結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年08月13日(木曜日)

2008年百貨店調査、1位三越本店、2位伊勢丹本店、3位阪急うめだ、1000億円超は13店

ちょっと気になるニュース。
日本政策金融公庫が発表した消費者動向調査。  

昨年10月1日に、農林漁業金融公庫が、
国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行と統合して、
株式会社として日本政策金融公庫が発足。

従って、農林水産業向けの情報提供という前提を認識したうえで、
消費者が食品を選ぶ基準の変化。

「安全性を優先する」と回答した人が19.8%。
前回調査の31.7%から、11.9%ものダウン。
「食費を節約したい」と回答した人は35.1%。
前回の34.6%より、0.5%増加。  

今年7月1日と2日に、
2000人の20歳から60歳の男女にサンプル調査したもの。

安全性と経済性は、
本来、秤にかけられるものではない。

安全だから価格は高い、
安いから安全性は低い。
これは絶対にいけない。  

農林水産省のミーティングでも、
私はこのことを強調し続けている。

生産者だけでなく、
流通業者、小売業者揃って、
日本で生産され、流通され、小売りされ、
消費される食品は、
まず安全であるという「安全保障」を、
業界全体で構築し、維持しなければならない。  

これが確立されれば、
遠大なる計画であるが、
日本の人口問題も解決に向かう。

「安全な食品が提供される国」として、
世界中から移民の希望者が殺到するに違いないからだ。

私は、人種や宗教にかかわりなく、
日本という国をよく知って、
その上でこよなく愛してくれる人々を、
移民として受け入れるべきだと考えている。

「精神と意識」のうえでの日本人。

食品や水の安全性、おいしさは、
日本という国の最大の特徴の一つだ。

さて、昨日の日経MJの2008年百貨店調査。  
「百貨店の店舗数は30年ほどのうちに半減する」などと、
物騒なことを言っている私だが、
「百貨店がなくなる」だとか、
「百貨店は社会的機能を喪失する」などとは、
全く考えていない。

店舗数が減って、残った百貨店の価値は、
どんどん高まっていくに違いない。

その2008年度の百貨店の動静。
まず、店舗別売上高。
第1位は、三越日本橋本店 2531億円。
第2位は、新宿伊勢丹 2460億円。  

この2店が、2000億円を超えている。

第3位は、阪急百貨店うめだ本店 1729億円。
第4位は、池袋西武 1692億円。

第5位、横浜高島屋 1613億円。
第6位、日本橋高島屋 1465億円。
第7位、大阪高島屋 1421億円。  
  
高島屋が、5位から7位までを占める。

第8位は、東急百貨店本店 1243億円。
第9位、松坂屋名古屋本店 1232億円。
第10位、東武百貨店池袋本店 1224億円。  

1000億円以上は、13店。
第11位、近鉄百貨店阿倍野本店 1206億円。
第12位、そごう横浜店 1117億円。
第13位、小田急新宿店 1048億円  

都心の最高立地、超巨大な店舗。
絶大なる信用と暖簾。

三越本店の売り場面積は、
13万6941㎡と圧倒的な一番店。
伊勢丹新宿本店は、6万4296㎡だから、
こちらは、圧倒的な売場販売効率を誇る。  

年商500億円を超える百貨店は39店。  
39位が、548億円の西武渋谷店。

年商300億円を超えるのは69店。
年商200億円以上は109店。
150億円超は、139店。
そして100億円超は、178店。  

総合スーパー100億円店舗が、
ひとつの分岐点とすると、
大衆百貨店機能を果たす総合スーパーと、
百貨店との分かれ目は、
年商150億円という線か。

あれは明らかに百貨店。
これは明らかに総合スーパー。

それがはっきりすることこそ業態の差異性。

かつて、千葉商科大学の学生に、ある先生が、
「君たちの地域で、君たちの考える百貨店の代表はどこか」と聞いた。

「イトーヨーカ堂」が圧倒的に多かった。  

もちろん学生に百貨店と総合スーパーの差異性を、
正確に説明しておかねばならないのだが、
説明を受けずとも画然とした違いが分かるものこそ、
業態の違いでなければならないと思う。

そしてはっきりと違いが分かる店でなければ、
業態として生き残ってはいけない。

私は、そう思う。

成熟社会のオーバーストア競争のなかで、
サバイバルするとは、そういうことだ。

さて日経MJの調査では、
増収を果たした百貨店の店舗が12店しかなく、
これが全体の5%にすぎないと指摘している。

そして伸びた店が、郊外・地方店舗ばかりと強調している。

これには私、賛成と異論がある。
賛成の理由は、
伸びた店が「ロイヤルカスタマー」をしっかり獲得している点。
西武所沢店の生井俊一店長の発言。
「私の店と思ってもらう取り組みを徹底する」  

この「私の店」とはかつて西武百貨店の中核にいて、
西友を創業した上野光平先生の言葉。

私、うれしくなった。

「私の店」と考えてくれる顧客をつくる店は、
業態を超えて、残る。
これは真理。

一方、郊外・地方の店が伸びたというのはおかしい。
郊外・地方で縮んだ店は、伸びた店よりも圧倒的に多いからだ。

伸びた店12店を見たら、郊外・地方の店で、
これらは「ロイヤルカスタマー」を獲得する努力をしていた。

地方や郊外のほうが、相対的に客数が少ない。
だから「私の店」化の努力をした。

そう見るのが妥当だろう。

最後に一言。
百貨店は、店舗別に評価するべきで、
企業別に判断するのは危険である。  

良い店が数多くあるのが、良い企業。
企業全体の力量というよりも、
個店別の力を足し算するのが百貨店。

チェーンストアの評価とは全く異なる。

念のために言っておくと、
だからといってチェーンストアが、
個店を大切にしないというのではない。

全体と個との関係性を最大限に最適化し、
それによって掛け算の成長を果たすのが、
本来のチェーンストアである。  

<結城義晴>  

[追伸]
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