結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年09月30日(水曜日)

消費者物価指数最大下落の8月9月に元気回復する法

自分が体力中心の人間であることを、
あらためて認識させられた。  

今、成田空港近隣のエクセルホテル東急。
今日、11時過ぎのアメリカン・エアーラインで米国に発つ。

結城義晴2009年秋米国三番勝負の第二番勝負。
商人舎USA視察研修会第4回特別編。
アリゾナ州フェニックス、スコッツデール、
テキサス州オースティン、ダラスで、
「小型店問題」を研究し、
同時に米国小売業からの教訓を学ぶ。

そんな意図の特別研修会。

昨夜、9時頃、このホテルについて食事の席に着いたが、
どうにもたまらなくなってひとり部屋に入った。

 熱がでる、腹が痛む。 

サツマイモのスープを胃に流し込んで、
布団を二枚かけてベッドにもぐりこんだ。

事務局が気を効かせてくれて、
部屋にオニオングラタンスープを届けてくれたが、
それを口にする気にもならない。

8時間ほど、うなされつつ、寝た。
明け方、すこし回復。

一昨日は、大阪に日帰り出張。
全力を振り絞って2時間20分ほどの講演をした。

懇親会など出席して、とてもいい気分で夜、帰宅し、
深夜まで原稿書き。睡眠時間2時間。

昨日は、朝から、東京・大門。
カスタマー・コミュニケーション㈱で役員会。
午後は、立教大学大学院の結城ゼミの柿沼将人君の取材につきあって、
その後、増上寺から東京プリンスホテル。
増上寺
特別のアポイントで、熱談1時間半。
夕方、帰宅して、荷物をトランクにまとめ、
成田に向かった。

9月19日に米国から帰国し、ちょうど10日間。
テキストづくりや原稿執筆、会議をこなし、
休む間もなかった。

それが可能となったのは、私に体力があったから。
つくづく私は、体力人間なのだと思う。

ありがたいこと。

しかし、昨夜、渡米直前の大事な時に、
体力の限界を超えた。

体力人間は、消耗すると、
気力まで落ち込む。

じっと、体力の回復を待つ。
療養する。

それが何よりも必要。
体力人間の良さは、体力が回復しさえすれば、
いつも、全力で活動できること。

私は、体力人間。
それを実感しつつ、
アメリカに向かう。

さて、総務省が、
8月の全国の消費者物価指数を発表した。  
2005年を100として試算する。
生鮮食品を除く総合の数値が100.1だった。
これは、前年同月比マイナス2.4%。
6カ月連続の下落で、下落率1971年以降で最大。  

さらに、8月の数値では直近性が足りないので、
9月中旬の東京都区部の消費者物価指数も発表される。
これも99.7とマイナス2.1%で、
下落率は同様に1971年以降で最大。

昨年、一昨年と総合スーパーや百貨店の売上げ減少が深刻化した。
しかし食品スーパーマーケットやコンビニまで、
その深刻化は蔓延している。

スーパーマーケットはじまって以来の危機と、
見ることができるかもしれない。

消費者物価指数を見ていると、
10月11月12月まで、
回復の気配は見えない。

しかし給料は上がらない、ボーナスは減るという顧客の気持ちを察すると、
物価の下落は、私たちの顧客にとっては、ありがたいことだ。

売上げ増にはつながりにくい物価下落を、
自分の顧客と一緒に喜ぶくらいの気持ちで仕事に臨みたい。

私の体力と同じで、
顧客と一体化した店には、
必ずいちばん先に回復がもたらされる。

そのことを心から祈念しつつ、
もっと深刻な経済不振と消費不況のアメリカに発つ。

こう書いているうちに、
私の体力が回復してきていることを実感する。

体力人間結城義晴の真骨頂をお見せしよう。

<結城義晴>  

2009年09月29日(火曜日)

自民党に求められる根本的考え方のチェンジと万代ドライデイリー会のChange

自由民主党第24代総裁に谷垣禎一氏。  
有効投票数498のうち、300を押さえて、当選。
しかし、何と世間の扱いの小さきことよ。

自民党にこそ、Changeが求められていることは、
さんざん言われてきたが、
気弱な派閥の長である谷垣氏自身の総裁就任が、
Changeを感じさせないという自己矛盾を内包する。

