ユウキヨシハルのおとうさん、
きのうの夜、うまれてはじめて、
電車のなかで席をゆずられた。
「ふしぎなきもち」
と、いってます。
わかい、まじめそうな、
サラリーマンだったらしい。
ボクも、おとうさんを、
いたわってあげなければと、
おもいます。
だから、玄関のところで、
おとうさんを、おでむかえ。
どうぞ、どうぞ。
こちらです。
もっと、もっと、
こちらです。
そして、ここです。
ねえ、おとうさんこれです。
……。
ありがとう。
いただきます。
シーバというなまえがついたキャットフード。
ボクの大好物。
シーバしかいただきません。
ぜんしんで、ふんばって。
いただきます。
もっと、おくまで、
カオをウツワにつっこんで。
いただきます。
ごはんを、いただいたら、
こんどは、お水。
お水は、うえのほうを、
ぺろぺろ。
んーん。
おいしかった!!
いちおう、マンゾク。
ツユだというのに、
ボク、すごい食欲です。
「ふしぎなきもち」
全身の毛をカットしてもらって、
「ぜいへん」したからなのか。
ボクにはよくわかりませんが。
とにかく、
たべたい。
たべてもたべても、
まだ、たべたい。
おとうさんは、
「もうやめなさい」
と、いってくれます。
でも、もっともっと、
たべたいんです。
ボクも、
席をゆずってあげるから、
ごはん、もっとください。
<『ジジの気分』(未刊)より>