コンビニエンスストアの7月売上高が落ち込んだ。
昨年の7月との既存店比較で、
マイナス7.5%。
全店売上高も前年同月比5.0%減で、
これは25カ月ぶりのマイナス。
日本フランチャイズチェーン協会に加盟するコンビニ11社の統計。
セブン-イレブン・ジャパンが既存店マイナス5.5%。
ローソンがマイナス8.7%
ファミリーマートはマイナス7.3%。
この統計が始まった1998年12月以降、
最大の落ち込みという。
理由は、はっきりしている。
第一は、昨年のタバコ自動販売機成人識別カード・タスポ効果の消失。
第二は、全国的な天候不順。
コンビニは、気温や天気の予測はずれが、
営業に大きく響く。
1店舗の面積が30坪と狭く、
従って、品揃え幅は狭い。
だから予測と発注の精度が必要になるが、
天候不順はその精度を狂わす。
精度が高ければ、
狭い面積で高い効率をはじくことができるが、
それに狂いが生じると、
売上げそのものが減ってくる。
スーパーマーケットなどと比べると、
天候不順に弱い業態ということになる。
しかしこの二つの理由以外にも、
コンビニでは、10年近く、
弁当・惣菜など核商品がジワリジワリと、
下がり始めていた。
「店舗飽和」こそが、本当の理由。
誕生以来、伸び続けたコンビニ・フォーマットのライフサイクルが、
下り坂に差し掛かったというのが、
客観的な見方だろう。
飽和の次にやってくるのは、
当然ながら、淘汰である。
さて、神出鬼没の結城義晴。
昨日は、盛岡で講演。
「2009サマー・オーナー・セミナー」
秋山会計事務所と大沢会計&人事コンサルタンツの共催。
最初のご挨拶は、秋山信勝所長。
200人を超える参加者だった。
私の講師紹介をしてくださった大沢英夫先生。
そして、私の講演。
タイトルは「未曾有の危機への戦略と対策」。
最初に、「理念武装・理論武装・技術武装」と、
「顧客創造」こそ、2010年までの対策であることを強調。
それから、イノベーションのすすめ。
すなわち「自ら、変われ」の提案。
多業種・多業態の集まりには、
まず第一に、この提案をすることにしている。
それが、共通課題だから。
これは日本社会全体の課題でもあるし、
現在進行形の衆議院選挙で展開されるべきテーマでもある。
講演のあと、
私を推薦してくださった小松務さんから記念品を授与していただいた。
㈱小松製菓代表取締役社長にして、
商業界全国連合同友会会長。
もちろん、商人舎発足の会発起人のおひとり。
ありがたいこと。
この講演のなかで、気づいたこと。
小売業や外食業は、店がある。
店の社会的機能としての業態がある。
だから業態の盛衰やライフサイクルが、
極めて明確にわかる。
コンビニが、そのピークにさしかかろうとしている。
もちろん、息の長い業態もあるし、
それが短いものもある。
しかし店舗という形をもたないビジネスや商売では、
自らの社会的機能の盛衰とライフサイクルが、
見分けにくい。
ビジネスや商売は、
地域社会に貢献することで成り立っている。
だから地域が変わり、社会が変貌し、生活が変化し、
競争環境が変質すれば、
当然ながら、ビジネスの形は変わってこなければならない。
それがわかりにくいビジネスが、意外に多い。
製造業は商品をつくるから、
小売業ほど業態がはっきりしていない。
出版社、雑誌社、マスコミ、広告代理店なども、
業態というか、フォーマットが明確ではない。
コンサルタントや団体・政党にも、業態があるだろう。
しかしその盛衰は、見分けにくい。
だから、イノベーションや転換が進みにくい。
しかしそんなビジネスや社会的機能にこそ、
イノベーションは求められている。
上田惇生先生訳で、ドラッカーは言う。
「イノベーションの必要性を最も強調すべきは、
技術変化が劇的でない事業においてである」
「イノベーションとは、
顧客にとっての価値の創造である」
「それは、科学的・技術的重要度ではなく、
顧客への貢献によって評価される」
そしてつづける。
「イノベーターは、リスク志向ではない。
イノベーターは機会志向である」
語りながら、説明しながら、
私はそんなことを考えていた。
夕方、5時に講演会が終了してから、
小松さんご夫妻と、
秋山会計事務所第一部門総括主査の高橋有幸さんと、
食事。
小松さんは、岩手県を代表するほどの優れた経営者。
もちろん、21世紀の商業界のリーダー。
この夜も、勉強することが多かった。
心から感謝。
<結城義晴>