基本的な考え方として、現在の民主党は、
鳩山由紀夫氏が先祖がえりのように唱えた政党。
そこに自由党を表明した小沢一郎氏が合流して、
自由民主党ではなく、民主党となった。

さらに旧社会党系、旧自民党系の議員が集合し、
そこにプロパーとも言える新しい議員が加わり、
現在の大所帯の民主党が出来上がっている。

とすると、自民党自体が、
完全に民主党に飲み込まれていることになる。

欧米流を模倣すると、
アメリカでは民主党Democratic Partyに対して、
共和党Republican Party。
イギリスでは、労働党Labour Partyと、
保守党Conservative Party。

対極をなす必要がある。

これらはわかりやすく、
「貧乏派」と「金持ち派」。  
別の切り口ならば、
「個人派」と「法人派」  

日本の今の自民党は、
この根本的な考え方を鮮明にするところから始めるべき。

しかし貧乏派・金持ち派、個人派・法人派は、
20世紀的・階級的な考え方。

もっと21世紀的な発想が、あってよろしい。
そのあたりの考え方がいちばん、求められるもの。

「地方分権」か「中央集権」か。
「個」か「全体」か。  

これらは、例えば企業や組織の考え方にも通ずる。
チェーンストアの組織作りにも、
分権派と集権派がある。
個店主義と本部主導主義がある。

自民党が、目先の政策やマニフェストで、
差異性を出すことは、いまや、
量の勝負で民主党にかなわない。

さて自民党にそれが可能かどうか。
自民党が、新しくて面白い局面に入ってきたことは、
確かなのだが。

昨日は、大阪・堺リーガロイヤルホテルへ。
1

万代ドライデイリー会。
そのアメリカ勉強会報告会講演。
2

私は、2時間のところ、
2時間20分ほど語りまくった。
3

最初は、ゆっくりと、丁寧に。
4

途中は、スライド200枚ほどを使って。
脱線も多く…。

スライド説明で時間をとられ、
最後は、超ハイペースで。
5
しかし、「自ら、変われ」
「Can you change?」の、
結論には何とかたどり着いた。

アメリカ小売業、アメリカ消費産業について語ると、
いくら時間があっても足りない。

しかし、終わりよければすべてよし。
6
ご清聴と盛大な拍手、心より感謝。

講演会の後は、分科会。
ドライグロサリー、デイリー、
それにデリと住関連。

ドライグロサリーの分科会では、
アメリカ勉強会参加者のグループ別報告が行われた。

どのチームにもするどい観察と深い考察があった。
聴いていて、私は、本当にうれしかった。

続いて懇親会。
加藤徹㈱万代社長と並んで、懇親会に臨む。
p1

ドライデイリー会会長の今津龍三さんのごあいさつ。
p2

還暦を迎える加藤さんに、花束贈呈。
p3
「先週は、ユニオンの皆さんに還暦を祝っていただいた。
それがとてもうれしかった」
加藤さんらしい。

その後、食事と懇親。
そしてアメリカ勉強会参加グループごとのスピーチ。

まず、チームとんかつ。
p4

次に、チーム・プロペラ。
p5

そして、チーム・シロタク。
p6
シロタクは最後に、リーダーの胴上げ。

住関連、デイリー、デリ・グループ。
p7
万代ドライデイリー会副会長の坂本修三さん。

最後に「オジン・チーム」。
オジンと呼ばれつつも、
さすがに立派な調査と分析と報告がなされた。
p8

そして、締めは、今回のアメリカ勉強会リーダー。
万代執行役の磯田雅人さん。
p9
磯田さん、こういったまとめが、
とてもうまい。
玄人が舌を巻く。
磯田さんの挨拶で締まった。

私は、とにかくうれしかった。

現地でアメリカ流通業の解説をしていて、
さらに帰国してからも勉強の成果を報告し合う。

これこそ、あるべき形。
これこそ、一人ひとりの成長を促す勉強会。

皆さん、ありがとうございました。

Did you change?
Yes, we did.  

Were you able to change?
Yes, we were.  

