プライベートブランドの100円ビール。
セブン&アイ・ホールディングスとイオンが、
同時に発表。
と思いきや、どちらもサントリーが供給。
新聞各紙が一斉に報道。
朝日新聞は、写真入り。
写真上が、イオンの「トップバリュ 麦の薫り」。
下が、セブン&アイの「サントリー THE BREW ノドごしスッキリ」。
セブン&アイは、常套手段の「ダブルチョップ」。
ダブルチョップとは、
販売者と製造者が共同で責任を持ち、
社名を併記するブランド。
そして、ともにサントリー酒類が生産し、提供している。
価格は、イオンがジャスコなどで、
350ml缶1本100円、500ml缶1本145円。
セブン&アイの方は、
イトーヨーカ堂やヨークベニマル、ヨークマートでは、
350ml6缶パック600円、すなわち1缶100円。
セブン-イレブンで350ml缶は1本売りで123円。
業態別に価格設定を変えて、販売する。
プライベートブランドは、小売業自主企画商品。
しかし製造はメーカーが受け持つ。
小売業は、「工場を持たないメーカー」となって、
顧客の立場に立った商品企画をし、それを仕様書にして、
メーカーと共同開発する。
この場合の製造担当は、
プライベートブランド専門メーカーやローカルブランドメーカー、
もしくはナショナルブランドメーカーでも3番手、4番手企業が、
担うことが多い。
サントリーのビール部門は、
現在、日本で3番手。
昨年、サッポロビールを僅差で抜いて、
念願の第3位に浮上。
さらに2008年12月期に、
ビール部門は初めて黒字化した。
1963年のビール市場参入以来のこと。
ここで一気に、ビール部門で、
マーケットチェアをアップさせるために、
大胆な作戦に出た。
それが小売業二強との同時100円PB開発だ。
しかしサントリーにとって重要なことは、
「ザ・プレミアム・モルツ」の存在。
アッパーグレードのブランドが確立されているということ。
日経新聞によると、
ビールと発泡酒などの企業別マーケットシェアは、以下の通り。
①アサヒビール 37.8%
②キリンビール 37.2%
この二強は抜きつ抜かれつのデッドヒート。
③サントリー 12.4%
④サッポロビール 11.8%
こちらも、鼻差。
ここでサントリーが打って出たわけ。
セブン&アイとイオンへの供給量は、
約200万ケース。
これはサントリーの第3のビールの1割に当たる。
セブン&アイ約1万2500店。
イオン約3700店。
この1万6200店舗の店頭が、この夏、
サントリーの「100円ビール」によって占拠される。
そんなメーカーの戦略と、
必死で売上げと利益を稼ぎたいという小売二強の思惑が重なった。
珍しく、セブン&アイとイオンの足並みが揃った出来事として覚えておきたい。
これは、皮肉。
さて昨日は、午後から、東京・新宿、伊藤園本社。
伊藤園大陳コンテスト最終審査委員会。
恒例の、㈱商業界の『食品商業』誌上でのイベント。
業界最大にして、最高のレベルという評価は定着している。
江島祥仁副社長と並んで、真剣に審査する結城義晴。
本庄周介専務取締役、山本恭広同誌編集長も加わって、審査は進む。
最終審査は、全員集合。
真ん中の本庄大介社長も、審査委員。
ここでは、書けないが、
店舗賞、企業賞の大賞を射止めた会社には、
祝福のエールを送っておこう。
今回の陳列コンテストの傾向。
派手なプレゼンテーションや手の込んだ陳列は減ったが、
在庫コントロールと基本に忠実な仕事ぶりが目立った。
非常に良いこと。
審査のあとは、江島副社長の部屋を訪れて、
抹茶、煎茶。
そして、情報交換とディスカッション。
プライベートブランドに対する伊藤園の姿勢も聞かせていただいた。
感謝。
今週は、プライベートブランド週間になりそう。
そう、金曜日7月3日のセミナー。
「日本のPBはこうなる!」
楽しみだ。
<結城義晴>