関東地方は、早くも梅雨明け。
いよいよ、真夏です。
8月6日、7日と、
富士山に登ることになっていて、
いまから楽しみにしているのですが、
その富士山で落石事故。
3トンの岩が落ちてきて、
一人亡くなった。
ご冥福をを祈りたいが、
私は、富士に登る。
㈱エコス会長の平富郎さんからお誘いいただいて、
現在、準備中。
来週には、
コーネル・ジャパンのニューヨーク卒業旅行が控えていて、
その準備も忙しい。
梅雨が明けて、多忙な日々は続く。
自民党からは、麻生降ろしの合唱も聞こえ、
これは、自民党自身の崩壊を早める。
一方、世界ではゴールドマンサックスの第2四半期決算で、
利益が前年比65%の伸び。
ユダヤ資本に対する偏見は、他と同様に、全くないが、
何とも恐れ入った経営であることは間違いない。
ある意味、ここまで徹していかねばならない時代ではある。
さて、昨日は、『日経ビジネス』誌の小平記者が商人舎を訪れてくれて、
インタビュー取材や情報交換。
引き続き、FMIジャパン事務局長の中間徳子さんが来てくれて、
コーネル・ジャパンの打ち合わせなど。
そして今日のテーマは、
プライベート・ブランドの研究。
これから3年間は、私の主テーマの一つとなる。
なぜなら、まったくのあてずっぽうだが、
「3年で日本の食品PBシェアが10%になる」
と、予測を立てているからだ。
日本のPBをリードしているのは、
イオンのトップバリュ。
少なくとも量においては、一番だ。
しかし、それに対抗して、本腰を入れ始めたのが、
セブン&アイ・ホールディングス、
その「セブンプレミアム」。
先の流通ニュースと商人舎の共催セミナー「日本のPBはこうなる!」で、
私は、このセブンプレミアムの考え方を、
三つの側面から、表現した。
①ヨークベニマル社長の大高善興さんが開発リーダー
⇒すなわちヨークベニマルの食品開発の経験が活かされる
②セブン-イレブンのチームマーチャンダイジングの考え方
⇒メーカー・ベンダーとの共同作業になる
③製造業者明記の[ダブルチョップ]方式
⇒これも製造メーカーの協力のもとで開発されていく
ちなみに私は、[ダブルチョップ]の定義を、
以下のように考えている。
「小売業とメーカー・サプライヤーが共同で商品を開発し、
製造者と販売者が連名で顧客に商品を提供する方式」
ハッキリ言っておくが、
私は、このダブルチョップ方式、
現時点で、間違っているとは判断していない。
顧客から支持を受ければ、
それは良い商品だし、良い方式だと思う。
そして、日本のPB比率が2012年度に、
現在の4%から10%にまで伸びると判断する根拠のひとつが、
セブンプレミアムの[ダブルチョップ方式]にある。
ただし、私はすでに結論を持っているが、
長い目で見ると、セブンプレミアムは、
やがて「ブランド」として確立され、
ダブルチョップ方式の表示法を修正していくに違いない。
その理由は、私のUSA視察セミナーや次のPBセミナーで明かされる。
現物を提示し、店舗を見ながら、説明しなければ、
その意味は理解しにくいし、誤解を生じさせるからだ。
さて、そのセブンプレミアム。
面白い。
いくつかサンプルを購入して、
そのメカニズムを考える。
誰でもできる「考察法」。
まず、
「セブンプレミアムこいくちしょうゆ」
1000ml。168円。
シンプルなラベル。
しかしセブン-イレブンで購入すると、しっくりする。
セブンプレミアムのブランドデザインが、
セブン-イレブンのデザインとトータライズされているから。
ヨークベニマルでは、ちょいと違和感があるだろう。
そのこいくちしょうゆ、
製造元はヒゲタ醤油㈱。
遺伝子組み換えでない大豆および脱脂加工大豆を使用している。
明らかに、ベンチマークの対象は、
ナンバー1ブランドのキッコーマン。
次に、
「セブンプレミアムトマトケチャップ」。
500グラム。148円。
ここでは「販売者」と表示されているが、
製造元は、キッコーマン㈱。
ベンチマークの対象は、カゴメだろう。
醤油はヒゲタでつくり、
ケチャップはキッコーマンと共同開発する。
袋をとると、まったくシンプルなパッケージ。
コスト削減の努力が見られる。
お問い合わせ先、お客様ご相談センターは、キッコーマン㈱。
ペガサスクラブの渥美俊一先生は、この点に批判的だ。
私も、そう思う。
しかし、現時点で、
セブン&アイよりもメーカーの側に、
問い合わせに的確に応じる機能があると仮定すると、
これはリアリティに満ちた対応。
機能がないところに問い合わせがきて、
たらい回しになったりすることは、
少なくとも避けられるからだ。
しかし、これも近い将来、
ブランドを開発した主体者が、責任をもって、
お答えする態勢にするのが筋だろう。
これでは、いったい、だれが、
最終責任を持っているかが、
お客様一人ひとりに対して、明白ではない。
「セブンプレミアム中濃ソース」
500ml。178円。
これは、今度は製造者カゴメ㈱。
キッコーマンが一番の醤油はヒゲタと共同開発、
そのキッコーマンとはカゴメが一番のケチャップを共同開発、
そしてカゴメとは、中濃ソースを共同開発。
これを「セブンプレミアムしりとり」という。
PBは、一流メーカーの製造技術を活かして、
その一流メーカーの二流ブランド分野で、
トップブランドをベンチマークして共同開発される。
最後に、
「セブンプレミアムマヨネーズ」。
500グラム。
製造元は?
もう、読者も想像が、つくだろう。
そう、ご名答。
味の素㈱。
こちらも、お問い合わせ先は、味の素㈱。
どのメーカーのどのブランドをターゲットにしているかも、
賢明な読者には、おわかりだろう。
袋をとると、パッケージには、
AJINOMOTOのロゴマークが、
くっきりと浮かび上がる。
セブンプレミアムは、関係者の努力のもと、
2008年度には800品目で1800億円となった。
2009年度は、1300品目に倍増し、
3200億円の売上高を計画している。
なんといっても、
セブン-イレブン1万2000店の日本一の販売力がある。
それにイトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマート。
西武百貨店やそごうでも販売する。
この多数の業態で販売する際の、ブランド戦略には、
私も一言、発しなければならないが、それはさておいて、
セブンプレミアムの販売量は、
しばらく鰻昇りに伸びるに違いない。
そしてその間に、現在のリアリティは、
未来のリアリティに変質する。
そのときにはそれを認めればよい。
ただし、PBの宿命だが、この方法論では、
商品のコモディティ化現象を促進させることは明らかだ。
だから新しい価値の追及、
小売業でなければならないニーズの掘り起こしが、
求められることになる。
それがリテール・ブランドの本来の役目なのだから。
<結城義晴>