そうです、これがイノベーションなのです。

<結城義晴>  

2009年09月28日(月曜日)

今日、私は、日本中にエネルギーの存在を感じる。

Everybody! Good Monday!  

2009年9月も最終週。
そして10月に切り替わる週。

3月期決算の企業にとっては、
第2四半期、上期が終了する。

そして10月、11月、12月という1年間の最後の三カ月に入る。

アメリカでは、これから三段階のイベントで、
年末を迎える。

それが、キリスト教という国家最大の宗教行事と結びついていて、
人々の生活には切っても切り離せないものとなっている。

10月31日のハロウィン。
11月第4木曜日、今年は26日のサンクスギビングデー。
そして12月25日のクリスマス。  

クリスマス商戦は、アメリカでも圧倒的にボリュームが高く、
宝石店など、12月1カ月で9割の売上高を稼ぐ。

日本には、この三段階がない。
国民生活習慣としては。

しかしアメリカの小売業・サービス業が、
三段階で、プロモーションを展開することは学びとってよい。

一年間の顧客の暮らしの喜び、
生活のエネルギーを、
10月いっぱい、
11月いっぱい、
そして12月末と、
三ステップで演出することは、
むしろ、小売商業・サービス業の役割ですらある。

その上、日本には追い打ちのイベントが控えている。
正月、年始である。

この三段階システムの良さは、
失敗が許される点。  

第一段階でミスを犯しても、
第二段階、第三段階で、
十分にカバーできる。

第二段階でつまずいても、
最後の第三段階で取り戻すことが、
できないことはない。

一発勝負より、安全。
みな同じ条件であることは、
変わらないが。

ここで重要なことは、
三段階の綿密な計画と実践が、
現場にとって何よりも、楽な仕事になる点。
余裕を持って事にあたる。
それが可能となる。

計画があって初めて、
修正がきくからだ。

計画が綿密であるほど、
修正は細部に及び、
集計された成果は、
より大きくなる。  

Retail is Detail!  
小売りの神は細部に宿る。

ウォルマート創業者のサム・ウォルトンの言葉。

だから今、3段階の計画が必要。
もう出来上がっているに違いないが、
その確認をして、
「よーい、ドン」をするのが今週。

さて、今日、私は、
日本中にエネルギーの存在を感じる。  

なぜかわからない。

鳩山首相が、サミットから帰国して、
政府もいよいよ本格的なスタート台に立ったからか。

それを受けて産業界が、本腰を入れ始めたからか。

それとも、国民自体に生活のエネルギーが、
充満し始めたからか。

それらのシナジー効果があるのか。

私は今日、妙なエネルギーが、
日本中に満ち始めていることを感じている。

この全体のエネルギーを、
自分の個人生活に生かすか。
会社や店のパワーに変えるか。
仕事に活用するか。

それは、一人ひとりの姿勢によって変わってくる。

それでも忘れてはいけない。
今月の商人舎標語。
「損得の前に善悪で動け」  

故倉本長治商業界主幹の『商売十訓』。  
その第一訓。
「損得より先に善悪を考えよう」  

私は、2010年を3カ月後に控えた2009年9月末の今、
「善悪で動け」と主張したい。

それが「損得」の前に発想されねばならない。

プロ野球のダブルプレーのように、
テニスのダブルスのように、
「損得の前」と「善悪で動く」が、
合致していなければならない。

逡巡したり、思案したりする間は、
許されない。

損得の前に善悪で動くという根本理念の貫徹こそが、
今日、この、充満したエネルギーを、
自分のものとさせてくれるのだと思う。

Everybody! Good Monday!  

<結城義晴>  

[追伸とお知らせ]
今日も、[毎日更新宣言]にきてくださって、
ありがとうございます。
1週間、よろしくお願いします。

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2009年09月27日(日曜日)

ジジの日暮れ[日曜版]

秋分の日をすぎたら、
日ぐれが、
はやくなりました。
m1
お月さまがでる。

ボクは、
ひぐれどきには、
寝ています。
j1
ユウキヨシハルのおとうさんの部屋。

ランプに灯が、
ともります。
m2

ボクは、うたた寝。
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ヨコハマのミナトにも、
ミナトミライにも、
灯がともる。
m3

