朝刊全紙が二つの記事を取り上げた。
第一は、7月の全国消費者物価指数の下落。
前年同月比で、2.2%マイナス。
1971年の統計以来最大の下落率。
しかし2005年を100とした指標は100.1で、
そんなに悲観することはない。
8月もこの傾向は続く。
東京都区部の中旬の消費者物価指数速報値が出ていて、
これは、99.7で、1.9%下落。
下落率は1971年以降で最大。
7月の傾向が8月も続いている。
日経新聞は、さらに調査していて、
全国の総合スーパーと食品スーパーマーケット店頭価格は、
主要60品目の食品・日用品の値下がりが顕著。
「食用油、ミネラルウオーター、ティッシュなど6割弱の34品目が下落」。
「節約志向を背景に価格競争が進んでいる」と総括している。
これは明らかに、
コモディティの低価格化を意味している。
だから「節約、倹約。もったいない」と、
「最良のベーシック」こそが、
競争対策となる。
もちろんノンコモディティによる利益確保が背景になければ、
この時期を乗り越えるのが難しい。
第二のニュースは、総務省発表の7月の完全失業率。
5.7%で、6月比較で0.3ポイントの悪化。
これも、2003年4月の5.5%以来、過去最悪の更新。
そして第一と第二のニュースは、深く関連している。
雇用不安定が消費低迷を呼び込み、
それがコモディティの購買に傾く。
7月、8月とこの傾向は強まった。
大阪では、中小企業の半分くらいから、
夏のボーナスがゼロという声が上がった。
すべては日常の消費に向けられる。
「節約、倹約。もったいない」と
「最良のベーシック」
政治にも行政にも、この問題解決の意識は不可欠。
さて、昨日は、午後1時から東京・ホテルオークラで、
日本セルフ・サービス協会の平成21年臨時総会。
特別の意味を持つ臨時総会。
8月3日付で、二つの社団法人が合併した。
1958年発足の日本セルフ・サービス協会と
1983年設立の全国スーパーマーケット協会。
新協会の名称は、「社団法人日本セルフ・サービス協会」
その「新生セル協」の最初の総会。
大きな注目を集めた。
4つの議案が審議され、すべて問題なく、承認された。
第一号議案の「理事・監事選任の件」では、
定款通り36人の理事、2人の幹事が候補者として推薦され、
全員が選任された。
総会後の理事会では、会長・副会長、専務理事、常任理事が決定し、
さらに名誉会長、顧問が選任された。
会長は、横山清㈱アークス社長。
副会長は、増井徳太郎㈱紀ノ国屋取締役相談役。
専務理事は、三浦正樹旧日本セルフ・サービス協会専務理事。
そして名誉会長は、清水信次㈱ライフコーポレーション会長。
清水さんは、日本スーパーマーケット協会名誉会長でもあり、
日本の食品スーパーマーケット産業全体のリーダーであることは、
衆目の一致するところ。
常任理事は、9人。
青木巌㈱あおき会長、
石田茂之ハローフーズ㈱会長、
遠藤須美夫㈱ベルプラス社長、
太田順康北辰商事㈱副社長、
千野和利㈱阪食社長、
中村洋子㈱スズキヤ社長、
三科雅嗣㈱いちやまマート社長、
村山紘一㈱九電工相談役。
協会顧問は、歴代会長のお二人。
石戸孝行㈱京北スーパー相談役、
行光博志㈱いかりスーパーマーケット社長。
私は、本当に皆さんと親しくさせていただいている。
よろしく、お願いしたい。
総会、理事会のあと、午後4時から記者会見。
会見前に、会長・副会長・名誉会長揃い踏み。
壇上の揃い踏みを囲む記者団。
そして会見。
横山さんの発言は、いつもの当意即妙。
しかし、とても大事なことを語った。
「スーと出て、パーと消えるといわれたスーパーマーケット。
そのスーパーマーケットに戸籍をつくりたい」
これは、日本標準産業分類のなかに、
「食品スーパーマーケット」が位置付られていないことを意味する。
コンビニエンスストアやドラッグストア、ホームセンターが、
その名称とともに「細分類」のなかにポジションを持っているのに、
「スーパーマーケット」はそれがない。
17兆円の市場規模をもつ最大の業態が、
正当に評価されていないのだ。
横山さんは、今回の協会の統合を機に、
それをやろうという意思を表明したことになる。
増井副会長も、力の入った話をした。
「働く意欲、社会から認められる力、自己実現など、
働く人にとって目標になる仕事をしていけば、
どんな国策、どんな地方活性化策よりも、
日本セルフ・サービス協会の役割は力になる」
私の持論「商業の現代化」そのものである。
4時半からは、懇親会。
横山新会長の挨拶。
「何かが起こる。
何かを起こす。
日本国民の生活のために」
力強い決意表明だった。
そして、冒頭の挨拶の最後に、
異例の万歳三唱。
全員揃って、万歳三唱。
お祝いの言葉は、経済産業省瀬戸比呂士審議官。
「日本の経済発展のカギを握るのは、
流通であり、食品スーパーです。
その食品スーパーは、日々、
現場で小さなイノベーションをつくりだしている。
食品スーパーに日本経済をリードしてほしい」
私がいつも言っていることと同じ。
良い発言です。
そのあと、会長・副会長・名誉会長の写真。
報道陣が集まった。
後ろでは、靴を脱いで、椅子に上がって写真を撮る姿も。
報道陣の輪のなかの3人の主役の固い握手。
そして、最後のお礼。
乾杯の音頭は、清水名誉会長。
「日本の運命が変わる選挙が三日後に控える中、
食品流通業の大同団結がなった。
国民にとって一番大事なライフラインが食品。
今後は、消費者団体も一緒になって、
重厚長大の経団連の向こうを張った運動を展開したい」
清水さんでなければ出来ないこと。
ありがたい決意表明。
そして乾杯。
その後、懇親。
常任理事となった中村洋子さんと㈱成城石井の大久保恒夫社長。
さらにコーネル大学RMPジャパン第一期生の「ジャイアン」上野裕さん。
㈱京急ストア取締役店舗運営部長。
やがてコーネル・ジャパンの卒業生が、
この協会や業界のトップになっていくに違いない。
今回、第一期生の「級長」太田さんは、新常任理事に就任。
皆さん、国民生活向上のために、
働きましょう。
最後に、増井副会長が中締め。
三本締めが決まった。
新しい時代が始まろうとしている。
日曜日の衆議院総選挙だけではない。
実業の世界でこそ、新時代は強く認識されねばならない。
<結城義晴>