2週間ほどまえのことです。
ボクは、見ていました。
ユウキヨシハルのおとうさん、
おおきなふくろにいっぱい、
買い物してきました。
「スポーツ・オーソリティ」から。
ムフフ、と、
うれしそう。
ボクは、見てしまいました。
てぶくろ。
これは、雨がっぱ。
「レイン・ウェア」
そしてボクは、
見つけてしまったのです。
くつ。
ふつうのくつとは、
ちがっている。
おおきくて、
しっかりしている。
リュックサック。
これもおおきくて、
でも、かるい。
ボウシとシャツとパンツ。
三点セット。
そして、これはなんというか、
ステッキ。
つえ。
これをぜんぶ、身につけて、
リュックサックにつめこんで、
おとうさんは、
でかけてゆきました。
タカオ山へ。
トーキョーのオクのほうの山。
山のぼりのレンシューです。
でも、ボクがねらっていたのは、
のこされた、おおきなフクロのほう。
なかにはいってみました。
おとうさんは、元気いっぱい。
ジュンビ・バンタン。
ふりむいて、
あるきはじめました。
ずんずん、のぼっていく。
お宮のトリイをこえて。
アジサイの花が、
さきみだれているところをこえて。
森のなかの、
つり橋をわたって。
ヤマユリの花をみて。
ボクは、フクロのなかで、
いい気分。
こんにちは。
おとうさんは、
みはらしのいいところまで、
きた。
頂上です。
マンゾクそうなユウキヨシハルさん。
ボクも、マンゾクです。
おとうさんは、
8月の6日と7日に、
フジ山にのぼります。
その準備をしているのです。
フジ山でも、
マンゾクして、
ぶじにかえってきてくれると、
いいのですが。
レンシューしてるから、
ダイジョーブでしょう。
<『ジジの気分』(未刊)より>