ボクは、うたた寝。
j3

きのうから、
おとうさんは、
リッキョー大学大学院の授業。
r1

サービス・マーケティングの講義が、
つづけて、ふたつ。

そのあと、ユーキ・ゼミ。
おわったら、日ぐれ。
r2

おとうさんはシゴト。
ボクもシゴト。
ji4
ボクのシゴトは寝ること。

でも、おとうさん、
きのうは、びっくりした。
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サービス・マーケティングの講座は、
教室いっぱいだった。
r3

おとうさんはシゴト。
ボクもシゴト。

日ぐれどきは、
いつも、シゴト。
ji6
でも、日ぐれのときに、
こころを落ちつけることも、
ときには、ひつようだと、
ボクは、おもうのです。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

[ツイシンです]
でも、ユウキヨシハルさん、
きょうも、商人舎オフィスに、
シゴトにいきました。

2009年09月26日(土曜日)

円高89円突入時のセブン-イレブンのチルド弁当と598円ワイン

とうとう1ドル89円台に。  
7ヵ月半ぶり。
緩やかなドル安がしばらく続きそうだ。

実体経済の3倍もあった世界の金融経済が、
一挙にしぼみ、今、またまた動き出している。

金融経済の破綻が、実体経済の不振を呼び、
実体経済の回復が、金融経済の活性を促す。  

そして金融経済は、
実体経済にいびつな形で影響を与える。

例えば、原油価格から穀物価格へ。

日本の消費経済は、あいかわらず下落模様。
昨日の日本チェーンストア協会発表の3.4%減に続き、
日本フランチャイズチェーン協会のコンビニもマイナス。
8月の既存店前年同月対比5.5%マイナス。  
こちらも同様に9ヵ月連側の減少。

肝心の客数が1.7%マイナス。
客単価は3.8%マイナス。  

他の商売も、新しいことにチャレンジしなければならない。
このコンビニの数字は、それを意味している。

チェーンストア協会の数値は、総合スーパーの統計。
フランチャイズチェーン協会は、コンビニの統計。
これに食品スーパーマーケットの統計が加われば、
日本の食品消費の実体経済の全貌が明らかになる。

日本セルフ・サービス協会や日本スーパーマーケット協会、
そしてオール日本スーパーマーケット協会の協力態勢で、
来春から、それが発表されるはず。

誠に有意義なことだ。

さてセブン-イレブンが、
新タイプの弁当・惣菜を発売する。  

食品廃棄1割削減を目指して。
seven
店頭での販売期限を、従来の商品よりも長くし、
しかもおいしさ、安全性を確保するという趣向。

難しいことに挑戦する。

第1は、「チルド弁当」  
摂氏5度以下で冷蔵保管し、電子レンジで温めて食する。
従来の商品は20度前後で販売していた。
これは販売期限が製造時点から27~28時間以内。

チルド弁当は、61時間から85時間。

第2は、「スチームパック総菜」  
商品容器の中の空気圧を下げることで保存性を高める。
従来の2倍の保存性。

このほか「エコパック総菜」なども実験発売する。
まず、10月中旬から首都圏で、
来春には全国展開。

今月の商人舎標語。
「損得より善悪で動け」  

鳩山イニシアチブと同じ動き。
私は、評価したい。
もっともっと早く動き出せば、
良かったのにとも思う。

例のセブン-イレブン店舗における見切り安売り。
あまり見かけない。
いろいろなところでセブン-イレブンに入って確認するも、
なかなか見切りしている店舗に遭遇しない。

しかし、本部のこういった開発実験こそ、
チェーンストアのあるべき形だと思う。

そのセブン&アイ・ホールディングス、
プライベートブランドのワイン開発をした。
こちらは積極的で素早い動き。

価格598円が売り物のセブンプレミアム。  

米国カリフォルニアで製造したワイン白と赤。
11月から「セブンプレミアム」のネーミングで発売。
米国内のセブン-イレブンでは「7セレクト」のネーミングにして、同時発売。

