2008年度の日本の人口動態。
総務省の住民基本台帳に基づく調査が発表された。
1億2707万6183人。
イチオク・ニセン・ナナヒャクマン・ニン。
すごい人口だ。
この国民が毎日、
食べ、住み、着て、生きる。
それを支えるのが商業。
国民が毎日、
動き、学び、遊び、楽しむ。
それを支えるのがサービス業。
この壱億弐千七百萬人の暮らしこそが、
すべてのベースとなる。
8月30日の衆議院議員選挙も、
この壱億弐千七百萬人の生活のためになされる。
商人舎8月の標語。
「選挙に行こう・投票しよう」
とりわけ、投票が行われる日曜日に、
店をあけ、営業する小売業・サービス業に従事する人は、
当然ながら、他の産業に従事する人より、
投票率が低いと予測される。
だからこそ、あえて、言いたい。
「選挙に行こう・投票しよう」
さて日本の人口。
昨年よりも、増えた。
1万0005人プラス。
0.01%。
2年連続のプラス。
少子高齢化といわれるのに、
なぜか。
日本国籍を有する国民のうち、
海外から帰国する人口が増加したから。
世界中が不況となり、
母国に帰ってくる。
だから2年続けて、人口は増えた。
しかし、死亡した人は113万4402人。
なんと過去最多。
出生数は108万8488人。
3年ぶりに減った。
差し引いた「自然減」は4万5914人。
この減少幅は、過去最大。
やはり、少子高齢化は進んでいる。
14歳以下が、1720万6720人で、
依然として減少し、過去最少。
65歳以上は、2821万7919人で、
増加の一方、そして過去最高。
15歳から64歳までの「生産年齢人口」は、
8165万1549人で、
これも過去最少。
面白いことに、
日本経済新聞は生産年齢人口減少を問題視し、
朝日新聞は総人口の増加を強調する。
新聞の姿勢が表れる。
しかしこのマクロな数字や傾向は、
毎日の仕事には、直接、響いてはこない。
影響を受けるのは、地域別の人口動態。
東京・神奈川などの首都圏、
大阪を中心とした関西圏、
愛知周辺の中京圏の、
三大都市圏は、増加し続けて、過去最高の人口。
このエリアに6401万2618人。
日本の人口の50.37%が、
三大都市圏に集まる。
日本人の半分以上が、三大都市圏に住まう。
減り続けていた関西圏も5年ぶりの増加。
市と町村の人口割合も、
格差は広がるばかり。
市部は、89.8%。
町村部は、10.2%で、間もなく1割を切る。
この傾向は、日本だけではない。
アメリカもヨーロッパも、
中国、インドなどブリックス諸国でも、
現在の地球上では、
都市に人口が集中し続けている。
そのくせ、
一世帯当たり人数は2.4人。
減少を続けている。
しかし商売とは、実に皮肉で面白いもので、
都市圏の小型店で、
少量パック・小容量商品が売れるかというと、
それもあるが、それだけではない。
町村部にあるアウトレットモールには、
人が群がり、大繁盛し、
コストコ・ホールセールでは大容量商品が、
飛ぶように売れる。
マクロ・マーケットのトレンドと、
ミクロ市場でしか成功しないビジネス。
ミクロ市場は、しかし、
マクロなトレンドから影響を受けずにおれない。
ここに商売の妙味がある。
戦後、日本人は着物を着なくなった。
圧倒的に着物人口は減った。
しかし呉服屋チェーンが登場すると、
着物人口は減っているにもかかわらず、
彼らは成長を続けた。
やまと、さが美、鈴乃屋。
マーケットが縮小する中で、
既存の小さな呉服屋を潰しながら、
彼らは成長した。
しかしあるところで成長は、パタリと止まった。
マーケット自体が縮小していたから。
そして現時点では、
リサイクル呉服の「たんす屋」が大繁盛。
ユニクロの浴衣もよく売れている。
マクロ市場の傾向と、
ミクロ・マーケットの対策とは、
この呉服業界の盛衰関係そのままである。
すべての基礎トレンドは、
日本の人口動態にある。
日本の人口1億2707万6183人。
2008年度、1万と5人増えた。
この国民が毎日、
食べ、住み、着て、生きる。
それを支えるのが商業。
国民が毎日、
動き、学び、遊び、楽しむ。
それを支えるのがサービス業。
ありがたい仕事だ。
<結城義晴>