから偉そうなことは言えないが、
現在の日本の農業従事者の平均年齢は65歳という。
10年前が55歳だったし、
その10年前は45歳だった。

2006年の就農者数は約7万5000人で、
39歳以下が7人に一人という。

そこでNPO法人が立ちあがった。
「農家のこせがれネットワーク」  
発起人には全国から約1300人が名乗りを上げた。
代表の神奈川県藤沢市の養豚業・宮治勇輔さんは、
農業を「かっこよく、感動があり、稼げる」仕事しようと考えた。
新しい「3K職場」。

うれしいニュースだし、心強い行動だ。

商業も負けてはいられないし、
こういった動きには、連携したいもの。

さて、先週土曜日の23日。
東京・市ヶ谷の法政大学キャンパス。
「流通産業ライブラリー」設立記念セミナーが開催された。  
主催は、法政大学イノベーション・マネジメント研究センター。
パネル1
ペガサスクラブが法政大学に寄贈した書籍群によって出来上がったライブラリー。
同クラブは日本のチェーンストア産業づくりを目指すグループ。
㈱日本リテイリングセンターの渥美俊一先生が主宰している。

記念セミナーのタイトルは、
「明日の流通産業を担う人々へ贈るメッセージ」  

法政大学市ヶ谷キャンパスの外濠校舎7階が会場。
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大学入口にも、セミナーの案内が出た。
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外濠校舎7階の薩埵ホールは、1000人収容の大講堂。
ここに500名限定で、学生、教員、マスコミ、実務家が参集した。

法政大学常務理事の徳安彰氏の開会挨拶。
矢作敏行法政大学教授の最初のレクチャーの後、特別講演は、渥美俊一先生。
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タイトルは「チェーンストア産業づくりとは」  
1時間の、渥美先生にしては短い講演。
しかし中身は、実に濃厚で、熱いメッセージが込められていた。
私は、32年前に、
初めて渥美先生の講義を聴講した時のことを思い出した。

難しい単語や概念が次々に飛び出して、
詳細なことは分からないものの、
大筋で、商業の近代化と産業化が語られた。

32年後の今回の講義も、まったくといってよいほど変わらない。
その変わらないことに、驚きすら覚える。
小売業と食堂業の前に立ちはだかる大きな壁。
その壁を乗り越えるために、まず人材と資金が用意されねばならないこと。
そして標準化された200店以上の店舗によって、
本格的なチェーンストアが構築されるべきこと。
チェーンストア経営が目指す流通革命の意味と本質。
チェーンストアに必要な職能と職位。
そこに有能な人材が必要とされていること。

それらが若い人たちへのメッセージとなって、
会場を満たした。

講義を終えた渥美先生のうれしそうな笑顔。
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私も並んで、記念写真。
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続いて講演1は、
セブン&アイ・ホールディングス社長の村田紀敏さん。  
村田さんは、1966年の法政大学経済学部卒業。
この会場を埋めた学生諸君の先輩にあたる。
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イトーヨーカ堂グループからセブン&アイ・ホールディングスへの軌跡。
そして現時点の小売業を取り巻く環境。
こういった課題が的確に語られた。
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とりわけネットビジネスの可能性を高く評価。
ネットビジネスは2013年には11兆円の産業となる。
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さらに現在の経営危機における3つの方策。
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そして経営に必要な発想と視点。
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右脳の発想力と左脳のそろばん勘定。
「働きは一両、考えは五両。
知恵は十両、見切るは千両」  

最後に村田さん自身の社会人としての原点。
①数字の後ろに人がいる
②働きがいとそれを支えてくれる人がいること
③変化の時代には好奇心が大切  

セブン&アイ・ホールディングスのトップとして、
法政大学の先輩として、
力強い講演だった。

最後に登場したのが、
ライフコーポレーション会長の清水信次さん。  
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昭和20年の終戦と清水商店での創業時代の仕事ぶり。
ポケットに入っていたわずか200円の金が、
現在の年商4650億円、経常利益150億円の、
日本最大のスーパーマーケット企業に成長した過程が、
独特の語り口で展開された。
simizu2
清水さんの講演も、私には、思い出深いものがある。
それも、何度も。
今回も、メモ一つ持たずに、
優れた観察と鋭い描写で、講演は展開された。

「日本の流通業界の大連合と消費者庁への物言いを全うしたい」
決意表明は、力強かった。

さて、肝心の「流通産業ライブラリー」は、
「ペガサス文庫」と名付けられ、
法政大学ボアソナード・タワー18階にある。
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寄贈された貴重な資料や書籍が収納されている。
tosyokan2
書籍のラックもある。
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一番奥に「ペガサス文庫への寄付者名」が記された銘版。
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その前で、何とも嬉しくてしようがないといった顔つきの渥美先生。
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そして矢作教授とのツーショット。
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実は、私たちのコーネル大学ジャパンも、
主任講師を務めてくださっている矢作先生のご尽力で、
このボアソナード・タワー25階の教室をお借りしている。
だから、毎月、二日間は「ペガサス文庫」の上階で勉強していることになる。

とてもうれしいこと。

商人舎オフィスにも「磯見文庫」がある。

勉強や研究の環境を整えることは、
チェーンストア産業づくりにも商業現代化にも、
不可欠の条件である。

きっと「農家のこせがれネットワーク」にも。

さあ、今週は、勉強しつつ、
「現場第一」でいきましょう。

Ladies and Gentlemen! Good Monday!  

<結城義晴>  

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