アメリカではいくらで売るのだろう。
トレーダー・ジョーズの、
例の1ドル99セント[カリフォルニア以外では2ドル99セント]ワインがある。
「チャールズショー」  

おそらく世界最大の販売量。
米国では、チャールズ・ショーを超えなければ、
ナンバーワンにはならない。

しかし日本では、これは大ヒット間違いなし。

予告しておこう。

メルシャンが裏方の役割を演じたようだ。
国立公園のあるヨセミテで調達し、
専用コンテナで日本に運び、
メルシャンの工場で瓶詰めし、店舗搬送する。

さて昨日は、一日、会議。
そして夜は、早稲田の「フォレスタ・カフェ」で、
産業社会学研究・壽里茂ゼミ稲門会の幹事会。  
1
昭和40年代卒業の大先輩から、
平成卒業の若手女性まで、7人が参集。

10月25日[日曜日]に総会が開催される。
所は大隈ガーデンハウスで、有名な大隈庭園内にある。

私は現在、この壽里茂先生の教え子五百数十人のOB会の幹事長。
何もしないシャッポのような幹事長で、
すべては、写真右の内藤邦夫さんが、
事務局長として仕切ってくれる。
2
内藤さんは、ワインの輸入・販売の「カーブド・リラックス」社長。
ワイン業界にこの人あり、といわれる名物男。

先輩後輩入り混じって、
久しぶりに早稲田界隈の空気を吸った。

週末に向けて、私、元気です。

今日から、立教大学大学院の講義とゼミ。
来週は、大阪で講演の後、再びアメリカへ。

だからこそ、元気であらねばならないのです。

<結城義晴>  

2009年09月25日(金曜日)

伝説のコーネル・ジャパン第一期生同窓会の「客数主義と君子豹変」

シルバーウィークの最中、
アメリカから帰ってきて、
そのまま仕事に突入して、
生活サイクルは狂いっぱなし。

ブログ・アップの時間帯も、
アメリカ滞在時並みにずれてしまって、
申し訳ありません。

8月の営業結果も悪かった。
日本チェーンストア協会発表の8月の売上高。
既存店ベースの前年同月比マイナス3.4%。
9カ月連続で、前年同月比を割った。

食料品まで2.0%マイナス。

消費不振、天候不順。  

最近の業績悪化の言い訳は、
この二大共通テーマに尽きるといってよい。

しかしそれでも、
お客様に喜んでもらっている店はある。

いまは、売上高よりも、
客数を目安に仕事すること。

ひとりのお客様が、わざわざ店に来てくださって、
その上で、何かを買って、
レジを通過してくださる。

このことで、客数1がカウントされる。

客数主義。  

この事実の重さを、
商業・サービス業の仕事の喜びにしたい。

これを喜びに感じることのできる店が、
楽しく経営と営業を続けることができる。

ところで、朝日新聞は鳩山由紀夫首相の演説を大評価。
「唯一の被爆国として、非核三原則堅持」と誓った。
私も、とてもうれしく、この記事を読んだ。

一方、日本経済新聞は社説で訴えた。
「鳩山政権に君子豹変を求む」  
以前から、この新聞は民主党に対して、
「君子豹変」をアドバイスしていたが、
特に対米外交において、それをせよと言う。

君子豹変、小人革面。  

「君子が鮮やかに態度を変えるのに対して、
小人は表面は変えるが、実際は面子や自説にこだわる」  

民主党に鮮やかに態度を変えよ、と説く。

私は、こちらにも賛成。

マニフェストにこだわり過ぎてはいけない。
もちろん約束違反はいけない。

しかし、約束を長期で守るには、
豹変もなければならぬ。

さて昨日は、東京・八重洲の中華料理店「天山」。
コーネル大学リテイルマネジメント・プログラム・オブ・ジャパン同窓会。
1
伝説の第一期生が参集した。  

ただし第一回目の同窓会は、
アメリカ・イサカへの卒業旅行に行くことができず、
そこでもらえなかった第一期生に、
「修了証書を授与する会」  

食事が進んで、ビールから紹興酒に変わったころ、
いよいよ始まった。

まず、副級長の大久保恒夫さんへの授与。
アメリカでは学長のエドワード・マクラフリン教授から授与されたが、
日本では副学長の結城義晴から。
2
大久保さんは、この第一期生の優等生。

