サントリーが「オレンジーナOrangina」を買収する。
オレンジーナは、年商約1300億円のフランスの飲料メーカー。
代表的な商品は「シュウェップス」「オアシス」などで、
ヨーロッパでは抜群のブランド力を持つ。
フランス第一の新聞「ル・モンド」は書いた。
「オレンジーナは、日出ずる国へ」
このル・モンド紙の記事は、やや悲しげ。
ウォールストリート・ジャーナルによると、
買収相手は、米投資会社ブラックストーン・グループと、
英投資会社ライオンキャピタル。
つまりオレンジーナは、
2006年に米英の両社に買い取られていたわけ。
買収金額は3000億円。
日本の食品製造業のM&Aとして、
過去最大の案件。
ル・モンドは、表現している。
「サントリーがキリンとマリアージュ(結婚)し、
「コカ・コーラやアンホイザー・ブッシュを凌ぐ飲料メーカーとなる」
アンホイザー・ブッシュは、
バドワイザー、ベックなど300のブランドを抱える国際企業。
サントリーのキリンとの統合は、
こうして国際的な評価を得ていく。
メーカーの世界では、グローバリゼーションは当たり前の趨勢。
私の持論「複占」は、まず国内で進む。
キリンとサントリー、アサヒにサッポロ。
それは次に、世界に乗り出していくことを意味している。
コモディティを主体にし、
ノンコモディティを次々に生み出し、
それが瞬く間にコモディティに変わるのを眺めながら、
規模の拡大を進める製造業は、
既に、「国内複占化から世界化」に進んでいるのだ。
余談だが、ル・モンドは面白い。
日本の連立政権の記事には、次の表現が明記されている。
民主党(中道左派)
社民党(左派)
国民新党(右派)
もちろん自民党は右派。
何でも、はっきりさせ、
必ず、立場を明確にする。
これが欧米の感覚であり、
グローバリゼーションの中の常識でもある。
さて、イオンは、
総合大型スーパー業態の「ジャスコ」を、
一部、ディスカウントタイプに変える。
今流に、わかりやすく言えば、
セブン&アイ・ホールディングスが、
「イトーヨーカ堂」を「ザ・プライス」に転換するのと同じ。
「またか」と思った人もいるだろう。
「イオンよ、お前もか」と感じる人もいるだろう。
東京の昭島店。
店名は「ザ・ビッグ」。
「ザ・プライス」に対して、
「ザ・ビッグ」。
ただし、この業態、突然、降ってわいたわけではない。
かつて、広島に「みどり」という会社があった。
マックスバリュ西日本に買収されてしまったが、
この「みどり」が、バブル崩壊後の価格破壊全盛時代に、
「ザ・ビッグ」をオープンさせた。
私は、㈱商業界の『食品商業」編集長だったが、
広島に取材に行った。
食品が強い総合スーパーを改装した店舗。
店長はじめ部門主任の皆さんに、
丁寧にインタビューに応じていただいたことが、忘れられない。
私、このとき、写真を撮ったが、
それが感光してしまって、使えなくなった。
そこで店長に電話して、
店側で新たに写真を撮影してもらって、
大至急で送ってもらった。
それを記事に使った。
その時の記事にも結論を書いた。
「ディスカウントの五原則」
①利は「元」にあり。[調達法]
②利は「売り」にあり。[薄利多売法]
③利は「内」にあり。[コスト法]
④利は「この品」にあり。[商品開発法]
⑤利は「他の品」にあり。[プロフィット・ミックス法]
☆しかし、品質は維持・向上させよ。
ザ・プライスもザ・ビッグも、
なにも新しいものではない。
アメリカで「コルベット」が、
ディスカウントストアを始めてから、
あまたの企業がこの業態に挑戦してきた。
ずっと続けてきたのはウォルマートとターゲットだけ。
ここでも「複占」となっている。
「ザ・プライス」と「ザ・ビッグ」での複占は、
全く考えにくいが、どちらにも、
「五つの原則」の徹底が、
なければならないことは、確かだ。
「勝ちに、不思議の勝ち在り。
負けに、不思議の負け無し」
成功には、不確定の要素がなければならないが、
失敗には必ず「五原則の欠如」がある。
<結城義晴>