11月にはNHKの「プロフェッショナル」に主役ででる。
もう、業界のスター。
しかしご本人はいたって謙虚。
3
第二期では、講師として、2講座を担当してくれる。

㈱リブネット・取締役の竹内憲太郎さん。
本当にうれしそうだった。
4

21 Lady㈱代表取締役社長の広野道子さん。
しっかり卒論を書いてくれました。
5

日清フーズ㈱営業本部主幹の井上雅之さん。
なぜか卒業旅行に参加できなくて、誠に残念。
6

最後は、岸弓乃さん。
キシショッピングセンター社長。
社長業も板についてきた。
7

そして、事務局、特別参加者とともに、
全員で写真。
8
㈱京急ストア・取締役店舗運営部長の上野裕さん。
㈱京王ストア・取締役店舗運営部長の能州彰さん。
㈱ショッピングセンター丸正総本店・専務取締役・飯塚正彦さん。
㈱カスミ・商品統括部グロッサリー部マネージャー・塚田英明さん。
江崎グリコ㈱菓子営業部首都圏統括支店営業一課長・渡邊武さん。

さらに三浦正樹日本セルフ・サービス協会専務理事、
村尾芳久同営業本部長、
中間徳子FMIジャパン事務局長。

そしてコーネル・ジャパンの大恩人・本間謙吾さん、
ニッコーレン会長。

大高愛一郎事務局長が、
急遽、欠席となったのが、
何とも残念だった。

大高さんは現在、三井物産㈱食品事業本部マネジャーに転身。
大活躍中。

人それぞれに人生がある。

その人生の岐路で出会った人々。
コーネル・ジャパンは、間違いなく、
一生の同志をつくった。

まだ第一期生。
第二期生募集中。

客数主義と君子豹変。  
お客様のほうを向いていれば、
おおいに、よろし。

コーネル・ジャパンは、
この思想も教えます。

<結城義晴>  

2009年09月24日(木曜日)

小型スーパーマーケットを考察する【後編】マーケットサイドの巻

小型店は、ひどく難しい。
いや、「小型化」こそが難しい。 

だから、特別の事情がない限り、
挑戦しない方がよろしい。

昭和51年(1977年)、イトーヨーカ堂が、
千葉県勝田台で、食品スーパーマーケットに挑戦した。

1500坪以上の総合スーパーを展開していた同社が、
450坪の「ヨークマート」をオープンさせた。

イトーヨーカ堂の食品と雑貨の品ぞろえを、
綺麗に1フェースずつ積み上げた店で、
英知の結晶のような新フォーマットだった。

しかし、ここには品揃えの豊富さはあっても、
商品回転の概念が欠落していた。
残念ながら、スタートダッシュは、
かなわなかった。

しかしイトーヨーカ堂グループ。
しつこくしつこく改善・改良を重ねて、
今日のヨークマートを築き上げた。

しかしそれとても、売場面積450坪。

いま、テスコが米国で始めたフォーマットは、
1万平方フィート、280坪。

ウォルマートが実験するフォーマットは、
1万5000平方フィート、420坪。
3
ウォルマートは、現在、
7000坪のスーパーセンターを中核としている。

1998年に実験を始めたネイバーフッドマーケットは、
10年以上になるにもかかわらず150店と、鳴かず飛ばず。
これはフード&ドラッグのスーパーマーケット。

「小型店は難しい」を、
ウォルマート自身が証明してしまった。 

しかしスーパーセンターは、2612店で、
全米飽和が近い。

ウォルマートの歴史は、
1945年のベンフランクリンのフランチャイズチェーン時代から、
拡大化の一途だった。
最初の店は460㎡、140坪のバラエティストア。 
「ウォルトンズ・ファイブ&ダイム・ストア」といった。

第二のフォーマットは、1962年。
1480㎡、450坪のディスカウントストア。 

ここまでウォルマートは非食品の小売業だった。

第三は、1983年のメンバーシップ・ホールセールクラブ。 
「サムズ・クラブ」といった。
面積は、1万㎡、3000坪に近かったと思う。
ここから食品に挑戦、
マクレガーという食品卸売り業を買収した。

そして、第四は、1987年、
2万㎡、6000坪のハイパーマートUSA。  

フランスのカルフールをコピーしたハイパーマーケット。
壮大な1フロア衣食住のフルライン総合スーパー。

しかしこの店は、大失敗。
その意味では、大型化も簡単とはいえない。

翌1988年、すぐに、ハイパーマートUSAを、
半分にして、絞り込んだスーパーセンターを開発。
これが第五のフォーマット。  

ハイパーマートから見れば半分だが、
ひとつ前のサムズクラブから見ればほぼ同じ。

そしてこれが、やがて大成功し、
最強のフォーマットと称賛された。

この大成功をみて、10年後、
折り返す。

第六の実験店ネイバーフッドマーケット。  
3000㎡、1000坪のスーパーマーケット。
このフォーマットが10年たっても、
モノにならない。

そこで2008年、第七番目のチャレンジ。
ミニスーパーのマーケットサイド。
  
m2
ミニスーパーでは、フォーマットにならない。
成立の可能性が低い。

レギュラータイプのスーパーマーケットと直接競合したら、
ひとたまりもない。

「コーナーマーケット」と表示された青果部門。
13
しかし生鮮食品の品ぞろえが薄すぎる。
商品構成は、スーパーマーケットと全く同じカテゴリー。
1万アイテム。
14
かといって、通路を狭くして、
商品を山積みしているわけではない。

ワインの品ぞろえは、コンパクトだが目立つところにある。

オープンキッチンの壁面では、
焼きたてピザやグリルアイテムを提供する。

ワインとピザ、デリ。
この店の核商品は、このあたりにある。

レジは、6基。

テスコのフレッシュ&イージーがすべてセルフレジであるのと、対照的。
つまり、フレンドリーも訴求している。

ジュリーさんが、丁寧にインタビューに答えてくれた。

カスタマーサービスとサービスデリ、そしてワインを重視している。

しかしオープン当初にあったものがない。
プリペアードフード。
2ドル均一のサイドディッシュ。
4ドル均一のサンドイッチやサラダ。
6ドル均一のアントレ。
8ドル均一のファミリーサイズのアントレ。

皆で取り囲んで、一生懸命に聞いた。

どうやらあくまでも実験店の位置付のようだ。

最初は、マーケティングリサーチし、
ターゲットカスタマーを設定し、
ポジショニングをつくって、新フォーマットにチャレンジした。

しかしそれは当然に、変わるもの。

ウォルマートは、10年前のネイバーフッドマーケットのときにも、
4店を一挙に出店させ、その後ずっとデータをとり続けた。
その方法論は、これまでと全く変わらない。

一方、競合店のセーフウェイやクローガー系のフライズとの価格比較を、
積極的に売り場表示している。

つまり小型店でありながら、
価格訴求もし始めた。

プライベートブランドのエンド陳列では、
ナショナルブランドと比較購買させる。
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ウォルマートの命とも言えるエブリデーロープライスは貫かれている。

マーケットサイドは、便利性と価格志向の両立を図る店である。

私は、はじめに見たときから、この店は、
「日本におけるコンビニ機能」だと感じた。  

アメリカにもコンビニはある。
しかしそれは日本のコンビニとは全く異なる。
社会的機能が。

ただの便利店。

しかし日本のコンビニは、
それを通り越して、
「朝昼晩のおかず屋」になった。

ウォルマートは、
日本のセブン-イレブンを、
アメリカの市場でコピーしようとしている。

私は、そう思う。

まだまだ、終わらないこの実験。

アメリカの小売マーケットには、
日本のコンビニ機能はない。

だから広大な市場が横たわっている。

ウォルマートは、巨大なマーケットしか狙わない。  
それも時間をかけて、最大の市場を獲得する。

「スーパーセンターに変わるものは、
日本のセブン-イレブンしかないじゃないか」
私は、一人、つぶやいた。

最初になかったのに今あるものがもうひとつ。
11
「by walmart」の文字。

「Marketside」の下に、
小さくはあるが鮮明に表示されている。

これは、ウォルマートの本気さを象徴している。

「失敗だ」
「駄作だ」
さまざまな声が聞こえる。

しかし私は、もう少し、見ていきたい。
飽和するスーパーセンターに変わるモノを求めるウォルマートの姿を。

<結城義晴>  

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